楽器メーカー大手のローランドが、宅録(自宅録音)の世界に新たなスタンダードを提示するかもしれません。二〇一九年五月三十一日、「Aston Stealth(アストン・ステルス)」と名付けられた多機能マイクの発売を開始します(二〇一九年五月二十八日発表)。市場予想価格は四万三千円前後。このマイクが注目される理由は、音作りの「面倒」を劇的に簡略化する点にあります。
この「Aston Stealth」の最大の革新は、マイク自体が音源に応じて最適な設定を提案してくれることです。例えば「男性ボーカル」「女性ボーカル」「ギター」といったモードを切り替えるだけで、専門的な知識がなくとも、その音源に最適な音質が得られるというのです。私自身、これは機材に詳しくないアーティストにとって、まさに「魔法」のような機能だと感じます。
さらに、独特の柔らかい表現力を持つ「リボンマイク」の音質をシミュレートするモードまで搭載しています。「リボンマイク」とは、非常に繊細な構造で知られ、温かみのあるヴィンテージサウンドを生み出す高級マイクの一種です。この高価でデリケートな音を、ボタン一つで再現できるというのですから、制作者の強いこだわりが伝わってきますね。
しかし、私が最も「革命的」だと感じるのは、マイク内部に「プリアンプ(音声信号を増幅する機構)」を内蔵した点です。通常、高感度マイクでボーカルやアコースティックギターの繊細な息遣いを捉えるには、「マイクプリアンプ」と呼ばれる専用の増幅機器が別途必要でした。このマイクは、その「もう一つの箱」を不要にするのです。
この発表に対し、SNS上では「ついにマイク単体で完結する時代が来たか」「プリアンプ内蔵で4万円台なら、むしろコスパ最強では?」「宅録ミュージシャンの救世主だ」といった、そのオールインワン性能に対する驚きと歓迎の声が溢れています。触った時の振動ノイズを抑える機構まで内蔵しているというのですから、まさに「これ一本でプロ品質」を本気で目指した、ローランドの意欲作と言えるのではないでしょうか。