皆さんが日常的に利用している地域の水道、病院、バスといった「公営企業」の経営が、今ピンチに立たされています。2019年5月28日、総務省は、こうした公営企業の経営状態を「第三者」が厳しく評価する新しい制度の導入検討に入りました。人口減少で料金収入が減る一方、施設の老朽化で更新費用は膨らむばかり。このままでは急激な値上げや、最悪の場合、経営破綻に追い込まれかねないという強い危機感が背景にあります。
全国には約8000もの公営企業が存在しますが、その1割以上が赤字経営に陥っているのが実情です。本来は利用料金で運営費を賄うのが原則ですが、実際には自治体の「一般会計」(私たちが納めた税金)から年間約3兆円もの巨額な資金が赤字補填(ほてん)のために「繰り入れ」られています。これまでは経営状態を客観的に評価する仕組みが乏しく、規律が働きにくい構造となっていました。
総務省が検討する新制度は、公立大学などで既に導入されている「地方独立行政法人」の評価委員会を参考にしています。独立した監査委員などが業績を評価し、赤字が続くような経営不振の企業には、改善を厳しく要求する仕組みを視野に入れています。このニュースにSNSでは「税金の投入先が厳しくチェックされるのは当然だ」「赤字垂れ流しにやっとメスが入るのか」といった、改革を歓迎する声が上がっています。
経営規律を取り戻すため、総務省は「経営の見える化」も同時に進めます。現在は水道や病院など8業種にしか義務付けられていない、民間企業と同じ「損益計算書」や「貸借対照表」(企業の成績表や財産状況を示す書類)の作成を、簡易水道や下水道など、より多くの業種に広げる方針です。これにより、資産状況が不透明だった事業の実態が明らかになることが期待されます。
自治体は住民の反対を恐れ、必要な値上げにもなかなか踏み切れない実情がありました。今回の制度導入には、厳しい経営状況を住民に正確に知ってもらうことで、近隣自治体との事業統合や、やむを得ない料金改定への「理解を得やすくする」という狙いも込められています。私たちの生活インフラを守るための、待ったなしの改革と言えるでしょう。