🔥米中貿易摩擦が直撃!シェールLNG産業の未来を揺るがす中国の報復関税25%の衝撃

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2019年5月31日、世界経済を揺るがす米中貿易摩擦が、エネルギー市場、特に米国のシェール液化天然ガス(LNG)産業に深刻な逆風をもたらしています。この対立の激化は、大口の販売先である中国が米国産LNGに対する報復関税を大幅に引き上げるという形で顕在化しました。短期的な市場への影響は限定的と見られていますが、中長期的な視点で見ると、米国シェール産業の成長機会を奪いかねない厳しい状況が予測されます。

中国は、2018年9月に米国産LNGに対し10%の関税を課しましたが、2019年6月にはこれを**25%**へとさらに引き上げます。LNGは、燃料転換の進展により世界的に需要が伸び続けている一方で、シェールガス開発で先行する米国などが新たな輸出国として台頭し、市場は拡大傾向にあります。LNG輸入者国際グループ(GIIGNL)のデータによれば、2018年の世界の輸入量は前年比8%も増加しています。

この市場拡大の中で、従来の長期契約に代わり、流動性の高いスポット(随時契約)の取引が増加していることも特筆すべき点です。これは、米中双方が代替の取引先を探しやすい環境を作りました。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミストも「今のところ世界の需給や価格に直結していない」と述べているように、関税引き上げ直後でもスポット価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり5ドル前後と安定しています。

しかし、データからはすでに米中間の取引に大きな変化が見て取れます。2018年9月から2019年2月までの期間で、中国のLNG輸入総量は前年同期比27%増加しているにもかかわらず、米国からの輸入は7割も減少しました。一方、米国の輸出全体は42%増となっており、欧州などへの輸出を増やし、中国向けの大幅な減少をカバーしている状況です。

それでも、中国は6月の関税引き上げ後も代替調達を加速する見通しです。住友商事グローバルリサーチの小橋啓シニアアナリストは、中国が既に米国以外からの調達、特にオーストラリアからの輸入量を2018年に前年比3割も増加させていることを指摘しています。私の見解では、中国が国家戦略としてエネルギー調達先の多様化を進めていることは明白であり、この貿易戦争を「脱米国依存」を加速させる機会と捉えている可能性が高いでしょう。

このような状況は、短期的には市場への影響が軽微に見えても、貿易戦争が長期化すれば米国側への影響は避けられません。世界のLNG輸入量に占める中国の割合は2018年時点で**17.2%と極めて大きい一方、世界の輸出量に占める米国の割合は6.6%**です。米国がLNG輸出拡大戦略を推し進める上で、この巨大なマーケットである中国を失う痛手は計り知れないものです。

この一連の動きに対し、SNS上では「シェール革命の成長神話が崩れるのでは」「代替市場探しは容易ではない」といった懸念の声が多く見られます。特に、大規模なLNG輸出プロジェクトには巨額の資金が必要であり、大口販売先を失ったことで「進行中のプロジェクトに資金が集まりにくくなる可能性がある」(大手電力会社)という指摘は、シェール産業の将来にとって非常に現実的なリスクです。

LNG市場だけでなく、シェールガスと並ぶ米国の主要輸出品であるシェールオイルも似た状況にあります。原油は報復関税の対象外ですが、中国は2018年夏から米国産の輸入を前年比9割も減らしています。貿易摩擦以前、米国の原油輸出量に占める中国向け比率は2割でしたが、中国にとっての米国産輸入比率はわずか数パーセントに過ぎませんでした。これは、中国が代替調達を容易に行えることを示唆しています。

米国では、シェールオイルの輸送インフラが整いつつあり、2019年後半からは輸出が大きく増加する見込みです。しかし、中国が輸入を閉ざし続ければ、LNGと同様に米国は新たな販売先探しに苦慮することになるでしょう。私個人としては、米国のシェール産業は世界のエネルギー地図を塗り替える可能性を秘めた有望な産業ですが、政治的なリスク、特に米中対立という地政学的な逆風が、その成長を著しく阻害している現状に強い危機感を覚えます。

世界景気の減速という別のリスクも重なれば、需給が余剰気味のLNG市場がさらに「だぶつき」、生産国や企業の採算が悪化するリスクも無視できません。これは、シェールオイル・ガス開発の将来性を左右する重要な問題です。米国はシェール由来のLNG輸出拡大を狙っていますが(ロイター通信が配信した写真でその意欲が示されています)、この目標達成には、政治的な緊張緩和、もしくは中国市場に代わる新たな大規模な輸出先の開拓が喫緊の課題となるでしょう。

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