💥中小企業の悲鳴が響く! 日商が異例の「最低賃金3%超引き上げ反対」を表明した地方経済の切迫した現実

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政府が推進する最低賃金の引き上げ議論に対し、日本商工会議所(日商)など中小企業3団体が2019年5月28日、異例の緊急反対提言を発表しました。提言では、政府が掲げる「3%を上回る目標を新たに設定すること」に強く反対する姿勢を示し、さらに全国一律の目標を設けることにも反対の意を表明しています。これは、中小企業の間で最低賃金の負担が重すぎるとの意見が噴出し、ついに経済団体が正面から異議を唱える事態となったことを示しています。

日商が最低賃金の引き上げ議論を巡って、これほど明確に反対意見を表明するのは初めてのことです。最低賃金は、学識者や労使代表が集まる審議会で決定され、企業はそれを下回る賃金で雇用することができないという強制力を持つ基準です。政府は、6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、全国平均を早期に1,000円にする目標を明記する方向で調整を進めており、日商は、同年7月から8月にかけて予定されている最低賃金の審議会を前に、中小企業の窮状を訴えるべく、明確な立場を打ち出しました。

最低賃金は、2016年から3年連続で3%程度の引き上げが続いています。これに対し、日商の三村明夫会頭は2019年5月23日の記者会見で、過去の実績について「政治の意向を明らかに忖度(そんたく)している」と指摘し、政治主導の引き上げに対して強い不満を示されました。日商の調査によれば、中小企業の賃上げ率は2018年に1.4%にとどまり、最低賃金の引き上げに伴って自社の賃金を引き上げた企業の割合は、2019年度に38.4%と上昇しているものの、これ以上の引き上げは経営体力を奪うと考える経営者が増えているのが現実です。

日商が強く反対しているもう一つの論点は、全国一律の目標を置くことです。現在の最低賃金は全国平均で時給874円ですが、都道府県ごとに経済状況が異なるため、最も高い東京都(985円)と最も低い鹿児島県(761円)との間には224円もの開きがあります。日商は、全国一律の目標を設ければ、地方の中小企業への影響が大きすぎ、雇用や事業の存続そのものを危うくするとの強い危機感を表明しています。彼らは、「中小企業の経営実態を考慮し、納得感のある水準を決定すべきだ」と主張しているのです。

SNS上でも、この最低賃金の問題は大きな議論を呼んでいます。「地方は本当に厳しい。一律1,000円は倒産を招く」「政治の忖度で決めるのはおかしい」といった、地方の切実な声を代弁する意見が多く見受けられました。一方で、「賃上げは内需拡大のために必要だ」「生産性の低い企業は淘汰されるべき」といった、経済の構造改革を求める声も散見され、賛否両論が渦巻いています。

経済界の中でも、意見の温度差が見られます。経済財政諮問会議の民間議員であるサントリーホールディングスの新浪剛史社長は、2019年5月14日の会議で5%の引き上げに言及するなど、積極的な姿勢を示されました。新浪氏ら民間議員は連名で、「より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指すべきだ」とする資料を提出しています。しかし、同じく民間議員を務める経団連の中西宏明会長は、その資料から名前を外し、「現実の地方の声はなかなか厳しい」と中小企業に配慮する姿勢を見せられました。

私自身の意見としましては、最低賃金の引き上げ自体は、格差是正や内需拡大のために不可欠な政策であると考えます。しかし、その実施にあたっては、日商が訴えるように、地域間の経済格差を無視した一律の目標設定は避けるべきでしょう。政府は、賃上げによる中小企業の負担軽減策として税制優遇案などを検討していますが、大和総研の神田慶司シニアエコノミストが指摘するように、「政府の補助がなくても賃上げができるように、事業規模の拡大など経営の抜本的な見直しが必要」です。中小企業側も、単なる反対だけでなく、生産性向上のための自助努力と革新が同時に求められていると言えるでしょう。

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