2019年6月28日から29日にかけて開催されるG20大阪サミットを契機として、大阪湾岸部が今、かつてのイメージを覆すほどの大変貌を遂げようとしています。特にサミットの舞台となる人工島の咲洲(さきしま)を含むベイエリアでは、2025年の国際的なイベントに向けて、開発やインフラ整備が急速に進められているのです。かつて「負の遺産」とまで呼ばれたこの地域が、今や関西経済を牽引する一大拠点として大きな活気を帯びています。
この活況の最大の目玉が、1970年の開催以来2度目となる大規模な国際博覧会、すなわち2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)です。咲洲と同じく人工島である夢洲(ゆめしま)を会場とする万博は、約2,800万人の来場者を見込み、その経済波及効果はなんと約2兆円にも上ると試算されています。これは、2020年の東京五輪・パラリンピック後の日本経済において、新たな景気浮揚の起爆剤として、大きな期待が寄せられている証拠でしょう。
万博の成功を支える重要な要素の一つが、アクセスの改善です。現在、夢洲と対岸は連絡橋などで結ばれていますが、鉄道はまだ乗り入れていません。そのため、大阪市の大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)は、万博開催に間に合わせるべく、2024年度までに地下鉄中央線を延伸し、夢洲に新駅を建設する計画を推進しています。また、近鉄グループホールディングスも、地下鉄中央線に直通する近鉄けいはんな線と、同社の主要路線である奈良線などを直通特急で結びつける構想を打ち出しています。これは、ベイエリアを訪れる観光客を奈良や三重の伊勢志摩地域にも誘致し、広範囲な経済効果を狙う戦略的な動きといえるでしょう。さらにJR西日本も、万博後を見据え、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の最寄り駅がある桜島線(ゆめ咲線)を夢洲まで延伸する可能性を検討している模様です。
万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、最先端技術を披露する「未来社会の実験場」として構想されています。これに基づき、様々な新しいアイデアがすでに芽吹き始めています。例えば、米ウーバーテクノロジーズの日本法人は、革新的な移動手段である「空飛ぶタクシー」を万博会場と周辺空港の間で実用化させる構想を持っています。また、岩谷産業は、会場で用いるエネルギー源をクリーンな水素で賄うシステムの提案を検討しているとのことです。このように、未来の技術やライフスタイルを一足先に体験できる場として、万博への注目度は非常に高まっています。
万博と並行するIR誘致の動向と懸念点
万博と同じく夢洲を舞台とする計画が、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致です。大阪府と市は、万博よりも早い2024年度の開業を目指して、準備を進めています。長崎県など、他の自治体との誘致競争は激化していますが、IRは半年間の会期で終わる万博とは異なり、年間約7,600億円という持続的な経済波及効果が見込めるため、地域経済への貢献度が非常に大きいと考えられています。
この巨大な商機を掴もうと、海外のカジノ大手企業も大阪へのアピールに余念がありません。特に、MGMリゾーツ・インターナショナルはオリックスと共同で事業に参画する意向で、関西に地盤を持つパナソニックや大林組といった企業との連携も模索しているようです。この他にも、ゲンティン・シンガポールやラスベガス・サンズなど、合計7つの事業者グループが、府・市のコンセプト募集に登録しています。海外のビッグネームが多数参入を表明している事実は、大阪IRプロジェクトの魅力を雄弁に物語っているといえるでしょう。
しかしながら、IR誘致には、カジノによるギャンブル依存症への懸念など、根強い批判も存在しています。IRの受け皿となる自治体を選定するための国の基本方針策定が、当初の予定から遅れ、今秋以降にずれ込む見通しとなっています。そのため、IRと万博をセットで進めることで夢洲全体の活性化を図ろうとする大阪府・市の戦略が、計画通りに進行するかどうかは、まだ不透明な状況です。この不確実性が、今後のベイエリア開発の大きな鍵を握るでしょう。
インターネット上では、「大阪の未来が変わる!」「ベイエリアの発展に期待大!」といった声が多く寄せられ、特に万博や交通インフラへの期待は高まっています。一方で、「IRよりも依存症対策をしっかりしてほしい」という懸念の声や、「五輪後の景気悪化を本当に防げるのか?」といった経済効果に対する慎重な意見も散見されます。読者の皆様と共に、このビッグプロジェクトの行方には引き続き注目し、その可能性と課題を深く掘り下げていきたいと思います。