【医療費高騰の危機!】2025年問題で顕在化する「病院ベッドのミスマッチ」と「急性期過剰」が招く財政悪化リスク

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日本の医療現場で、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、重大な構造的な問題が顕在化していることが厚生労働省のまとめから明らかになりました。それは、病院のベッド(病床)が、実際の医療ニーズと大きくズレているという深刻な事態です。特に、重症者向けの急性期病床が全国で約18万床も過剰になる一方、高齢患者のリハビリなどに欠かせない回復期病床が同じく約18万床不足するという、需給のミスマッチが浮き彫りになったのです。この転換の遅れは、医療費全体の膨張を招き、日本の財政に深刻な悪影響を及ぼすリスクを抱えていると言えるでしょう。

ここで言う急性期病床とは、高度な治療を必要とする重症患者、例えば緊急手術や集中治療が必要な患者さんを主に受け入れるための病床を指します。これらの病床は、多くの医師や看護師を配置する必要があるため、回復期よりも運営コストが高くなりますが、その分、病院側が受け取る診療報酬も手厚く設定されています。一方で回復期病床は、急性期の治療を終えた患者さんが、在宅復帰を目指して集中的なリハビリテーションを行うための病床で、主に高齢化に伴い需要が高まっています。厚労省は、来る2025年を見据え、医療の効率化と高齢者ニーズへの対応を図るため、コストの高い急性期ベッドを回復期へと転換させる政策を推進してきました。

この政策を具体的に進めるために、各都道府県では「地域医療構想」を策定し、地域の病院ごとに病床の削減や転換計画について調整を進めています。これは、本来であれば軽症の患者さんが、報酬の手厚い急性期病床に入院してしまうといった、非効率な医療提供体制を是正する狙いがあるのです。しかし、厚労省が2019年5月31日までに、各病院に対して2025年時点の病床数の見込みについて報告を求めて集計したところ、この目標と現実の間に大きな隔たりがあることが判明しました。

具体的な数字を見ると、高度急性期と急性期の病床は、2025年までに53万2000床まで減らす必要があるとされていますが、実際には72万床にもなる見通しです。これは、必要量に対して約18万床もの過剰を意味します。対照的に、回復期病床は37万5000床まで増やす目標に対し、わずか19万2000床にとどまる見込みです。目標の半分強しか達成できないという深刻な状況で、医療現場の構造改革が極めて困難であることを物語っています。

病院の「プライド」と「財政」が招く改革停滞

なぜ、これほどまでに病床の転換や削減が進まないのでしょうか。その背景には、公立病院や日本赤十字社などの公的病院が、改革に対して消極的であるという事情が挙げられます。急性期ベッドの過半数をこれらの公立・公的病院が占めており、「急性期は高度な医療を提供する」という強いイメージから、病院側がその看板を手放したがらない傾向があるのです。

さらに、公立病院の場合、たとえ同一市町村内での移転であっても、住民の強い反対に遭うケースが多く、首長をはじめとする自治体側も、選挙などを意識して改革に後ろ向きになりがちです。また、手厚い診療報酬を得られる急性期を削減すると、病院の収入が減ってしまうという財政的な懸念も、改革を遅らせる大きな要因です。公立病院には、年間5000億円を超える公費が投入されているにもかかわらず、赤字を垂れ流している現状は、国民の視点から見ても大きな問題と言えるでしょう。

私見を述べさせていただくと、病院経営の健全化と地域住民への適切な医療提供は、決してトレードオフの関係にあってはなりません。国民の貴重な税金で運営される公立・公的病院こそが、率先して地域医療構想に基づいた改革を断行すべきです。コストの高い急性期病床を過剰に抱え続けることは、結果的に国民医療費42兆円のうち約4割を占める入院医療費を押し上げ、医療保険財政を圧迫する元凶となるでしょう。病床が過剰であれば、病院は患者さんを長く入院させようとするインセンティブが働きやすくなり、医療費の増加をさらに助長しかねないからです。

SNSでも話題!公的病院の「代替可能性」検証の行方

このような状況に対し、厚労省も手をこまねいているわけではありません。公立・公的病院を対象に、地域にとって不可欠ながん診療や救急医療などの実績を個別に検証する作業に着手しました。これは、民間病院では担えない役割を果たしているのかどうかを調べるためで、その分析の結果、他の病院でも代替が可能であると判断された場合には、病院の再編・統合を迫る考えです。SNS上でも、「公立病院が税金で赤字を出しているのはおかしい」「本当に必要な医療を公的病院がやるべき」といった意見が飛び交っており、この公的病院の「代替可能性」検証に対する国民の関心は非常に高いと言えるでしょう。

さらに、公費の投入額やその使途を明確にし、問題のある公立病院の実態を「見える化」する案も浮上しています。公立病院の所管が総務省であるため、厚労省が直接、交付金や補助金の見直しに関与できないという課題はありますが、まずは情報公開によって、自治体や住民に対し、改革の必要性を強く訴えかける狙いがあるのでしょう。この病床のミスマッチは、単なる医療の問題ではなく、日本の財政と将来の医療体制を揺るがす喫緊の課題として、2019年5月31日現在、より一層の注目を集めています。医療の効率化と財政の健全化のためにも、公立・公的病院の勇気ある構造改革が今、強く求められているのではないでしょうか。

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