2018年、全国の消費生活センターなどに寄せられた消費者相談の件数が、前年を1割上回る101万7590件に達しました。この件数は、なんと11年ぶりに100万件を突破する水準です。2019年6月18日に政府が閣議決定した消費者白書で明らかになったこの事実は、現代社会における消費者被害の深刻化を示していると言えるでしょう。
特に目立って増加したのは、身に覚えのない未納料金などを要求される架空請求に関する相談です。その件数は前年比約1.6倍の約25万8千件にまで膨らみ、全体件数の押し上げに大きく影響しました。以前は電子メールを利用した不特定多数への送信が主流でしたが、最近は手口が巧妙化し、**「はがき」**を用いる古典的な手法が急増している点が注目されます。
消費者庁のデータによりますと、はがきを使った架空請求の相談件数は、2017年に約5万8千件と、前年の30倍以上に急増し、さらに2018年にはその約3倍にあたる約18万8千件にまで跳ね上がっています。その手口は非常に悪質で、裁判所などの公的機関を装うために、政府が使用する紋章を模したデザインを印刷したり、封書の場合は表書きに**赤いスタンプで「重要」**と押したりするなど、受け取った人を信用させるための工夫が凝らされているのです。
消費者庁の担当者は、不審なメールに対する警戒心が高まり、無視するなどの対策が広がる中で、詐欺師側が「あえてアナログな手法に回帰している可能性がある」と分析しています。デジタルな時代に逆行する古典的な詐欺手法の復活は、現代の消費者が抱える新たなリスクを示唆していると言えるでしょう。一見すると古風な手紙であっても、安易に信用せず、冷静な判断が求められます。
また、昨今話題となっている仮想通貨をめぐる相談件数も急増しています。2017年と比較して約1.7倍となる3657件が寄せられました。仮想通貨とは、暗号資産とも呼ばれ、インターネット上で電子的にやり取りされる財産的価値のことです。2018年1月には、交換業者であるコインチェック(東京)が不正アクセスを受け、約580億円相当の仮想通貨が流出するという大規模な事件が発生しました。
この事件の影響は非常に大きく、交換業者の信用性や、取引上のトラブルの有無を尋ねる内容のほか、セキュリティーに関する相談が目立って増える結果となりました。新たな技術や金融商品が社会に浸透する際、それに関する知識や理解が不足している消費者を狙ったトラブルが増える傾向にあるのは残念な現実です。仮想通貨のような先端的な分野においても、利用者はリスク管理と正しい情報の取得に努める必要があり、政府や関連業界による啓発活動の重要性も高まっていると言えるでしょう。
このような状況に対し、SNS上では「架空請求のはがきは確かに来た」「公的機関を装う手口は本当にひどい」といった共感や怒りの声とともに、「仮想通貨の相談も増えているのか、勉強しないと危ない」といった危機感を示す反響も見受けられます。消費生活センターなどの相談窓口の重要性が再認識されていることは間違いありません。
今回の消費者白書が示すデータは、私たち消費者一人ひとりが自己防衛の意識を高め、常に最新の詐欺手口やトラブル事例について情報収集を行う必要性を訴えかけていると言えるでしょう。少しでも「おかしいな」「怪しいな」と感じたら、一人で抱え込まずに、すぐに消費生活センターなどに相談することが何よりも大切です。