アパレル業界や百貨店が、靴の販売において革新的な一歩を踏み出しています。それは、3D(3次元)技術を活用した足型計測サービスの相次ぐ導入です。オンラインファッション通販大手のZOZO(ゾゾ)は、ご自宅で手軽にスマートフォンのカメラなどを使って計測できるサービスを開始しました。一方、三越伊勢丹は実店舗に3D計測機器を導入し、2019年8月から本格展開を予定しています。これまでスーツやシャツといった衣料品で先行していたデジタル計測が、ついに靴の分野にも本格的に広がりを見せています。
靴選びは、ファッションの中でも特に「サイズが合わない」「履き心地が悪い」といった失敗が多く、消費者の悩みでもありました。この3D計測は、まさにその悩みを解消し、試着の手間を省きながら、自分にぴったりの靴を見つけられるという画期的なソリューションです。この動きは、デジタル技術がもたらす顧客体験(CX)の向上であり、小売業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を象徴する出来事だと言えるでしょう。
ZOZOは2019年6月24日、3D計測を簡単に実現する「ZOZOMAT(ゾゾマット)」の予約を専用サイトで開始しました。これは、以前の計測スーツ「ゾゾスーツ」に似た、足型を測るための専用マットを利用者のお宅へまず配布する仕組みです。利用者はこのマットの上に足を乗せ、スマートフォンの専用アプリを起動します。そして、両足の周囲を撮影するだけで、足の長さや幅といった詳細なデータがスマートフォンに表示されるという手軽さが大きな魅力です。
今後は、このマットを新聞やチラシなどにも掲載することで、インターネットで予約しなくても誰でも計測できるようにする計画です。2019年秋からは発送を始める予定で、これにより、お客様は実際に靴を試着しなくても、ご自身の足型にぴったりと合う靴をオンラインで注文できるようになる見込みです。SNSでは「これで靴の通販の失敗が減る」「画期的!」といった、期待感に満ちた反響が多く寄せられており、特にオンラインでの靴選びにおける不安解消への期待は非常に大きいようです。
百貨店の「実店舗の強み」を活かした3D計測サービス
一方、百貨店の三越伊勢丹は、2019年8月に伊勢丹新宿本店(東京・新宿)の婦人靴売り場を刷新し、3D機器を用いた計測サービスを導入する予定です。この店舗でのサービスは、お客様が足を専用機器に入れると、内蔵された8台のカメラが数十秒という短時間で、足の幅や長さといったデータを自動的に計測し、その結果をタブレット端末やパソコンに表示するというものです。
計測されたデータに基づき、お客様の足のサイズにぴったりの既製靴やオーダー靴が提案されます。既製靴は約1,000種類ものパンプスなどを中心に用意され、オーダー靴(2万3千円~)は約1万2千通りの組み合わせから選ぶことができるとのことです。3D機器の導入によって計測時間が大幅に短縮されるだけでなく、このサービスでは履き心地や靴の使用用途に関する専門スタッフによる丁寧な相談にも対応し、実店舗ならではの「接客」という強みを最大限に活かした展開を見せています。
同様の動きは他の百貨店にも広がっており、高島屋は2018年9月には既に日本橋店(東京・中央)の婦人靴売り場で3D計測器を導入しています。さらに高島屋は、このサービスを2019年内には大阪店(大阪市)でも開始する計画を発表しています。これは、オンラインとオフライン(実店舗)の融合、つまり「OMO(Online Merges with Offline)」戦略の成功事例として、非常に注目すべき流れでしょう。オンラインで便利に測れるZOZOと、専門家のアドバイスを受けながら実店舗で選べる百貨店。消費者は、自分のライフスタイルや目的に合わせて、最適な靴選びの方法を選択できるようになるはずです。