2019年6月18日、政府は「2019年度版 高齢社会白書」を閣議決定いたしました。この白書は、日本の高齢化の現状と高齢者の生活実態を多角的に分析する重要な資料であり、特に高齢者の運転に関する意識や移動手段のデータは、大きな注目を集めています。長寿化が進む日本社会において、「いつまで運転を続けるべきか」という問題は、ご本人だけでなく、そのご家族や社会全体にとって重要なテーマとなっていることでしょう。
今回の白書の中で、移動手段として自分で自動車を運転している60歳以上の方に行った調査では、「一定の年齢になったら車の運転をやめようと思う」と回答した人が、なんと全体の40.4%に上りました。つまり、4割以上の高齢ドライバーが、将来的な「運転卒業」を検討しているという実態が明らかになったのです。一方、年齢や体調に関わらず「運転を続ける」と答えた方も11.5%いらっしゃいます。この結果から、運転に対する意識が二極化している様子が伺えますね。
この調査結果は、SNSでも大きな反響を呼んでいます。特に「運転をやめようと思っている」という4割超という数字に対しては、「自らの限界をわきまえているのは素晴らしい」「免許返納を検討するきっかけになる」といった賛同の声が多く見受けられました。一方で、「車がないと生活できない地域も多いので、インフラ整備が追いついていない」という、地方の生活環境に対する切実なコメントも散見されました。高齢者の安全と利便性のバランスは、現代社会における喫緊の課題と言えるでしょう。
では、具体的に現在、高齢者がどのような移動手段に頼っているのでしょうか。白書によると、外出時の移動手段として最も多かったのは「自分で運転する自動車」で56.6%と過半数を占めています。次いで「徒歩」が56.4%、「自転車」が22.4%と続きます。このデータは、自動車がいかに高齢者の生活を支える**「足」となっているかを如実に示していると言えるでしょう。特に、公共交通機関が手薄な地域では、この傾向はより顕著になっていると推測されます。
私見ではありますが、高齢者ドライバーの運転継続は、個人の自由であると同時に、社会全体の安全にかかわる問題です。しかし、運転をやめた後の生活の質、いわゆるQOL(Quality of Life:生活の質)を維持するための代替手段の確保が、非常に重要だと考えます。自治体や政府は、免許返納を推奨するだけでなく、デマンドタクシーや地域コミュニティバスなどの新たなモビリティサービス**の充実を、より一層加速させる必要があるでしょう。この「高齢社会白書」は、すべての世代にとって、今後の移動と安全について考えるきっかけを与えてくれる貴重な資料になるはずです。