🔥米中摩擦の行方か?中国の米国債保有が2年ぶり低水準に 市場の神経を逆なでする「米国債放出」観測の真実

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2019年6月17日、米財務省が公表した4月の国際資本収支統計(季節調整前)は、世界の金融市場に大きな波紋を広げました。注目された中国の米国債保有残高は、前月比75億ドルの減少となる1兆1130億ドル(当時のレートで約120兆円)を記録し、これは約2年ぶりの低い水準にあたります。中国は海外勢の中で最も多く米国債を保有する最大保有国ですが、その残高が2カ月連続で縮小しているのです。この統計結果は、激化する米中間の貿易摩擦の動向と絡み合い、市場関係者の間で極めて神経質な展開を生み出しています。

この残高減少の背景には、さまざまな憶測が飛び交っています。統計の対象となった4月は、米中両国が閣僚レベルで貿易交渉を継続し、合意文書の作成作業を進めていた時期でした。しかし、ご存じの通り、両国の協議は5月に入って決裂し、その後は閣僚級の対話が途絶えた状態です。これに対し米国は、5月に2000億ドル相当の中国製品に対する関税率を引き上げるなど、制裁措置を強化しています。この緊迫した状況下で、市場では中国が対抗手段として、米国の長期金利に多大な影響を与える米国債市場で報復措置に打って出るのではないかとの観測が浮上しているのです。米国債を大量に売却(放出)すれば、米国債の価格が下落し、金利が上昇、結果として米国の資金調達コストが跳ね上がり、経済に打撃を与える可能性があります。

中国の米国債保有縮小の要因としては、別の角度からの分析も存在します。中国政府が、自国の通貨である人民元相場が急激に下落するのを防ぐために、人民元買い・ドル売り介入を継続しているとの見方です。これは、人民元を買い支える一方で、外貨準備であるドルを売却することになるため、必然的にドル建て資産である米国債の残高も減っていくという理屈です。この為替介入による残高縮小も、無視できない一つの見解でしょう。

こうした報道に対し、SNS上では様々な反響が見受けられます。「中国が米国債を本当に売れば、世界経済が大きく揺らぐ」「これは単なる為替介入の結果ではないか」「やはり貿易戦争の切り札として米国債放出の可能性は高い」など、市場の動向に対する懸念や分析が飛び交っています。特に、中国による報復的な「米国債の大量放出」が現実のものとなれば、その衝撃の大きさから、市場の動揺は避けられないだろうという意見が、広く共有されているように思えます。

米国債の大量放出は実現するのか?編集者としての見解

私は、インターネットメディアの編集者として、この報道に接し、現在の米中関係の不安定さを改めて痛感しています。貿易問題にとどまらず、金融市場を舞台にした報復合戦に発展しかねないという、極めて危険な状況だと認識しています。市場がこれほどまでに神経質になるのは、米国債の大量放出が米国経済、さらには世界経済に与える影響が甚大だからでしょう。米国債は、その高い信用力から「安全資産」の代表格とされ、国際的な金融取引の基軸となっています。これを最大の保有国である中国が意図的に放出するとなれば、金融市場の信頼そのものが揺らぎかねません。

しかしながら、私としては、中国が安易に米国債を全て手放すという決定を下す可能性は低いとみています。なぜなら、米国債を大量に売却すれば、米国債の価値が暴落し、結果的に中国自身が保有している米国債の資産価値も大きく目減りしてしまうという自傷行為に繋がるからです。また、人民元安を回避するための為替介入が、結果として米国債保有の縮小につながっているという見方も説得力があります。米国債の保有残高は減ってはいますが、現在のところは、戦略的な放出というよりも、中国の対外的な経済政策の副産物として捉える方が、より冷静な分析と言えるのではないでしょうか。とはいえ、市場が抱く懸念は、米中間の緊張の高まりを背景とした不確実性の高まりを如実に示していると言えるでしょう。

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