2019年07月02日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、中央銀行の役割を担う連邦準備制度理事会(FRB)の新たな理事候補として、自身の選挙陣営でアドバイザーを務めたジュディ・シェルトン氏と、セントルイス連邦準備銀行の調査担当副総裁であるクリストファー・ウォラー氏の2名を指名する意向を明らかにしました。
このニュースが報じられると、SNS上では「FRBの独立性が揺らぐのではないか」といった懸念の声や、「トランプ氏による強力な利下げ圧力がいよいよ本格化する」といった驚きの反応が数多く寄せられています。今回の人事案は、今後のアメリカ経済、ひいては世界経済の動向を左右する極めて重要な一手となることは間違いありません。
トランプ氏が送り込む「刺客」と利下げへの期待
特に注目を集めているのはジュディ・シェルトン氏の存在であり、彼女は以前から早期の利下げを公然と主張している人物として知られています。ここで言う「利下げ」とは、中央銀行が世の中に出回るお金の金利を下げることで、企業や個人が資金を借りやすくし、景気を刺激して活性化させる政策手段のことを指します。
本来、FRBは政治的な影響を受けずに物価の安定や雇用の最大化を図る「独立性」が重視される機関ですが、トランプ大統領は今回の指名を通じて金融政策への影響力を強めたい考えでしょう。大統領はかねてより現職のパウエル議長が進める引き締め策に不満を募らせており、自身の考えに近い人物を配置することで、さらなる景気の下支えを狙っているようです。
一方で、もう一人の候補であるクリストファー・ウォラー氏も、現在の金融政策に対して比較的緩和的な姿勢、いわゆる「ハト派」に近い考えを持つと目されています。これらの人事が実現するためには、今後行われる上院での承認手続きを通過する必要がありますが、トランプ政権が経済成長を最優先に掲げ、中央銀行への攻勢を強めている構図がより鮮明になったと言えるでしょう。
編集者としての視点から述べれば、今回の人事はまさに「伝統への挑戦」であり、トランプ流の政治手法が金融の聖域にまで及んでいると感じます。景気拡大を求める国民の期待に応える一方で、長期的には通貨の信認を損なうリスクも孕んでいるため、承認の行方からは目が離せません。市場もこの異例の人事案を、政権による強力なメッセージとして重く受け止めているはずです。