2019年5月の静岡県内における中小零細企業の経済状況が、明るい兆しを見せています。静岡県商工会連合会が発表した小規模企業景気動向調査によれば、景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でマイナス5.4となり、前月比で2.7ポイントの上昇を記録いたしました。これにより、県内景況感は2カ月連続での改善という結果になったのです。
この景況感の改善を力強く後押ししているのが、建設業界の好調な動きです。特に、2019年10月に予定されている消費税増税を前にした「駆け込み需要」が、建設関連の受注増加に大きく寄与していると考えられます。建設業の業況DIは14.7と、前月から17.6ポイントという驚くべき大幅な上昇を遂げており、その勢いが全産業のDIを引き上げている状況が鮮明に見て取れます。
建設業界では、増税前の需要だけでなく、夏の到来に向けた内装や塗装工事なども増加傾向にあるとの報告も入ってきており、目先の好況が期待できるでしょう。この「駆け込み需要」とは、消費税率が上がる前に、少しでも価格が安いうちに高額な商品やサービスを購入しようとする消費者や企業の行動を指します。特に住宅やリフォームといった大きな出費を伴う建設分野で顕著に現れる傾向があります。
一方で、すべての業種が好調というわけではありません。製造業のDIはマイナス7.8と、前月から3.9ポイントの低下が見られ、景況感は悪化している状況です。これは、ゴールデンウィークの大型連休による稼働日数の減少や、それに伴う受注機会の減少などが影響した可能性が高いと考えられます。また、小売業でも景況感の悪化が報告されており、地域経済の回復には業種ごとのバラつきがあることを示唆しているといえるでしょう。
この調査は、2019年5月末時点を基準として、静岡県下35商工会を対象に実施され、34の商工会から回答を得て集計されたものです。この結果から、静岡県内の小規模企業は、増税という大きな経済イベントを前に、建設業を中心に一時的な活況を呈していると判断できます。しかし、製造業や小売業の動向には引き続き注意が必要であり、増税後の反動による景気後退をいかに抑えるかが今後の焦点となるでしょう。
私見ですが、今回の建設業の急激な景況感の改善は、短期的なものに終わる可能性が高いと考えています。消費税増税という特需がなくなれば、その反動で景況感が急速に冷え込む恐れがあるからです。県内の商工会や行政は、この一時的な好況に安堵することなく、中小企業が持続的に成長できるような、より本質的な支援策や販路開拓のサポートを充実させるべきでしょう。この建設業の活況を、他の産業へ波及させるための戦略的な動きが求められていると言えるのではないでしょうか。