【スズキ不正再発の代償】鈴木会長「1年無報酬」に込めた痛恨の覚悟。200万台リコールが問う名門企業の品質信頼

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2019年5月29日付の報道は、日本の自動車産業の信頼を揺るがす、スズキの度重なる不正発覚に対する厳しい対応を伝えました。同社は5月28日、新車を出荷する前の完成検査における不正に伴い、経営陣の報酬減額を含む厳罰を発表しました。この不正行為は、2016年の燃費測定不正に続く重大なものであり、国内最大規模の約200万台に及ぶリコール(回収・無償修理)を招いています。

ここで言う完成検査とは、製造された新車が、国が定める安全・環境基準などを満たしているかを最終的に確認する重要なプロセスです。スズキでは、この検査で測定データを書き換えて不合格車両を合格としてしまったり、必要な資格を持たない無資格者が検査を実施したりしていたことが発覚しました。鈴木修会長(当時)は、「16年の不正の後、全社的に取り組んでいたにもかかわらず、今回の不正をしでかしたことに驚きつつ反省している」と、強い危機感を表明されました。

この事態を受け、経営陣は極めて重い責任を取る姿勢を示しました。鈴木修会長は本人の申し出により、2019年7月分以降の月額報酬を1年間無報酬とするという、異例の処分を自らに課しました。鈴木俊宏社長も月額報酬を半年間半減とし、生産本部長を含む取締役も退任や報酬減額の対象となりました。代表取締役や取締役は2018年度の賞与も辞退するなど、経営層全体で責任を明確化しました。

SNS上では当時、「またスズキか」「懲りない企業体質をどう変えるのか」といった、厳しい意見が飛び交う一方で、「会長が1年無報酬とは相当な覚悟だ」「再発防止に期待したい」という声も上がっていました。同社は、不正により大きくブランドイメージを毀損する可能性を認識し、状況の立て直しを急いでいます。その一環として、6月には検査改革委員会を新設し、製造現場と検査部門を分離して独立性を高めるといった、再発防止策を打ち出しました。

コラムニストとしての私の意見ですが、企業が長年にわたり築き上げてきた「品質の信頼」は、一瞬の不正で容易に崩壊します。スズキが今後5年間で約1,700億円を投じて再発防止と品質強化を図るという決断は評価できますが、本当に必要なのは、**「現場のモラルと倫理観」**という見えない部分の徹底的な改革です。この度重なる不正は、経営陣の覚悟だけでなく、企業風土そのものが変われるかという、日本の製造業のガバナンスが問われる試練だと考えるべきでしょう。

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