2019年06月30日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、6年という長い任期のちょうど中間地点を迎えました。強権的な手法で国内外から注目を集めてきた大統領ですが、政権後半に向けて解決すべき難題が山積みとなっている状況です。特に、中国との間で火花を散らす「南シナ海問題」の行方は、国民の関心が最も高いトピックと言えるでしょう。
SNS上では「ドゥテルテ節で国を引っ張ってほしい」という期待の声がある一方で、領有権問題における消極的な姿勢に「主権を売り渡しているのではないか」といった厳しい批判も飛び交っています。外交、経済、治安維持という、国の根幹を揺るがす3つの課題が、今後の政権運営の鍵を握ることは間違いありません。ここからは、フィリピンが抱える具体的な懸念事項を紐解いていきましょう。
棚上げされた領有権問題と経済の減速がもたらす不安
まず注目すべきは、南シナ海における領有権の争いです。ドゥテルテ大統領は、中国からの巨額の経済援助を引き出すため、あえて厳しい対立を避ける「棚上げ」という戦略を選択してきました。しかし、自国の排他的経済水域(EEZ:沿岸国が水産資源や鉱物資源を優先的に管理できる海域)での中国船の活動が活発化しており、実効支配が進むことへの危機感が国内で募っています。
経済面においても、これまでの勢いに陰りが見え始めているのは否定できません。2019年の第1四半期の成長率は、約4年ぶりの低水準を記録しており、物価の上昇やインフラ整備の遅れが国民生活に影を落としています。私は、目先の経済的利益を優先するあまり、長期的な安全保障や経済の自立性を損なってしまうのではないかと、強い懸念を抱かずにはいられません。
さらに、南部ミンダナオ島を中心とした「イスラム過激派」によるテロの脅威も依然として深刻です。武装勢力による襲撃事件は絶えず、平穏な日常を脅かす大きな要因となっています。ドゥテルテ氏は、持ち前の強力な指導力で治安を回復させると公約していますが、武力による解決だけでは根本的な問題の解消には至らないはずです。政権の真価が、まさに今、問われているのです。