2019年5月30日の外国為替市場では、円相場が力強く続伸し、市場にリスク回避のムードが広がる中、「安全通貨」としての円の存在感が際立っています。午後5時の時点での円は、1ドル=109円20銭~21銭で取引されており、前日の同時点と比べて21銭の円高・ドル安となりました。特に午前9時半ごろには、一時的に109円15銭という、およそ2週間ぶりの高値を付ける場面もありました。
この急激な円高の背景には、主に二つの大きな要因が作用しています。一つ目は、東京株式市場で日経平均株価が大幅に下落したことです。株価が下落し、投資家の間で見通しに対する不確実性が高まると、投資資金はリスクの高い株式などの資産から、リスクの低い円へと流れる傾向があります。円は、対ドルだけでなく、対ユーロや対オーストラリアドルといった他の主要通貨に対しても、運用リスクを回避するための買いが集中したのです。
二つ目の要因は、米国の長期金利の低下です。一般的に、米国の金利が低下すると、相対的に金利の魅力が薄れたドルを売って、円を買う動きが強まります。米中貿易摩擦の長期化懸念などを受け、世界の投資家が債券市場に資金を移動させていることが、米長期金利の低下を招いており、これが間接的に円買い・ドル売りの流れを誘っていると言えるでしょう。この米金利の低下は、円相場を押し上げる強力な追い風となっているのです。
私見ですが、円相場のこうした動きは、日本経済が安定しているという理由だけでなく、世界的に不安定な情勢下において、流動性(いつでも交換できること)が高く、地政学リスクが比較的低いという、円の**「避難通貨」**としての性質が強く発揮されている証拠です。SNSなどでも、「円高は輸入企業には厳しいが、安全なのは間違いない」「世界が荒れると円が買われる現象は、もはやお決まりだ」といった声が上がっており、円相場が世界の不安の度合いを示す鏡になっていることが分かります。
円は対ユーロでも続伸しており、この日の為替市場は、世界的なリスクオフムードが円という単一の通貨に集中して表れた一日であったと総括できるでしょう。