制裁下でも成長加速!魅力あふれるキューバ観光はなぜ外国企業を惹きつけるのか?

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カリブ海の真珠と称されるキューバで、今、観光産業が熱い注目を集めています。アメリカ合衆国による経済制裁が強化されるという厳しい状況にもかかわらず、世界の主要企業がこの魅力的な国への投資や事業拡大を止めていないのです。この背景には、旅行者を魅了し続けるキューバ独自の魅力と、企業側の「勝機あり」という強い確信があると言えるでしょう。

スペインのセレクト・インテルナシオナルは、2017年5月30日にハバナで高級ホテル「グランオテル・マンサナ」を開業した成功体験を再現すべく、年内には中部にある島、カヨ・ギジェルモに245室の高級リゾートホテルを開業する予定です。既存の成功事例を足掛かりに、さらに事業を拡大しようという同社の姿勢からは、キューバ市場への強い自信が窺えます。このような動きは、単なる一過性のブームではなく、持続的な成長が見込まれる証拠と言えるでしょう。

また、カナダの大手ホテルチェーンであるブルーダイヤモンドも、キューバ国営企業との合意に基づき、バラデロとカヨ・ココというキューバを代表するリゾート地で、それぞれ450室と380室のホテル運営に乗り出す計画を進めています。すでにバラデロなどでの運営経験を持つ同社は、今後も観光客がさらに増加すると予測し、運営するホテルを積極的に増やしているのです。これらの高級ホテルやリゾート開発は、観光客に提供される宿泊施設の質を向上させ、観光客誘致における大きな追い風となるでしょう。

観光業の活況を受け、航空会社もビジネスチャンスを見逃していません。アメリカン航空は、2020年5月3日に東部のサンティアゴデクーバとマイアミを結ぶ便を毎日運航する計画で、これによりハバナなど各都市を結ぶ既存の毎日合計11便に加え、さらなる路線拡大によって高まる需要に対応しようとしています。また、マドリードとハバナ間を運航するスペインのイベリア航空も、2018年に利用客が前年比で8%も増加したことを受け、「今年は座席数を2%増やす」とルイス・ガジェゴ社長が表明するなど、各社が積極的な拡大戦略をとっている状況です。

キューバ観光の「底力」と制裁の壁

外国企業がこれほどまでにキューバへの関心を高める背景には、制裁という逆風の中でも、観光客が持続的に増加しているという明確な実績があります。キューバ政府の発表によると、2020年1月から4月までのビジネス客を含む訪問者数は192万人に達し、これは前年同期から7%もの増加となりました。キューバは今年、年間で初めて500万人を超える訪問者を目標に掲げており、その達成に向けて大きな期待がかかっています。

アメリカ合衆国からの訪問者数は、厳しい制裁の影響で全体に占める比率は少ないものの、ユネスコ世界遺産にも登録されているハバナの歴史的な街並みと、手つかずの自然が残るリゾート地の両方を楽しめるという点が、特にカナダやヨーロッパからの旅行者に高く評価されています。この「歴史とリゾート」という二面性が、キューバ観光の非常に強力なセールスポイントになっていると言えるでしょう。

しかし、キューバの観光業を取り巻く環境は決して順風満帆ではありません。対立関係にあるアメリカが経済制裁を強化しているからです。2020年5月からは、キューバ政府が革命後に接収した資産に関する訴訟が全面的に解禁されました。この動きを受け、早速、アメリカのクルーズ船運航会社が、接収された港湾を利用しているとして訴えられる事態が発生しています。この全面解禁は、「ヘルムズ・バートン法」のタイトルIII適用再開という文脈で語られることが多く、この法律は、キューバ革命で資産を接収された人々が、その資産を利用している第三者企業をアメリカの裁判所で訴えることを可能にするものです。一時期は「訴訟の嵐が巻き起こるのではないか」という懸念も広がりました。

しかし、幸いなことに、当初懸念されたほどの訴訟ラッシュはまだ起こっていません。これは、ヨーロッパ連合(EU)やメキシコといった国々が、アメリカでの訴訟は自国では適用されないという立場を示していることに加え、仮に自国の企業が訴えられた場合には報復措置をとることを表明しているためでしょう。さらに、キューバ政府も外国企業のビジネスを全面的に保護することを確約しています。そもそも、自国の法律を第三国にまで適用しようとする行為は国際法違反にあたる可能性があり、たとえ訴訟を起こしても実際に賠償金を獲得できるかどうかは不透明な面があるため、訴訟へのハードルが高くなっていると推測できます。

もちろん、アメリカ系企業やアメリカ国内に資産を持つ企業にとっては、訴訟の結果、資産が差し押さえられるという可能性も否定できません。しかし、そうではない企業にとっては、仮に接収資産に関わっていたとしても、訴訟を起こされる可能性は少ないという事情も見過ごせないでしょう。カリブ海の島々を広く見渡した際、歴史的な街並みが豊かに残り、同時に美しいビーチが豊富な国は、極めて貴重な存在です。アメリカによる制裁が厳しくなる中でも、キューバはその観光資源という「しぶとさ」と国際的な反発を背景に、たくましく生き残っていくものと私は確信しています。

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