📈インバウンド特需が加速!2019年3月百貨店売上高を左右する都市と地方の二極化を徹底分析

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2019年3月の百貨店販売実績がまとまり、日本の小売業界における都市と地方の格差が鮮明になる結果となりました。日経MJの調査によると、主要10都市の合計売上高は前年同月比で0.8%の増加を記録しましたが、主要10都市以外の地方においては、1.4%の減少と苦戦が続いています。この数字は、百貨店ビジネスが訪日外国人(インバウンド)需要という大きな波に強く依存している現状を浮き彫りにしていると言えるでしょう。

都市部が好調を維持している要因はいくつかありますが、特に雑貨や食料品の売れ行きが堅調である点が挙げられます。また、訪日外国人による高級雑貨や化粧品の購買意欲が衰えていないことも、売上を押し上げる大きな力となっています。訪日客の多い東京で前年比0.6%増、大阪で2.6%増、札幌で0.7%増となっていることが、この影響力の大きさを物語っています。SNSでは「東京の百貨店の化粧品売り場は、いつも外国人で賑わっている」といった投稿が多く見られ、インバウンドの存在が日常の風景となっていることがうかがえるのではないでしょうか。

商品別で見ても、雑貨が3.6%増、身の回り品が1.2%増、食料品が0.1%増と、生活に密着した分野や、訪日客の土産物になりやすい分野が伸びています。一方で、婦人服・洋品は1.0%減、紳士服・洋品は横ばいという結果になり、衣料品の販売は伸び悩んでいます。これは、天候不順の影響で春物衣料の動きが鈍かったことが主要因と考えられます。ファッションアイテムの販売が季節や気温に左右されやすいという、小売業の宿命が垣間見える結果であると言えるでしょう。

特に深刻なのは、主要10都市以外の地域の苦戦です。関東(1.6%減)、中部(1.7%減)、中国(3.7%減)など、8地域中6地域が前年実績を下回っています。これは、インバウンドによる経済効果が、依然として大都市圏に集中していることを示しています。百貨店にとって、訪日客が少ない地方で、国内消費の低迷をいかに乗り越えるかという課題は、今後ますます重くなっていくでしょう。

私は、このデータから、百貨店業界が二つの異なる市場で戦っているという認識を持つべきだと考えます。一つは、「インバウンド特需」を享受できる大都市圏の店舗です。ここでは、高級ブランドのラインナップ強化や多言語対応など、富裕層の訪日客をいかに取り込むかが鍵となるでしょう。もう一つは、「国内需要」に特化せざるを得ない地方の店舗です。こちらは、地域住民のニーズに深く根差した食料品やサービスの充実、あるいは地元の特色を活かしたコミュニティスペースとしての役割を強化することが不可欠になるでしょう。

具体的な店舗の実績を見てみると、伊勢丹本店が5.3%増と好調を維持しており、インバウンドの強い支持を得ていることが分かります。また、名古屋の名鉄百貨店が17.9%増と非常に大きな伸びを示している点も特筆すべきでしょう。一方で、神戸大丸の8.8%減や高島屋日本橋店の9.4%減など、個別の店舗や地域によっては厳しい数字も見られます。この明暗の分かれ方こそが、2019年3月現在の百貨店業界の複雑な構造を映し出していると言えるでしょう。

この状況を踏まえ、百貨店が今後も日本の流通の要として存在感を放つためには、単なる「モノを売る場所」から、「体験を売る場所」へと進化することが急務でしょう。大都市の店舗はインバウンドを軸に世界のトレンドを発信し、地方の店舗は地域に寄り添ったライフスタイル提案に注力するなど、それぞれの立地特性に応じた戦略の再構築が求められているのではないでしょうか。

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