今、大規模な還元キャンペーンが話題の中心となっている**「キャッシュレス決済」ですが、その利用動向には興味深い実態が見えてきました。MMD研究所が2019年4月末から5月上旬にかけて、20歳から69歳の男女6,388人を対象に実施した調査によると、「現金以外のキャッシュレス決済を最も利用する」とした、いわゆるキャッシュレス派が半数近くに達したことが明らかになったのです。しかし、最もよく利用する決済方法として「現金」を挙げた方も半数以上を占めており、現金志向の根強さが浮き彫りになっています。キャッシュレス決済をさらに普及させるためには、まだ多くの課題が残されていると言えるでしょう。
具体的に見てみると、最もよく利用する決済方法で「現金」と回答した人は54.2%で、「現金以外」と回答した45.8%を上回りました。「現金以外」の内訳では、クレジットカードが33.6%と、現金に次ぐ利用率の高さを示しています。また、今年の大型連休にキャッシュレス推進協議会が実施した「キャッシュレス・ウィーク」という普及啓発キャンペーンについても認知度が低いことが判明しました。特に現金派では62.9%、キャッシュレス派でも40.5%が「聞いたことがない」と回答しており、情報伝達の難しさがうかがえます。
一方で、ソフトバンクやヤフーが設立したPayPay(ペイペイ)をはじめとするIT大手が提供する、スマートフォンを使ったQRコード決済やバーコード決済の存在感は高まっています。これらは、QRコードを読み取るか、提示されたバーコードを読み取ってもらうことで決済が完了する仕組み(QRコード決済とは、専用アプリを開き、お店側が用意したQRコードやバーコードを読み取って支払う電子決済の方式のことです)で、PayPayやLINE Pay(ラインペイ)などは、定期的に高い還元率のキャンペーンを実施し、利用者を取り込んでいます。
例えば、都内に住む31歳の会社員女性は、「ペイペイの20%還元策で、約1万円分の残高がたまりました」と、その利便性を高く評価しています。さらに、「友人との割り勘もスマホ決済で送金するようになり、現金をほとんど持たなくなったため、小さい財布に変えました」と、ライフスタイルの変化も生まれているようです。SNS上でも、「還元率が高いから使ってみたら便利でハマった」「もうお財布は持ち歩かなくていい」といった、積極的な利用を支持する声が多く見受けられます。
しかし、キャッシュレス決済への移行には慎重な声も少なくありません。千葉市に住む男性からは「QRコード決済は使える店がまだ少ない」という不満が聞かれます。また、横浜市の女性は「クレジットカードや銀行口座の情報をアプリに入力するのは、情報流出のリスクが怖い」と懸念を示しています。これは、不正アクセスなどにより個人情報や資産情報が漏洩する可能性に対する不安で、利用者にとって無視できない懸念材料であることは間違いありません。私自身の意見としても、利便性の向上と共に、セキュリティ対策の強化と、その情報開示が信頼構築には不可欠であると考えられます。
増税後のポイント還元策の認知度と今後の課題
2019年10月に予定されている消費増税に合わせて、政府はキャッシュレス決済を利用した消費者に対するポイント還元を実施する方針です。これは、増税後の消費の落ち込みを防ぎ、同時にキャッシュレス化を推進するための重要施策です。この政府のポイント還元策に対する認知度を調査したところ、キャッシュレス派では60.9%が知っていると回答しましたが、現金派では42.8%**にとどまり、全体の半数以下という結果になりました。
この結果から、やはり現金派層に対して、増税後のポイント還元のメリットや、キャッシュレス決済自体の利便性をより分かりやすく伝え、使い勝手を向上させることが、今後の大きな課題となるでしょう。ポイント還元という具体的な経済的インセンティブ(行動を促すための動機付け)は、現金派をキャッシュレスに振り向かせる強力な武器となり得ます。決済の選択肢が増えることは消費者にとって喜ばしいことですが、その安全性を確保しつつ、すべての人にとって分かりやすい情報提供とサービス設計が求められていると言えるでしょう。