2019年6月17日(米国時間)、世界的な製薬大手である米ファイザーが、米国のバイオ医薬品企業、アレイバイオファーマを買収すると発表しました。負債の引き受けも含めた買収総額は114億ドル、日本円にして実に約1兆2000億円という巨額なもので、市場に大きな衝撃を与えています。この買収は、有望ながん治療薬の開発力を取り込みたい大手製薬会社による、新興バイオメーカーのM&A(合併・買収)がさらに激化していることを象徴しています。
ファイザーが目指すのは、アレイバイオファーマが持つ革新的な治療薬です。アレイ社は、もともと悪性黒色腫(メラノーマ)、すなわち皮膚がんの一種に対する2種類の治療薬を保有しており、その有効性が期待されています。メラノーマは、皮膚の色素を作る細胞が悪性化する疾患で、進行が早い難治性がんの一つですが、これらの薬はすでに臨床で使用されている状況です。
しかし、今回の買収の真の焦点は、その治療薬が大腸がんの治療にも利用できると見込まれている点でしょう。現在、大腸がん治療薬としての臨床試験が最終段階に入っており、その結果次第では、既存の治療法を大きく変える可能性を秘めています。このポテンシャルこそが、ファイザーが巨額の資金を投じる決定打となったと推察できます。
買収は、ファイザーがアレイバイオファーマの株式を1株当たり現金48ドルで公開買い付け(TOB)し、すべての株式を取得することを目指す形で行われます。この買い取り価格は、発表前の前週末終値と比較して約62%も高いプレミアム価格となっており、ファイザーの本気度がうかがえます。買収手続きは2019年後半に完了する予定とのことです。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、この買収を通じて、「ファイザーが持つ乳がんや前立腺がんといった分野の専門知識と組み合わせ、大腸がんの領域で業界をリードするフランチャイズを築く」と力強く述べています。つまり、アレイ社のパイプライン(開発中の新薬候補)を取り込むことで、ファイザーのがん治療薬ポートフォリオを一層強化し、特に大腸がん分野でのプレゼンスを確立しようという戦略的な狙いがあると言えるでしょう。
SNS上では、「この買収で大腸がん治療が大きく前進するのではないか」といった、患者さんやその家族の期待を示す声が多く見受けられます。また、「バイオベンチャーの技術力がついに兆円単位の価値を認められた」と、新薬開発のトレンドに注目する投資家からの反響も非常に大きい模様です。私見ですが、この動きは、単なる企業の合併・買収という経済的な側面だけでなく、難治性がんに対する人類の挑戦という点で、極めて重要な意味を持つのではないでしょうか。
私は、今回のファイザーの決断は、がん治療の未来に対する先行投資として非常に賢明な一歩だと考えます。アレイバイオファーマの革新的な技術と、ファイザーの持つ巨大な資金力およびグローバルな販売網が融合することで、世界中の大腸がん患者さんに対し、これまで手の届かなかった新たな希望が提供されることを強く期待しています。