【米中摩擦の裏側】ファーウェイ、米物流大手フェデックスとの取引見直し検討へ。日本の荷物がアメリカに「無断転送」された衝撃

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2019年5月29日付の報道で、米中貿易戦争の緊張感を象徴するような、驚くべき物流トラブルが明らかになりました。中国通信機器の巨人、華為技術(ファーウェイ)が、米国の巨大物流企業フェデックス(FedEx)との取引を見直す検討に入ったというのです。原因は、ファーウェイが日本から中国へ送った重要な小包が、フェデックスによって無断で米国本社へと転送されてしまったことにありました。

この一件は、単なる誤配では済まされない事態として受け止められました。ロイター通信などの報道によると、2019年5月19日から20日にかけて、東京から中国へ送られた2つの小包が、なぜか米国へ送られていたそうです。さらに、ベトナムからも香港とシンガポールのオフィスへ送られた2つの小包が、意図しない別の場所へ転送されようとしていました。中身はすべて書類だとされていますが、この時期の転送は極めて疑念を呼ぶものでしょう。

当時、米国政府はファーウェイに対し、事実上の輸出禁止措置を発動するなど、制裁を拡大していました。この輸出禁止措置とは、米国からの物品やソフトウェアの輸出を禁じるだけでなく、海外で生産された製品でも、米国由来の部品やソフトウェアが一定量以上含まれていれば規制対象になるという、非常に厳しいものです。SNS上では、「これは誤配ではなくスパイ行為ではないか」「ファーウェイの企業秘密を盗み出そうとしているのだろう」といった憶測が飛び交い、米国の制裁が物流というインフラにまで影響を与えていることに衝撃が走りました。

フェデックスの中国法人は、「誤配だった。第三者に転送を要求されたわけではない」と釈明の声明を出しましたが、ファーウェイ側は中国の郵政当局に苦情を申し立て、取引の見直しを検討するなど、強い不信感を露わにしました。物流サービスそのものは、米国の輸出規制の対象ではありません。しかし、この前例のない国際的な規制措置を巡る混乱の中で、セキュリティ意識やコンプライアンスの線引きが曖昧になり、今回のような誤転送が発生した可能性が指摘されています。

コラムニストである私の見解ですが、このトラブルは、米中対立が技術や貿易の領域を超え、私たちが普段意識しない「物流」という社会インフラの根幹を揺るがし始めていることを示しています。国家間の緊張が高まると、企業間取引の安心・安全は一気に崩れ去るものです。今回の日本の荷物が米国へ送られた事態は、サプライチェーンの再構築が、もはや「どこで製造するか」だけでなく、「誰の物流網を使うか」という段階に進んだことを示唆していると言えるでしょう。

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