【2019年最新】小売業界の設備投資動向を徹底分析!セブン&アイ、イオンの戦略と成長企業を深掘り解説

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2019年6月26日付の日本経済新聞MJ(流通新聞)にて発表された「第52回18年度の小売業調査」は、日本の流通業界の設備投資(企業が事業を維持・拡大するために行う固定資産への支出、具体的には店舗の新設や改装、情報システム導入など)の動向を明らかにし、大きな注目を集めています。この記事は、2018年度の実績と2019年度の計画を詳細な数値で示しており、各社の将来への期待と戦略が垣間見えます。

特に小売業界の巨大な二大勢力、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)とイオンの動向は、業界全体の未来を左右すると言っても過言ではありません。2018年度の設備投資額では、セブン&アイHDが約5393億円と小売業でトップに立ちました。対してイオンは約4956億円と、僅差で追従する形となっています。しかし、2019年度の計画を見ると、セブン&アイHDが約4337億円と前年度比でマイナス19.6%の減少を見込む一方、イオンは約5000億円と微増ながら堅調な計画を立てており、両社の戦略の違いが浮き彫りになってきていると言えるでしょう。

コンビニ・百貨店の戦略転換:投資の集中と選択

コンビニエンスストア(コンビ二)業界では、セブン-イレブン・ジャパンが2018年度に約1100億円を投資したものの、前年度比でマイナス19.3%の大幅減となりました。2019年度の計画値は非公開ですが、この減額は、新設投資率(設備投資総額に占める新しい店舗や施設への投資の割合)が62.4%と高水準であることから、単なるコスト削減ではなく、店舗のスクラップ&ビルド(古い店舗を閉鎖し、立地の良い場所で新しい店舗を開設すること)や、より効率的な投資への集中を図っていると推察されます。

百貨店業界も変革期を迎えています。高島屋は2018年度に約989億円と大規模な投資を行いましたが、2019年度は約482億円とマイナス51.2%の計画です。三越伊勢丹ホールディングスも同様に2019年度は約470億円とマイナス16.9%と、投資を抑制する姿勢が見受けられます。これは、リアル店舗の価値を再定義し、大型の改装や新規出店といった従来の拡大戦略から、既存店の効率化や、デジタル領域への投資に軸足を移しつつあることを示唆しているのではないでしょうか。J.フロントリテイリングや大丸松坂屋百貨店なども、2018年度は積極的でしたが、2019年度は計画値が未公表の企業が多い状況です。

急成長を遂げるドラッグストアとディスカウントストア

一方で、成長戦略を明確に打ち出し、積極的な投資を続ける業態も見られます。ドラッグストア(DRG)業界の伸びは特に顕著です。サンドラッグは2019年度に約190億円と前年度比で50.9%増の設備投資を計画していますし、Genky DrugStores(ゲンキー・ドラッグストアーズ)は2019年度に約113億円と75.3%もの大幅増を計画しており、その攻めの姿勢が際立ちます。これは、調剤併設型の新店舗や、生活必需品を広く扱うことで地域に根差したインフラとしての役割を強化していることの表れだと考えられます。

また、ディスカウントストア(DS)業界も目を離せません。しまむらは2019年度に約182億円と50.5%増、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドン・キホーテHD)も2018年度に約560億円と23.6%増の投資実績があり、依然として高い成長意欲を持っています。これは、価格競争力とユニークな店舗運営で消費者の支持を集め、市場でのシェア拡大を目指しているからでしょう。これらの企業の積極的な投資は、SNS上でも「近所に新しいドラッグストアができて便利になった」「ドン・キホーテの品揃えはやっぱり面白い」といったポジティブな反響を呼んでおり、消費者の生活圏に直結する投資の重要性を改めて感じさせます。

スーパーマーケット・生活協同組合の地域密着型投資

スーパーマーケット(SM)や生活協同組合(生協)の投資動向も多様性に富んでいます。マックスバリュ西日本が2019年度に約158億円と170.1%の大幅増を計画しているほか、生協のコープさっぽろも約149億円と106.1%増、コープみらいも約139億円と151.5%増、そして京都生協も約75億円と644.0%という驚異的な伸びを計画しています。これらの大幅な投資増は、地域の食を支えるインフラとして、店舗の老朽化対策や、より新鮮で安全な食材を提供するための物流・加工施設の強化に重点を置いているためと見て間違いありません。

これらのデータからは、小売業界が単にモノを売る場から、生活の利便性や豊かさを提供する「サービス拠点」へと進化している様子が読み取れます。特に、積極的な投資を行っている企業は、変化の激しい現代の消費行動に対応するため、単なる店舗数の増加ではなく、デジタル化(DX:デジタルトランスフォーメーション)やサプライチェーンの最適化など、見えない部分への投資を強化していると考えるのが自然です。

流通業界の未来予測:投資の波が示す方向性

この調査結果全体を俯瞰すると、2019年度の小売業界の設備投資は、巨額の投資を行った後の反動減が見られる企業と、成長の勢いを加速させるために積極投資を続ける企業とに二極化していると判断できます。百貨店や一部の総合スーパーが投資を抑制する中で、ドラッグストアや一部の食品スーパーが躍進している状況は、「選択と集中」の重要性を私たちに示しているのではないでしょうか。

私が編集者として強く感じるのは、これからの小売業の生き残り戦略は、**「新設投資率」の高さ、すなわち未来の顧客体験を創造するための「革新的な店舗作り」にかかっているということです。ただ漠然と設備投資を増やすのではなく、消費者のライフスタイルや地域のニーズにどれだけ的確に応じた投資ができるか。そして、その投資がどれだけ明確なリターン(投資利益)**を生み出すか、その手腕が問われていると言えるでしょう。この投資の波は、きっと私たちの買い物体験を豊かで便利なものへと変えていくに違いありません。

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