国税庁より2019年7月1日、最新の路線価が発表されました。皆さんはこのニュース、もうチェックされましたか。なんと、2019年1月1日時点での標準宅地の評価基準において、全国平均が前年比で1.3%アップという結果が出ました。これで4年連続の上昇となるわけですが、特筆すべきはその上げ幅です。この4年間で最も高い上昇率を記録しており、日本経済の足元が力強く推移していることを感じさせる明るいニュースと言えるのではないでしょうか。
そもそも「路線価」とは、道路に面した標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、私たちが相続税や贈与税を計算する際の基準となる極めて重要な指標です。実勢価格(実際の取引価格)とは異なりますが、地価のトレンドを掴む上では欠かせないデータです。今回の発表を受け、SNS上では「地価が上がるのは景気が良い証拠」と歓迎する声がある一方で、「実家の相続税が心配になってきた」「固定資産税への影響はどうなるの?」といった、生活に直結する不安の声も多く見受けられます。
観光立国が生んだ「バブル超え」の衝撃と地方への波及
今回の上昇を牽引している最大の要因は、間違いなく「インバウンド(訪日外国人客)」の増加と、それに伴う再開発の活況です。都心部だけでなく、その勢いが地方へと波及し始めているのが今年の特徴と言えます。実際、都道府県別に見ると、地価が上昇したのは東京、大阪、愛知を含む19都道府県にのぼり、昨年の18都道府県から増加しました。特に注目すべきは、LCC(格安航空会社)の増便で多くの観光客が訪れている大分県などが、マイナス圏からプラスへと転じたことでしょう。
上昇率のトップに躍り出たのは沖縄県で、なんと8.3%という驚異的な伸びを見せました。好調な観光需要が、これほどまでに地価を押し上げるパワーを持っていることに驚かされます。また、首都圏に目を向けても、東京都が4.9%増、千葉県と埼玉県が1.0%増、神奈川県が0.9%増と、いずれも6年連続で上昇しており、東京オリンピックを翌年に控えた高揚感が数字にも表れているようです。愛知県も7年連続の上昇となり、大都市圏の地価は盤石の強さを見せています。
そして、毎年恒例の話題となる「日本一高い場所」ですが、今年も東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前がトップを飾りました。これで34年連続の首位となりますが、驚くべきはその価格です。1平方メートルあたり4560万円という、我々の金銭感覚を遥かに超える金額がつきました。これは3年連続で過去最高額を更新したことになり、かつてのバブル経済期をも凌駕する勢いです。銀座のブランド力と集客力が、依然として圧倒的であることを物語っています。
光と影が交錯する「二極化」の現実とこれから
一方で、日本全国すべての土地が値上がりしているわけではありません。下落したのは27県あり、依然として多くの地域で地価が下がっている現実があります。もちろん、そのうち22県では下落幅が縮小しており、底打ちの兆しは見えているものの、大都市圏や強力な観光地を持つエリアと、そうでない地域との「二極化」は続いています。この傾向は今後もしばらく続くでしょう。地方創生の鍵がいかに「人を呼ぶ力」にあるか、今回の路線価は如実に示していると言えます。
私自身、このニュースを見て強く感じるのは、地価上昇は経済にとって歓迎すべきことである反面、私たち個人の資産管理においては「備え」が必要になるということです。地価が上がれば、将来発生する相続税の負担も当然増えることになります。「うちは銀座に土地があるわけじゃないから」と安心するのではなく、地方都市であっても駅前や観光地周辺などでは評価額が上がっている可能性があります。ご自身の資産価値を正しく把握し、早めに対策を練っておくことが重要になるでしょう。