【CASE時代の黒衣】ロームが開発した「監視役を監視する」小さな巨人が、自動運転の未来を劇的に変える理由

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私たちが普段何気なくハンドルを握っている自動車が、今や「走るコンピューター」へと進化を遂げていることをご存じでしょうか。自動ブレーキや車線維持機能など、運転を支援する技術は日進月歩で進化しています。そんな中、京都に本社を置く電子部品大手「ローム」が、2019年5月28日、自動運転の安全性を根底から支える画期的な新製品を発表しました。

今回開発されたのは、先進運転支援システム(ADAS)向けの電源監視部品です。地味な名前に聞こえるかもしれませんが、この小さなチップが担う役割は、まさに人の命に関わる重大な任務なのです。

「監視役」自身が正常かどうかもチェックする、念入りの二重構造

自動運転やADASにおいては、カメラやセンサーといった「モジュール(複合部品)」が正しく作動することが絶対条件です。今回ロームが開発したのは、これらの機器に電気を送る電源が、正常に働いているかを常に見張り続ける「監視役」の部品です。

さらに驚くべきは、その徹底した安全思想です。この部品は、監視対象を見張るだけでなく、「自分自身の監視機能が壊れていないか」までを自己診断する機能を持っています。いわば「監視役を監視する」という二重のチェック体制を敷くことで、万が一の事故や誤作動を未然に防ぐ仕組みを構築したのです。

この新製品は、ローム浜松(浜松市)などの工場で、来る2019年8月にも月産10万個という規模で生産が開始される予定です。ここには、自動車業界全体に押し寄せる「CASE(ケース)」の波を捉えようとする、ロームの並々ならぬ決意が見て取れます。

「CASE」とは、コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字を取った次世代車のキーワードです。ロームはこれまで家電向けの部品を得意としてきましたが、今後はこの車載向け事業を強化し、売上高比率を現状の3割強から5割へと引き上げる計画を掲げています。

見えない場所から「安全」を支える日本の技術力

私はコラムニストとして、こうした「縁の下の力持ち」とも言える技術こそが、日本のモノづくりの真骨頂だと感じます。華やかな新型車の発表の陰には、絶対に故障が許されない過酷な環境下で、黙々と機能を果たし続ける電子部品の存在があるのです。

SNSやネット上の技術系コミュニティでも、このニュースには「ロームの車載シフトが本気だ」「自己診断機能付きとは、安全に対する執念を感じる」「目立たないけど、こういう部品がないと自動運転は怖いよね」といった、信頼と期待の声が多く上がっています。

家電からクルマへ。時代の変化に合わせて主力事業を大胆にシフトさせるロームの挑戦。その小さなチップの中に詰め込まれた「安全への誓い」が、これからのモビリティ社会をより確かなものにしていくことでしょう。

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