2019年5月30日、プロ野球のセントラル・リーグで、東京ヤクルトスワローズがとてつもない苦境に立たされました。この日の対広島東洋カープ戦で、球団史上ワーストを更新する14連敗を喫し、ついにリーグ最下位へと転落してしまったのです。打線はわずか2安打で無得点に終わり、守っては13失点を喫するという、大型連敗中のゲームでも最悪に近い内容でした。特に、連敗を止めるためには「先に点を許さないこと」が不可欠であったはずですが、その願いも空しく、序盤から好調の広島打線に飲み込まれてしまいました。ファンの間では「もう見ていられない」「どこまで負けるんだ」といった悲痛な声がSNSで相次ぎ、チームへの厳しい視線が向けられています。
この日の先発マウンドを託されたのは、本来、チームのエース格である小川泰弘投手でした。しかし、長いトンネルからの脱出を期待された小川投手も、初回から広島打線の猛攻の前に苦しむことになります。立ち上がり、ストレートを主体に軽快に2アウトを取ったものの、3番のバティスタ選手に初球をライトスタンドへ運ばれ、先制点を与えてしまいました。さらに、続く鈴木誠也選手、西川龍馬選手、磯村嘉孝選手に3連打を浴び、あっという間に3失点という重い荷物を背負う展開となってしまったのです。今シーズン、小川投手は本来の制球力(ボールを狙ったところに投げる技術)を欠き、ボールが浮きがちでストライクを先行させる本来のピッチングができていないことが、深刻な問題として指摘されています。
小川投手は2回と3回は何とか無失点に抑える粘りを見せましたが、いずれも得点圏に走者を背負っての投球となり、球数を費やして大きく消耗してしまいました。そして、結局は5回途中で7失点という結果でマウンドを降り、「制球ミス(狙い通りにボールを投げられないこと)を見逃してくれなかった。ふがいない投球で申し訳ない」と、悔しさをにじませました。しかし、この負の連鎖は先発投手だけの責任ではありません。小川投手の後を継いだ救援陣も、この悪い流れを断ち切ることはできず、ずるずると失点を重ねてしまったのです。この連敗中は、先発投手が早い回で降板する試合が多く、1試合に3人、4人と救援投手(先発投手の後に登板する投手)をつぎ込まざるを得ない状況が続いています。
その結果、リーグ登板試合数の上位11名の中に、ヤクルトの救援投手が5名も名を連ねるという異常事態が発生しています。これは、投げさせすぎによる投手の疲弊(疲れ果てること)が深刻であることを明確に示しているでしょう。長い時間、守備に就くことでリズムが狂ったのか、復調の兆しが見え始めていた打線までもが淡白な攻撃に終始し、リズムを失ってしまいました。この日の対戦相手、広島の2年目・山口翔投手がプロ初先発という状況にもかかわらず、7回途中まで打線は沈黙したまま。打撃陣の攻撃力不足は、連敗脱出の大きな足かせとなっています。
私見を述べさせていただきますと、このヤクルトスワローズの14連敗という泥沼は、もはや一時的な不調というより、チーム全体が抱える構造的な問題が表面化した結果だと言わざるを得ません。エースの不調、救援陣の酷使による疲弊、そして打線の機能不全が負の連鎖を生み出し、まさに「打てば守れず、守れば打てず」という最悪の状況を招いています。特に、救援投手の疲弊は今後のシーズンを戦い抜く上で、より深刻な影響を及ぼす可能性があります。小川淳司監督が試合後に「明日も試合がある。切り替えてやるしかない」と、言葉を絞り出すのが精いっぱいだった心情は察するに余りありますが、チームを立て直すには、単なる精神論ではなく、大胆なテコ入れと若手の積極的な登用を含めた戦術的な見直しが急務でしょう。多くのファンを魅了してきたヤクルトの野球が、この苦境を乗り越え、再び輝きを取り戻すことができるのか、正念場を迎えていると言えるでしょう。