衝撃の健康格差:日本の「管理職・専門職」はなぜ欧州と異なり高い死亡リスクに晒されているのか?

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2019年6月26日に公表された、東京大学などが主導した国際比較調査の結果は、日本のビジネスパーソン、特に管理職や専門職の男性が抱える健康上の課題を浮き彫りにしました。この調査によると、日本の管理職や専門職に就く男性は、他の職種の労働者と比較して死亡率が高いという、驚くべき実態が判明したのです。これは、管理職の方が一般的に健康状態が良いとされるヨーロッパ諸国の傾向とは真逆の、「健康格差」が存在することを示唆しています。

このデータは、1990年から2015年にかけての日本、韓国、そしてヨーロッパ8ヶ国の35歳から64歳までの男性の死亡データを収集し、職種間の年齢構成の違いを統計的に調整(年齢構成の違いを取り除く:比較対象となる集団の年齢分布が異なる場合に、その影響を排除して真の比較を可能にするための統計的な手法です)した上で比較されたものです。日本の管理職・専門職の男性の死亡率が顕著に上昇したのは、バブル経済崩壊後の1990年代後半であることが確認されています。この時期を境に、彼らが背負う心身の負担が急増した可能性が考えられるでしょう。

その背景にあると推測されるのが、企業や組織の構造的な変化です。長引く景気低迷や組織のスリム化に伴い、管理職の役割が大きく変わりました。本来、部下のマネジメントや組織運営を担うべき立場でありながら、自らも現場の業務をこなさなければならない**「プレーイングマネジャー」化が進行したのです。これにより、管理業務と実務という二重の責任を負うことになり、結果として彼らの心と身体への負荷が増大し、その影響が健康リスクとして現在も尾を引いていると見られています。

この調査結果が公表されると、SNS上でも大きな反響を呼びました。「まさに自分のことだ」「プレマネの辛さがデータに表れた」「日本独特の働き方の問題では」といった共感や危機感を表明するコメントが多数見受けられました。多くの方が、この「管理職・専門職の健康リスクの高さ」**という問題を決して他人事とは捉えていないようです。組織の期待と現実の業務量のギャップに苦しむ声が、インターネットを通じて噴出しています。

私見ですが、このデータは日本の労働環境における根深い問題を突きつけていると言えるでしょう。ヨーロッパの管理職が比較的健康なのは、彼らが「マネジメント」に専念できる環境があり、ワークライフバランスが重視されているためです。一方、日本においては、精神論や長時間労働を美徳とする企業文化、そして中間層の負担増を解消しない組織構造が、優秀な人材の命を削っているのではないでしょうか。企業は、単なる組織のスリム化ではなく、管理職が真のマネジメントに集中できるような権限委譲と、業務負担の適正化を急ぐ必要があると考えます。

日本の企業競争力を支える中核であるはずの管理職や専門職が、その責務の重さから健康を損なう状況は、極めて憂慮すべき事態です。この2019年6月26日に発表された事実は、組織のあり方、ひいては日本の働き方全体を見直すための重要な警鐘として受け止められるべきでしょう。今後、企業側がこの健康格差をどう解消していくのか、社会全体の注目が集まっています。

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