「中国経済は本当に成長し続けているのか?」――世界中の投資家やエコノミストが抱き続けてきたこの疑問に対し、2019年5月28日、衝撃的な事実が浮かび上がってきました。中国の統計データに奇妙な「修正」が加えられ、経済規模が実質的に「縮んでいる」可能性が高いことが判明したのです。
これまで右肩上がりを演出し続けてきた巨大な経済大国で、一体何が起きているのでしょうか。公式発表される「増減率」の数字と、実際に積み上げられた「実額」の間に生じた巨大な矛盾。その裏には、地方経済の疲弊と、統計の信頼性を揺るがす構造的な問題が潜んでいました。
プラス成長なのに「金額」が減っている?数字のトリック
まずは驚くべきデータをご覧いただきましょう。中国国家統計局は、2018年の工業企業(中堅以上の製造業など)の利益が前年比10.3%増の約6兆6400億元(約110兆円)だったと発表しました。3年連続の増加です。しかし、過去のデータと照らし合わせると、目を疑う事実に突き当たります。
なんとこの金額は、2017年の実績どころか2016年にも及ばず、市場が混乱した2015年と同じ水準なのです。「前年比で10%以上増えているはずなのに、金額は数年前のレベルに戻っている」。このミステリーを解く鍵は、「統計の対象となる企業の数」にありました。
ここで言う統計対象の「中堅企業」とは、年間の売上高が2000万元(約3億数千万円)以上の企業を指します。実は、この基準を満たす企業の数自体が激減しているのです。倒産や廃業、あるいは売上減少で基準から脱落する企業が増えたため、生き残った優良企業の数字だけで「前年比プラス」を算出しても、経済全体の実額はシュリンク(縮小)してしまっているわけです。
無印良品も苦戦、SNSで広がる「実感」との一致
この傾向は消費の現場でも顕著です。小売売上高の統計でも、対象となる中堅以上の事業者(売上高500万元以上など)の売上合計が、2017年から2018年にかけて約9.5%も減少しています。急成長しているはずのネット通販を含めてこの数字ですから、実店舗の惨状は推して知るべしでしょう。
実際、中国で「勝ち組」とされてきた良品計画(無印良品)ですら、2019年2月期の既存店売上高が減少に転じています。このニュースに対し、SNS上では「やっぱりな」「最近、街の景気が悪いと感じていた」「公式発表のGDP6%成長なんて誰も信じていないが、ここまで酷いとは」といった、市民の肌感覚と合致する反応が多く見られました。
地方政府の「水増し」と筆者が見る中国の未来
さらに深刻なのが、統計不正の問題です。山東省のある都市では、売上高の基準を満たしていない企業を無理やり「中堅企業」として報告させ、数字を水増ししていた事実が発覚しました。地方官僚にとって、管轄地域の経済成長は見栄えの良い実績となるため、こうした圧力は氷山の一角だと考えられます。
私自身、この事態は中国経済が「量」から「質」への転換期において、これまでの無理が祟って膿が出始めた証拠だと見ています。環境規制や人件費高騰による工場の淘汰は必要な痛みかもしれませんが、それを隠すために統計をいじり、実態が見えなくなることは極めて危険です。
工業生産の品目別データを見ても、自動車や携帯電話を含む3分の2の品目で生産量が前年割れしています。見せかけの成長率を取り繕うのをやめ、この「縮小」という現実を直視した時こそ、中国経済の真の再生が始まるのではないでしょうか。