2019年5月13日から5月19日までの1週間、関東地区で放送されたテレビドラマの視聴率ランキングが発表されました。このランキングからは、当時の視聴者の関心や、どのような番組が支持を集めていたのかが鮮明に見えてくるでしょう。さっそく、この期間のトップを飾った作品から順に、その熱狂の度合いを探っていきたいと思います。
堂々の第1位に輝いたのは、NHK総合で放送されている連続テレビ小説、通称「朝ドラ」の『なつぞら』です。2019年5月15日(水)の放送回で、なんと**23.2%**という驚異的な数字を叩き出しました。朝の忙しい時間帯にもかかわらず、これほどの視聴者を惹きつける「朝ドラ」の底力にはいつも感服させられます。広大な北海道を舞台に、ヒロイン・なつがアニメーション制作の世界に飛び込むという物語は、多くの人々に夢と希望を与えているに違いありません。SNSでも「なっちゃんを応援したくなる!」という声が多く、出演者の演技力とストーリー構成が高く評価されていました。
一方、民放ドラマのトップを飾ったのは、フジテレビの月曜21時枠、通称「月9」で放送されていた『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート』です。2019年5月13日(月)の放送回が13.2%を記録し、第2位にランクインしました。この作品は、診療放射線技師という、聞き馴染みがないかもしれませんが、レントゲンやCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)などを用いて、病気の原因を探るための画像診断を行う医療専門職にスポットを当てた画期的なドラマです。医療ドラマが強いフジテレビらしいヒットで、専門性の高い題材を分かりやすく描くことに成功した結果でしょう。
テレビ朝日からは、刑事ドラマが複数ランクインしています。水曜21時枠の『特捜9』は2019年5月15日(水)の放送回で12.7%を獲得し第3位。そして、木曜21時枠の『緊急取調室』(通称・キントリ)は2019年5月16日(木)の放送回で12.3%を記録し第4位に入りました。「特捜9」は長寿シリーズ「警視庁捜査一課9係」の流れを汲む人気シリーズ、「キントリ」は取調室という密室での心理戦を描く骨太な作品です。テレビ朝日が得意とするミステリーと人情を巧みに融合させたこれらのシリーズは、固定ファン層の厚さが伺えます。特に「キントリ」の主人公・真壁有希子のセリフが、SNSで名言として注目を集めていたのが印象的です。
ランキング中盤以降を見てみると、土曜プレミアムで放送された『コンフィデンスマンJP 運勢編』(フジテレビ)が2019年5月18日(土)の放送回で**10.3%となり第5位でした。そして、TBSの火曜22時枠ドラマ『わたし、定時で帰ります。』と、金曜22時枠の『インハンド』が、ともに9.8%**で第6位に並んでいます。ここからは、視聴率1桁台に突入してきますが、「わたし、定時で帰ります。」は働き方改革が注目される当時の社会情勢を反映したテーマで、特に若い世代からの共感を呼んでいました。「インハンド」は、寄生虫の専門家という異色の主人公が難事件を解決するというユニークな設定が光ります。
長年にわたり愛され続けているシリーズも健在です。テレビ朝日開局60周年記念の木曜ミステリー『科捜研の女』は2019年5月16日(木)の放送回で9.6%を獲得し第8位となりました。そして、日曜プライムのドラマスペシャル『死命~刑事のタイムリミット』(テレビ朝日)が2019年5月19日(日)の放送回で9.2%で第9位、TBSの日曜劇場『集団左遷!!』は2019年5月19日(日)の放送回で9.0%で第10位という結果です。「科捜研の女」は科学捜査を題材とし、榊マリコという揺るぎない人気キャラクターが確立されています。「集団左遷!!」は、銀行を舞台にしたサラリーマンの奮闘劇で、世のお父さん世代からの熱い支持を集めているようです。
視聴率ランキングから見えてくるドラマの潮流
この2019年5月第3週の週間ドラマ視聴率ランキングを分析すると、日本のテレビドラマにおけるいくつかの潮流が浮かび上がってきます。まず、絶対的な強さを見せつけたのはNHKの朝ドラです。多くの日本人の生活に深く根付いている朝ドラの存在は、他の追随を許しません。さらに、民放に目を向けると、医療や警察・刑事といった、専門職や組織を舞台にした「ジャンルドラマ」が圧倒的な強さを持っていることが分かります。特にテレビ朝日のミステリー枠は、長寿シリーズの継続的な人気によって、非常に安定した視聴者基盤を築いていると言えるでしょう。
一方で、TBSの火曜ドラマや金曜ドラマ、そして日曜劇場など、新しい切り口や話題性のあるキャスティングで勝負する作品も、トップ10に食い込んでいることから、視聴者は単なる定番だけではなく、「今」を映し出す新しいテーマにも強い関心を寄せていることが分かります。私の見解では、テレビドラマが視聴者を魅了するためには、日常からかけ離れた非日常的な設定(医療、犯罪、特殊能力など)を通じて、実は私たちの身近にある感情や社会問題を深く掘り下げることが不可欠です。視聴者は、ドラマの世界を通じてカタルシス(感情の浄化)を得たい、そして明日への活力を得たいと願っているのではないでしょうか。今後、どのような新たな「共感と熱狂」を生み出す作品が登場するのか、引き続き注目していきたいところです。