2019年6月18日の記事で、国際ボディランゲージ協会代表理事の安積陽子さんが、ビジネスシーンで役立つ非言語コミュニケーション、すなわちボディランゲージの読み解き方と活用法について解説してくださいました。企業や医療機関などで指導を行っている安積さんが提唱するテクニックは、商談で話が進まない相手の警戒心を解き、有利な状況を作り出すための実践的な「Bizワザ」が満載です。言葉だけでなく、しぐさや姿勢に隠された相手の真意を読み解く力は、ビジネスパーソンにとって強力な武器となるでしょう。
商談のテーブルで相手の反応が今ひとつだと感じたとき、まず注目すべきは、相手の**「クローズドな動作」です。これは緊張や警戒心を示すサインで、私たち人間が本能的に行う、顔や心臓といった攻撃されたくない急所を隠すための世界共通の行動パターンだと言われています。最もわかりやすいのは腕組みですが、それ以外にも、カバンを自分と相手の間に置く、喉仏や首の後ろにある頸動脈を覆うように手をやる、胸元のネックレスを触るといったしぐさも含まれます。こうした動作は「あなたに対して心を開いていませんよ」という無意識のメッセージを発しているため、見逃さないことが肝要です。
さらに、無意識のしぐさが出やすいのは、上半身よりも足元です。たとえば、かつて米大統領候補だったヒラリー・クリントン氏は、自分がPRしたい話題の際には足が相手の方向を向き、聞かれたくない話題では足を引いて交差させていたと伝えられています。また、眼鏡や髪、口に手をやったり、鼻をこすったりする「なだめの動作」も、不安や緊張の表れだと考えられます。これらのサインは個人差があるため、まずは差し障りのない会話を通じて、相手の「普段の状態」を把握しておくことが、変化のタイミングを捉えるための重要なステップになるでしょう。
では、相手が警戒心を示している場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。安積さんは、相手を心を開いた状態や自信にあふれている際に見られる「オープンな動作」へと誘導することを勧めています。なぜなら、動作が心理状態を左右することは広く知られているからです。たとえば、腕を組ませないように飲み物を勧めたり、資料を渡して相手の手を開かせたりすると効果的です。また、安心感を伝えるサインとして、カウンセラーも用いる手法である首を横に傾けるしぐさも有効です。これは「安心してください」という無言のメッセージを伝えることができます。
私自身の意見としては、こうしたボディランゲージの活用は、単なるテクニックに留まらず、相手への深い洞察と配慮を示すものだと考えています。相手が不安や警戒を感じていることを察知し、それを解きほぐそうとする行為は、信頼関係を築く上で極めて重要です。特に商談においては、技術や論理だけでなく、こうした人間的なコミュニケーション能力が結果を大きく左右すると言えるでしょう。
もし、こちらに非がある場合のクレーム対応などで失敗を避けるためには、表情管理が欠かせません。よくあるのは、笑顔でなだめようとして、かえって相手を怒らせてしまうパターンです。相手の負の感情を受け止めるためには、口角を下げ、眉と口をハの字にする「悲しみの表情」で共感を示すことが求められます。この「負の感情の受容」こそが、事態を鎮静化させるための鍵となるはずです。
難関商談に挑む前の「心の準備」とSNSでの反響
さらに、難しい商談に臨む前の心構えとして、安積さんは米国の心理学者エイミー・カディ氏が提唱する「パワーポーズ」**を推奨されています。これは、腰に手を当てて足をできるだけ広げ、顔を上に向ける姿勢を2分間続けるというもので、「自分はできる」という感覚、すなわち自己効力感を高めるオープンな動作の一種です。この動作を行うことで、実際に心理状態がポジティブに変化することが期待できるため、商談だけでなくプレゼンテーションなどの重要な場面の前に試してみる価値は大いにあるでしょう。
この種の非言語コミュニケーションに関する情報は、SNSでも非常に大きな反響を呼んでいます。「無意識のしぐさが本音を表すって納得!」「明日から商談で相手の足元を見てみよう」「パワーポーズ、実際に試したら自信が湧いてきた」といった、共感や実践の報告が数多く寄せられています。特に「クローズドな動作」の具体的な事例や「悲しみの表情」で共感を示すというテクニックは、多くのビジネスパーソンにとって新鮮な学びとなっているようです。ボディランゲージは、言葉の壁を越えて、ビジネスを円滑に進めるための必須スキルと言えるでしょう。