🔥年金だけでは「老後2000万円不足」は本当か?【NISA・iDeCoで賢く備える】

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2019年6月に公表された、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書が、大きな波紋を呼んでいます。この報告書では、老後の生活において毎月およそ5万円の収入が不足し、それを補うためには約2,000万円の貯蓄が必要になるという試算が示されました。この「2000万円不足問題」は、国会やSNS上で激しい議論を巻き起こしている状況です。

野党からは「年金の100年安心神話は虚偽である」といった厳しい声が上がり、一方、与党側も「試算に一般性がない」と説明責任を果たすことに追われました。しかし、この試算の背景には、高齢で無職の世帯の消費性向、つまり収入に対する消費の割合が100%を超えるという、元々周知の事実があります。老後の主要な収入源が公的年金であることは当然ですが、現役時代に築いた貯蓄を高齢期に取り崩して生活費に充てるのは、本来あるべき正常な姿だと言えるでしょう。

超高齢化が進む日本において、公的年金制度は、給付の伸びを抑制する仕組み(マクロ経済スライドなどの専門用語で呼ばれます)を導入しているからこそ、破綻することなく持続可能であるという安心感を国民に提供しています。しかし、年金の受給開始後、年金支給額の増加が現役世代の賃金上昇率ほどには期待できない以上、将来に備えておく必要性は極めて明白であると筆者は考えます。

家計調査の結果を見ても、2018年時点での無職かつ65歳以上の夫婦世帯の公的年金受給額は、平均で月額20万4,000円でした。これは、食費や光熱費などの基本的な生活費に加えて、趣味や娯楽費なども含む消費支出全体の約88%に相当します。注目すべきは、世帯人員一人あたりの消費額で比較すると、年金受給者の方が現役世代よりも高い傾向にあるということです。これは、年金だけに頼るのではなく、貯蓄や投資による資産形成の重要性を強く示唆していると言えるでしょう。

🤔「政府がすべて面倒を見るべき」という主張の限界

一部には、引退した全ての層の生活費、さらには高齢者が負担すべき税金や社会保険料までを「政府がすべて丸抱えすべきだ」という主張も見受けられますが、これは現実的ではありません。もしそのような政策を実行すれば、現役世代の保険料負担や消費税率が際限なく上昇し、世代間の公平性が損なわれる事態を招きかねないからです。筆者の意見としては、こうした無理のある主張は、国の財政を圧迫し、将来世代に過度な負担を強いることになりかねず、賢明な選択とは言えないと考えます。

だからこそ政府は、個人の自助努力による資産形成を促すため、税制上の優遇措置を講じた制度を整備してきました。代表的なものとして、少額投資非課税制度、通称「NISA(ニーサ)」や、個人型確定拠出年金である「iDeCo(イデコ)」があります。政府は税収が減るというコストを負担してでも、これらの制度を通じて、国民が自ら資産を形成できるよう支援しているのです。

国民が豊かになるための政策論においては、「お金に働かせる」という発想が非常に不可欠であると、筆者は強く訴えたいところです。私たち人類は、労働と資本を提供することで豊かになってきました。収入をその時点ですべて消費し尽くすのではなく、毎月少額ずつでも投資や貯蓄に回すことで、生涯にわたって消費できる水準を拡大することが可能になります。公的年金制度を過信せず、税制優遇のある制度を積極的に活用して、自身の豊かな老後生活を設計することが、これからの時代を生きる私たちにとって、最も賢明な選択だと言えるでしょう。

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