命を守るブロック塀対策は今?大阪北部地震から1年、空き家・高齢化時代の防災課題を追う

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2018年6月に大阪府北部で震度6弱を記録した大地震から、本日、2019年6月18日でちょうど1年が経過しました。この地震では、登校中の女児を含む2名が倒壊したブロック塀の下敷きとなり、尊い命が失われるという痛ましい出来事が発生しました。これを受け、全国の自治体は学校などの危険なブロック塀の撤去を進め、一般の住宅に対しても改修費用の補助を行うなど、対策を講じていますが、その道のりはまだ半ばにあると言えるでしょう。

特に問題となっているのは、空き家や高齢者世帯の住宅で、危険な状態の塀がそのままになっているケースが非常に多いという現状です。例えば、大阪市東淀川区にお住まいの70代の男性は、ご自宅の築約30年の一軒家のブロック塀に亀裂(ヒビ)を見つけ、「通学路で、目の前の歩道も狭いので危険だと思った」と、今年の6月に改修を決意されました。もともと2メートル弱あったブロック塀を1メートル弱に減らし、軽量で耐久性のある黒色の金属製フェンスに取り替えるという対策です。男性は「年金生活での出費は痛いが、被害が出てからでは遅い」と、命を守るための先行投資の重要性を語っています。

男性の脳裏には、1年前の地震で、地元の小学校児童の見守り活動に向かっていた近所の男性(当時80歳)が、まさに民家のブロック塀の下敷きとなって亡くなられたという悲劇的な出来事が強く焼き付いているのでしょう。実際に、大阪府高槻市の市立寿栄小学校では、プールにあった高さ約3.5メートルものブロック塀が、法令で定められた制限(2.2メートル以下)を超えていた上、必要な控え壁(壁を補強し、倒壊を防ぐために設けられる柱状の壁)もなかったために、約40メートルにわたって道路側に倒壊し、登校中だった4年生の三宅璃奈さん(当時9歳)が犠牲となりました。東淀川区でも民家のブロック塀が倒れ、近所の男性が亡くなられており、この地震はブロック塀の危険性を改めて浮き彫りにしました。[Image of改修された通学路沿いの民家(ブロック塀から金属製フェンスへ)]

地震後、学校をはじめとする公共施設での危険な塀の撤去は進んだものの、一般住宅においては、依然として多くの危険な塀が残されています。大阪市では、2016年度以降、瓦屋根やブロック塀が倒壊する危険性が高いとされる約1,190件の空き家を把握しており、所有者に対応を促しています。そのうち約450件は改修などが完了したものの、残る約540件は市が是正を求めているにも関わらず、対応状況が不明な状況です。市は、特に高齢者など住民が撤去費用を工面できず、対応が滞っているケースがあると推測しています。さらに、約200件の空き家については、所有者との連絡すら取れていないのです。

全国的に見ると、空き家の数は2018年時点で846万戸にも上ります。少子高齢化による住民の減少に伴い、空き家が増加し続けることは、塀の倒壊など、地域住民の安全を脅かす可能性を拡大させていると言えるでしょう。東北工業大学工学部の最知正芳教授(建築生産工学)は、「倒壊する危険のあるブロック塀は、人の命を奪う恐れがあることを改めて認識すべきだ」と強く警鐘を鳴らしています。私見ですが、高齢化や空き家問題は社会全体の構造的な課題であり、個人が費用負担に苦しむ現状は、行政による一層の手厚い支援が不可欠だと感じています。

国は、塀の外観に問題がないように見えても、内部の鉄筋(てっきん:コンクリートの強度を高めるために内部に埋め込む棒状の鋼材)などの点検を推奨しています。しかし、この点検には塀を一度壊す必要があり、その後の補修費の負担も大きくなります。そのため、国は2019年度から、塀の診断・改修・撤去にかかる費用の一部を補助する制度を設けています。最知教授は、「一般の市民が安全性を判断するのは大変難しい。内部の鉄筋が正しく配置されているかなども含め、専門家に診断を依頼するべきだ」と力説されています。安全性を確保し、安心して暮らせるまちづくりを進めるためには、公的支援の活用と専門家の判断が、非常に重要な鍵となるでしょう。

SNSの反響:ブロック塀の危険性と補助制度への関心

このブロック塀の安全対策の遅れは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。多くのユーザーが、「通学路の古いブロック塀を見ると、今でも不安になる」「あの地震の教訓が生かされていないのではないか」といった不安の声を投稿しています。また、「補助金制度があるなら、積極的に利用したい」「自宅の塀が危ないかどうかわからない。専門家を呼ぶ費用も補助してほしい」など、費用負担の軽減と、安全性診断の重要性についての関心が高まっていることが伺えます。特に、高齢者世帯からは「近所に手伝える人もいないし、どうしたらいいか途方に暮れている」という、物理的・経済的支援を求める切実なコメントが多く見受けられます。国や自治体の対策が、これらの不安や要望にいかに寄り添えるかが、今後の大きな課題となるでしょう。

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