会社の定款とは何か?ビジネスマンなら知っておくべき定款の基本的常識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
会社を設立する際には定款の作成が必要です。

会社の設立には、発起設立と募集設立という二つの方法がありますが、どちらにおいても定款の作成は不可欠です。

定款とは、会社の目的、内部規則、活動などを定めた根本規則であり、いわば会社の憲法に相当します。

「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名しまたは記名押印しなければな」(26条1項)りません。

「発起設立」は、発起人が設立時発行株式の全てを引き受ける設立方法です。

一方の「募集設立」は、設立時発行株式の一部を発起人が引き受け、残りを外部から募集します。

発起設立の流れは以下のようになります。

①定款作成
②定款の認証
③出資の履行
④設立時役員等の選任及び解任
⑤設立時取締役等による調査
⑥設立登記



次に募集設立の流れです

①定款の作成
②定款の認証
③設立時募集株式を引き受けるものの募集、設立時募集株式に関する事項の決定
④設立時募集株式の引き受けの申し込み
⑤設立時募集株式の割り当て
⑥出資の履行
⑧設立時役員等の選任解任
⑨設立時取締役による調査
⑩設立登記



発起設立に比べ、外部から出資者を募集する募集設立は、手続きは面倒になります。

発起設立でも募集設立でも、会社を設立しようとする場合まず最初につくる必要があるのが「定款」です。

ここでは「定款」に関して、会社法上の規定や位置づけを詳しく見ていきましょう。


定款は会社の憲法


会社設立時点で作成される会社の根本規則であり、会社の組織・活動又は社員の地位を記載した書面を定款といいます。 根本的規則としての定款は、いわば会社の憲法といえる重要な定めといえるでしょう。このようにして作成された設立当初の定款を、その後において変更された定款と区別するために、原始定款と呼びます。 定款は会社内部の法規を定めたものであり、一種の自治法であると解するのが通説です。 定款を作成した発起人のみならず、会社に加入する株主及び会社の機関を当然に拘束する効力を有します。



定款って誰がつくるの?(定款の作成者)


会社を設立する場合、会社の設立を主宰する発起人が、定款を作成して会社の根本規則を確定します。

作成した定款は、法律実務に関わってきた専門家である公証人の認証を受ける必要があります。

また発起人は設立時発行株式を必ず引き受けなければならないとされています。

発起人は、実態としては「会社設立の参画者であり主催者」です。

しかし、正確な定款の定義としては事実上会社の設立に参画するかどうかに関わらず、「定款に法務省令で定める署名、記名押印又はそれに代わる措置をした者をいう(形式説:通説、大判明41.1.29、大判昭7.6.29)」とされています。

設立段階において会社の設立を主宰する者である発起人の資格に別段の制限はなく、制限能力者や法人も、また外国人も発起人になることができます。

発起人の員数規定については、特段の規定はなく、発起人の員数は1名でもよいことになっています。

また、設立事務を執行して、未完成な会社を完全な会社に成長発展させなければならないことから、発起人は設立中の会社の原始的構成員であるとともに、その執行機関であるともいえます。

なお設立を実質的に企画し尽力しても、定款に署名等をしない者は発起人ではなく(大判明41.1.29)、場合により擬似発起人として貴任を負うことがあるにすぎません。

形式的基準で取り扱われる結果、定款の署名が実質的にはいわゆる「名義貸し」の一面があります。

その出資義務の履行(25Ⅱ、34Ⅰ)が第三者によってなされた場合、それは「第三者の弁済」(民474Ⅰ)に過ぎず、その第三者が発起人(その株式の原始株主)になるわけではありません(高松高判平8.5.30)(江頭・61頁)。



定款を作成する理由


定款を作成する理由は、いくつか考えられます。

会社を設立しようとする場合においては、どのような事業をすることを目的に会社を成立させようとしているのかを、あらかじめ決めておく必要があるでしょう。

会社の成立後は、会社の行動範囲を決める根本的な規則を定めておく必要があります。

会社に出資しようとする者にとっては、その営業内容を知っておく必要もあります。

会社はその構成員が複数であることが通常で、団体として必要最小限度の規則が定められていることが必要です。

定款は、私的自治の原則からその内容を自由に定めることができますが(定款自由の原則)、強行法規や公序良俗に反する内容を定めることはできません。

会社法26条

【定款の作成】
1 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。



会社法27条

【定款の記載又は記録事項】
株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所



会社法29条

第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。



会社法30条

【定款の認証】
1 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。





定款の絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項


定款に記載又は記録される事項は、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3つに分類されます。

絶対的記載・記録事項


絶対的記載・記録事項とは、定款に必ず記載又は記録することを必要とし、記載又は記録をしてないと定款自体が無効となる事項のことです。

絶対的記載・記録事項は、以下の6つがあります。

  • ・目的
  • 会社が営利を実現するために営む事業内容を記載します。「飲食店の経営」や「日用雑貨の輸入及び販売」のように、できるだけ具体的に記載しなければなりません。

  • ・商号
  • 会社の名称である商号には、固有名詞の他に株式会社、合同会社などの会社の種類を用いなければなりません。

  • ・本店の所在地
  • 会社の主たる営業所の所在場所を含む独立最小の行政区画(市町村、東京都及び指定都市では区)を記載。具体的な所在場所は必ずしも定款に記載しなくてよいとされています。

  • ・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • 設立にあたっていくら出資されるかが明確になるように記載します。

  • ・発起人の氏名又は名称及び住所
  • 発起人の同一性を確認できるものであることが必要です。

  • ・発行可能株式総数
株式会社が発行することができる株式の総数です。授権株式数ともいわれます。

発行可能株式総数は、必ずしも定款作成時に定めることを要しません。

しかし、株式会社が成立するまでに、発起設立の場合は発起人全員の同意によって、募集設立の場合は創立総会によって、定款を変更して、発行可能株式総数を定めなければなりません。

設立時発行可能株式の総数は、譲渡制限のない株式を発行している公開会社においては、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません。逆に言えば、会社は発行可能株式総数の4分の1以上、株式を発行しなければなりません。

一般的に、発行可能株式総数の範囲内であれば、株主総会の決議を経ずに、取締役会の権限で株式を発行できます。

しかし、これを無制限に認めてしまうと、既存株主の持株比率が取締役会の裁量により大幅に低下してしまいます。

そのため、実際に発行する株式の総数に、一定の制限を課しているのです。

ただし、公開会社でない会社については、このような制限はありません。



定款の相対的記載・記録事項


相対的記載・記録事項とは、定款に記載又は記録しなくても定款そのものの効力に影響しませんが、その記載又は記録を欠くとその事項の効力が生しないもののことをいいます。

その事項の効力を望む場合には必ず定款に記載又は記録することを必要とし、株主総会決議や取締役会決議で定めても効力は生じません。

定款の相対的記載・記録事項には、以下のようなものがあります。
  • 変態設立事項(28)
  • 全部の株式の内容に関する特別の定めに関する事項(107Ⅱ)、種類株式に関する事項( 108Ⅱ )
  • 単元株式数に関する規定( 188 )
  • 単元未満株式についての権利の制限( 189Ⅱ )
  • 株主総会の定足数の加重軽減排除に関する規定( 309Ⅰ)
  • 取締役の任期の短縮及び伸長規定( 332ⅠⅡ )
  • 監査役の任期の伸長及ひ補欠監査役の任期の短縮規定(336Ⅱ)
  • 累積投票制度の排除の規定( 342Ⅰ)
  • 取締役会の招集通知の期間短縮に関する規定(368Ⅰ)
  • 取締役会の定足数・決議要件の加重に関する規定(369Ⅰ)
  • 会社の公告方法(939Ⅰ)
  • 会社の公告方法とは、会社から株主その他の利害関係人に対して一定の重要事項を伝達する方法です。官報に掲載する方法、時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告でしなければなりません。


定款の任意的記載・記録事項


定款の任意的記載・記録事項とは、単に定款に記載又は記録し得るにすきない事項のことをいいます。

その記載又は記録を欠いても定款は有効ですし、別途株主総会決議や取締役会決議等で定めることができます。
株主総会の決議には、①普通決議、②特別決議、③特別決議があり、普通決議の要件が一番緩やかで、特殊決議の要件が最も厳しくなっておりま
ただしいったん定款に記載又は記録すれば、それを変更するには、当然定款変更の手続きが必要となります。

定款の任意的記載・記録事項は、会社法の規定に違反しない限り、記載・記録することができ、例えば以下のようなものがあります。
  • 名義書換その他の株式事務に関する手続き
  • 定時株主総会招集の時期
  • 株主総会の議長
  • 決算期




定款の作成・認証と変更


定款は発起人が法定されている一定の事項を記載又は記録し、書面で作成する場合には各発起人がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません。

電磁的記録をもって作成する場合には、法務省令(規224)で定める署名又は記名押印に代わる措置をとるひつようがあります。

そして、定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じません。

この認証は、定款の内容を明確にして後日の紛争及び不正を防止するために要求されるのです。

ただし会社成立後に定款を変更した場合には、再度認証を受ける必要はありません。

公証人の認証を受けた後(会社成立前)に定款を変更することができるかが問題となります。

公証人による認証は、定款の内容の明確性を確保して今後の紛争を防止するという趣旨です。

そのため認証がなされた後に定款をいかなる範囲で変更し得るかについては、明文ではっきりと規定されていることが望ましいのです。

そこで会社法では、①変態設立事項について裁判所による変更決定があっ場合(33Ⅶ、Ⅸ)及び、②発行可能株式総数の定めを変更する場合(37Ⅰ、Ⅱ)にのみ、定款の変更をすることができると明文で示しました。

さらに募集設立の場合は、創立総会によって変更することができることとされています)。
会社法33条

【定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任】
7 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
9 前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。

会社法37条

【発行可能株式総数の定め等】
1 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。





変態設立事項


会社法28条
株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

会社法28条は定款の相対的記載・記録事項のうち設立に特に重大な関係があるものを列挙しています。

これらはいずれも、会社の財産的基礎が害される危険性が大きいので行為です。 株主・会社債権者の利益を保護するため、特別の手続が付加されます。会社の財産の状況は、会社に出資している株主や会社債権者にとって極めて重要です。

このような設立を変態設立といい、28条列挙事由を変態設立事項といいます。


現物出資(変態設立事項①)


現物出資とは、金銭以外の財産をもってする出資のことをいいます。株式を買って株主となう場合、株式の対価として支払うのは通常金銭です。何かを買う場合、一般的には金銭(マネー)を支払います。

しかし、場合によっては、取引の対価は金銭である必要はなく、不動産だったり、高価なアクセサリーだったり、金銭的な価値のあるものでも可能な場合があります。このように、金銭以外で金銭的な価値のある不動産やアクセサリーなどで出資することを、現物出資というのです。

会社設立時においての現物出資は、会社設立の主宰者である発起人のみができます。

会社成立後の募集株式発行等の場合には、発起人に限らず誰でも現物出資することができます。


会社法34条1項

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。


会社法63条

【設立時募集株式の払込金額の払込み】
1 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。



現物出資できる財産

現物出資ができる財産は、動産、不動産、債権、有価証券、無体財産権等の権利の他、のれん、事業の全部又は一部等の財産です。

株式会社においては、株主は有限責任を負うにすぎないので、出資の目的は金銭又は金銭以外の財産に限られ、労務や信用は認められません。


現物出資の乱用は危険

現物出資を無制限に認めると、目的物が過大に評価されることにより、会社の財産的基礎(財務状態)を危うくする恐れがあります。

一方で、会社側でもある特定の財産を必要としたり、出資者もある財産の出資と引き換えに株式の交付を望むこともあることから、厳格な規制のもとに現物出資を認めることとしたのです。



財産引受(変態設立事項②)


財産引受とは、会社設立の主宰者である発起人が、会社の成立を条件として特定の財産を譲り受けることを約する契約のことです。

例えば、電機メーカーを設立するにあたって、会社成立後にパソコンを製造するために必要なメモリーを譲り受ける契約をすることなどが該当します。

会社成立を条件として、会社成立前に、会社成立後の財産の譲受を契約するのが特徴です。



発起人が受ける報酬その他の特別の利益(変態設立事項③)


「発起人が受ける利益」とは、会社設立の主宰者である発起人が設立中の会社に対して提供した労務に対する報酬のことです。

「特別の利益」とは、会社の設立企画者としての功労に報いるために発起人に与えられる報酬以外の利益のことです。

会社設立の主催者である発起人に与えられる報酬等は、お手盛り防止のため、定款に記載又は記録されることで初めて認められることになります。



設立費用(変態設立事項④)


設立費用とは、会社設立にあたって、発起人が会社設立中に会社のためにした、会社設立のために必要な行為から生ずる費用のことです。

設立費用は、定款に記載した金額の限度で、発起人が会社に対して請求できます。

会社を設立するために生じた必要費は、本来会社が負担すべきものではありますが、無制限な負担により会社の財務基盤が不当に害されることを防ぐ必要があります。

そのため、定款に記載又は記録された設立費用に限って会社が負担することとされたのです。

ただし、定款の認証手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものは「設立費用」に含まれず、当然に会社の負担となるものとされております。


設立費用とされるもの

設立事務所の賃料、定款及び株式申込証の印刷費、株主募集の広告費、創立総会招集の費用等、設立に必要な取引行為から生ずる費用 ⇒定款に記載又は記録しなければ効力が生じません。

「設立費用」に該当せず、当然に会社負担とされるもの

定款認証の手数料、その他株式会社に損害を与えるおそれかないものとして法務省令で定めるものについては、濫用のおそれがないため、定款への記載又は記録がなくても会社が負担すべきものとして、設立費用の規制対象から除外されています。

「設立費用」かどうか問題となるもの

  • 借入金
  • 設立費用にあてるための借入金は設立費用ではなく、それが設立に必要な行為に使用された場合に、その使用された額が設立費用となるります。
  • 開業準備費用
  • 財産引受以外の開業準備行為は、すべて成立後の会社によりなされるのが原則であるから、開業準備費用は設立費用にあたりません。




変態設立事項の規制


会社の財産的基盤に関わる重大な事項である変態設立事項には、厳格な手続的な規制が設けられています。


定款への記載又は記録


定款の任意的記載・記録事項である変態設立事項は、定款に記載又は記録しなければ効力を生じません。


変態設立事項の内容の通知


会社の募集設立の場合に引受の申込みをしようとする者に対して、変態設立事項の内容を通知することを要します。

会社法59条1項
発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知 しなければならない。 一 定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名 二 第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号及び前条第一項各号に掲げる事項 三 発起人が出資した財産の価額 四 第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所 五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項



検査役の変態設立事項の調査


定款に変態設立事項についての定めがあるときは、原則として裁判所の選任する検査役の調査を受けることが必要です。

検査役の調査の結果、その内容が妥当であれば問題ないですが、不当なときは、発起設立の場合には裁判所が定款の定めを変更します。

外部から出資者を募る募集設立の場合には、変態設立事項の内容が不当である旨の設立時取締役等の報告に加えて、検査役の報告又は現物出資・財産引受に関する弁護士等の証明資料・鑑定資料が会社設立時の集会である創立総会に提出され、創立総会が不当と考えたときは変態設立事項を変更します。

この変態設立事項の変更に不服の発起人・設立時株主は、株式の引受けを取り消すことができます。

変態設立事項が不当と判断された場合、発起人全員の同意によって、決定の確定後一週間以内に限り、決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることにより、設立手続を続行することができます。

会社法87条

1 発起人は、株式会社の設立に関する事項を創立総会に報告しなければならない。
2 発起人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を創立総会に提出し、又は提供しなければならない。
一 定款に第二十八条各号に掲げる事項(第三十三条第十項各号に掲げる場合における当該各号に定める事項を除く。)の定めがある場合 第三十三条第二項の検査役の同条第四項の報告の内容
二 第三十三条第十項第三号に掲げる場合 同号に規定する証明の内容


会社法96条

【創立総会における定款の変更】
第三十条第二項の規定にかかわらず、創立総会においては、その決議によって、定款の変更をすることができる。


会社法97条

【設立時発行株式の引受けの取消し】
創立総会において、第二十八条各号に掲げる事項を変更する定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後二週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。




検査役の調査が不要な現物出資・財産引受


変態設立事項である現物出資と財産引受については、検車区の調査が必要ですが、以下の場合は、例外的に検査役の調査が不要となります。

現物出資財産等が少額の場合

現物出資財産等(28条1号及ひ2号の財産)について定款に記載・記録された価額の総額が500万円を超えない場合。


現物出資財産等が目的物が有価証券の場合

現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券について定款に記載・記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合。


現物出資財産等が弁護士等の証明を受けた場合

現物出資財産等について定款に記載・記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、又は税理士法人の証明を受けた場合(現物出資財産等が不動産のときは、不動産鑑定士の鑑定評価も必要)

会社法33条

【定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任】
1 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
2 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。




事後設立の規制


事後設立とは、会社の成立前から存在する財産でその事業のために継続して使用するものを、株式会社の成立後2年以内に、純資産額の5分の1以上の対価で取得することをいいます。

事後設立は通常の取引行為であって変態設立事項ではありませんが、現物出資・財産引受と並行して理解すると整理しやすいです。

財産を譲り受ける旨の契約締結を会社成立後にずらすことにより財産引受の規制の潜脱として用いられるおそれがあることから、株主総会における特別決議が必要です。


会社法467条

1 株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
五 当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。
イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額




設立時発行株式に関する事項の決定


設立時発行株式に関する事項のうち、以下の事項の決定については 定款に定めがある場合を除いては、発起人全員の同意によらなければなりません。
  1. 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
  2. 発起人が割当てを受ける設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額
  3. 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
  4. 設立時募集株式の払込期日
  5. 設立時募集株式の引受けの取消しに関する事項
かかる事項が、重要事項として発起人全員の同意を必要としながら定款の絶対的記載事項からは除外されているのは、失権株式が生した等の事態に機動的に対応できるようにするためです。

また、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合、発起人が割当てを受ける設立時発行株式について、種類株式発行時に定める旨の定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければなりません。

なお、これらの事項の決定について発起人全員の同意がない場合は、定款の無効原因になると解されます。

会社法32条

【設立時発行株式に関する事項の決定】
1 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。



会社設立後の定款変更


会社の根本規則である定款を変更するには、原則として、株主総会の特別決議が必要です。

株主総会の決議には、①普通決議、②特別決議、③特別決議があり、普通決議の要件が一番緩やかで、特殊決議の要件が最も厳しくなっております。

定款が会社の組織・活動を定める根本規範であることから、その変更には特殊決議という厳格な要件が課されております。



株主総会決議を要しない定款変更


定款変更をしても株主に格段の不利益を生せしめない以下の場合には、例外的に株主総会の決議は不要とされます。
  • 株式分割の際の分割比率に応じた発行可能株式総数の増加
  • 株式分割の際の単元株式数の変更
  • 単元株式数の減少。単元株式数についての定款の定めの廃止


例えば、会社が発行できる株式数の上限である発行可能株式総数を増やすと、既存の株主の持分割合が低下してしまう恐れがあります。


100株の株を持っている株主からすると、発行可能株式数が10,000株から発行可能株式数が20,000株になると、持分割合が100分の1から200分の1に低下してしまうことになります。


株式の売買単位である単元株式数を増加される場合、今まで単元株式数以上の株を保有していた株主が、単元未満株主に降格してしまうのです。


単元未満株式は、株主総会での議決権が与えれれないので、単元未満株主に降格してしまうと、株主に不利益となってしまうのですね。


要するに、発行可能株式総数を増加させたり、単元株式数を増加させたりする場合でも、同時に株式分割もセットで行えば、必ずしも株主の不利益ではなくなるということです。


発行可能株式や単元株式数を2倍にしても、株式分割によって保有株式数も2倍になれば、既存株主に不利益はなさそうですね。




株主総会の特殊決議が必要な定款変更


以下のような株主に重大な不利益を与えうる定款変更をする場合には、最も厳格な株主総会の特殊決議が必要とされます。

  • 株式譲渡制限の新設
  • 株式の譲渡制限は、会社の同意がないと株式を譲渡できないとするものであるため、市場での自由な株の売買が制約され、株価の低下をもたらす可能性があります。

  • 剰余金の配当等についての格別の定めに関する定款変更
  • 株を保有することの重大な利益である剰余金の配当について変更することは、株主平等原則の例外を定める定款の変更であり、株主に重大な影響を与えるものです。




通常の定款変更決議の他に、種類株主総会の決議を要する場合


株式会社は内容の異なる2以上の株式を発行でき、それらを種類株式といいます。例えば、通常の株式の他に、剰余金の配当を多く受けることのできる株式を発行したり、議決権の行使が制限された株式であったり、なんらかの特約が付いている株式を種類株式というのです。

この種類株式を発行する際には、定款にその旨を記載しなければなりません。そのため、種類株式に関して変更を行うときは、定款を変更する必要が生じるのです。

さらに、以下のような種類株主に重大な影響を与えるような定款変更は、通常の定款変更の他に種類株主の決議を必要とするとされております。

  • 譲渡制限株式あるいは取得条項付種類株式とする定めの新設

  • 株式の譲渡制限は、会社の同意がないと株式を譲渡できないとするものであるため、市場での自由な株の売買が制約され、株価の低下をもたらす可能性があり、株主にとっては重大な不利益となります。

    また、取得条項付種類株式は、一定の事由が発生すると、すべての株式が会社に一方的に買い取られてしまう株式であり、株主としては意思に反して株式を失うリスクがあります。


  • 株式の種類の追加等の場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき


会社法108条

2 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一 剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
二 残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
三 株主総会において議決権を行使することができる事項 次に掲げる事項
イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項 イ 当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること 次に掲げる事項 イ 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法
ロ 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの 次に掲げる事項
イ 当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
ロ 当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項


会社法101条

1 種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
2 種類株式発行会社がある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合には、当該定款の変更は、次に掲げる種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 当該種類の株式の種類株主
二 第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の種類株主
三 第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の種類株主
(取締役の選任等に関する種類株式の定款の定めの廃止の特則)




通常の定款変更手続の他に、その種類株式を有する株主全員の同意を要する場合


発行するある種類株式を取得条項付種類株式とする定款変更

取得条項付株式とは、一定の事由が発生すると、すべての株式が会社に一方的に買い取られてしまう株式です。

例えば、A、B、Cの三種類の種類株式を発行している会社が、A株式に取得条項を設定する場合、A種類株主全員の同意が必要とされるのです。

一定の行為について法定種類株主総会の決議を要しない旨を定める定款の定めを設ける定款変更

会社の一定の行為により損害を被るおそれのある種類の株式の種類株主を保護するためにその種類株主総会の決議が必要であると定められています。

しかし、そのうな種類株主総会の決議を不要とする定款変更を行う場合には、その種類株主の全員の同意が必要です。

つまり、種類株主の全員の同意がなければ、種類株主総会の決議をせずに、種類株主に不利益となる行為を行えるとする定款変更はできないのです。

特定の株主からの自己株式取得に際して他の株主に売主追加請求権を与えない旨の定款の定めを設ける定款変更

株主から株式会社自身が、株式を買い取ることを自己株式の取得と言います。

株式会社が自己株式を取得する際、取得の対象とならなかった株主は、自らの所有する株式も取得の対象に加えることを請求できます。

このことを売主追加請求権といいます。この売主追加請求権は、株主にとっては重要な投下資本回収の機会であり、株主平等の理念にも適うものです。

そのため、ある種類株式に対して売主買取請求権を制限する定款変更を行う場合、その種類株主全員の同意が必要とされるのです。


会社法322条

2 種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 次に掲げる事項についての定款の変更(第百十一条第一項又は第二項に規定するものを除く。)
イ 株式の種類の追加
ロ 株式の内容の変更
ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加
一の二 第百七十九条の三第一項の承認
二 株式の併合又は株式の分割
三 第百八十五条に規定する株式無償割当て
四 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
五 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
六 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
七 合併
八 吸収分割
九 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
十 新設分割
十一 株式交換
十二 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
十三 株式移転
2 種類株式発行会社は、ある種類の株式の内容として、前項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができる。
3 第一項の規定は、前項の規定による定款の定めがある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会については、適用しない。ただし、第一項第一号に規定する定款の変更(単元株式数についてのものを除く。)を行う場合は、この限りでない。
4 ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について第二項の規定による定款の定めを設けようとするときは、当該種類の種類株主全員の同意を得なければならない。


会社法164条

1 株式会社は、株式(種類株式発行会社にあっては、ある種類の株式。次項において同じ。)の取得について第百六十条第一項の規定による決定をするときは同条第二項及び第三項の規定を適用しない旨を定款で定めることができる。
2 株式の発行後に定款を変更して当該株式について前項の規定による定款の定めを設け、又は当該定めについての定款の変更(同項の定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該株式を有する株主全員の同意を得なければならない。




株主に重大な利害のある定款変更に伴う株式買取請求権


株式買取請求権とは、合併や会社分割のように会社の基礎の変更等の行為に反対する株主が会社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求する権利です。これにより、株主は投下資本の回収を図ることができます。

合併や会社分割などの組織再編以外でも、定款の変更など株主に重大な利害のある事項が決定される場合は、株主買取請求が認められているのです。

株主が株式買取請求権を行使するには、定款変更を決議する株主総会・種類株主総会において議決権を行使できる株主は、株主総会に先立って定款の変更に反対する旨を会社に対し通知し、実際の株主総会において定款変更に反対しなければなりません。

そして、会社は定款変更が効力を生じる日の20日前までに、株式買取請求の対象となる株式の(種類)株主に対し、定款変更をする旨を通知、又は公告しなければなりません。

株式買取請求をする株主は、定款変更の効力発生日の20日前から前日までの間に、株式買取請求に係る株式の種類・数を明らかにしなければなりません。



株主に重大な利害のある定款変更に伴う新株予約権買取請求権


新株予約権買取請求権を行使する新株予約権者には、株主と違い権利行使前に反対する旨の通知をする義務は課されていません。

会社は、定款変更が効力を生じる日の20日前までに、新株予約権買取請求の対象となる新株予約権者に対し、定款変更をする旨を通知、又は公告しなければなりません。

新株予約権買取請求をする新株予約権者は、当該行為の効力発生日の20日前から前日までの間に、その請求に係る株式の種類・数を明らかにしなければなりません。

新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、原則として社債の買取りも併せて請求しなければなりません。

会社法116条

【反対株主の株式買取請求】
1 次の各号に掲げる場合には、反対株主は、株式会社に対し、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一 その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 全部の株式
二 ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更をする場合 第百十一条第二項各号に規定する株式
三 次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式(第三百二十二条第二項の規定による定款の定めがあるものに限る。)を有する種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき 当該種類の株式
イ 株式の併合又は株式の分割
ロ 第百八十五条に規定する株式無償割当て
ハ 単元株式数についての定款の変更
ニ 当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第二百二条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
ホ 当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第二百四十一条第一項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)
ヘ 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
2 前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
一 前項各号の行為をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該行為に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該行為に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二 前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
3 第一項各号の行為をしようとする株式会社は、当該行為が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「効力発生日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める株式の株主に対し、当該行為をする旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5 第一項の規定による請求(以下この節において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。


会社法118条

【新株予約権買取請求】
1 次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一 その発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更 全部の新株予約権
二 ある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 当該種類の株式を目的とする新株予約権
2 新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下この節において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。
3 第一項各号に掲げる定款の変更をしようとする株式会社は、当該定款の変更が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「定款変更日」という。)の二十日前までに、同項各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、当該定款の変更を行う旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5 新株予約権買取請求は、定款変更日の二十日前の日から定款変更日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容及び数を明らかにしてしなければならない。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*