【買い物難民支援】高齢化進む埼玉県営住宅で移動販売が本格化へ!自治体と企業のタッグで生活の質を向上させる新戦略

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近年、日本全国で急速に進む高齢化は、日常生活に大きな変化をもたらしています。特に、食料品や日用品の買い物に不便を感じる「買い物難民」と呼ばれる高齢者が増えていることは、社会的な課題です。この重要な問題に対応するため、埼玉県と埼玉県住宅供給公社は、県が管理する集合住宅、いわゆる県営住宅の敷地内における移動販売の試験的な導入を開始しました。これは、これまで不明確だった公営住宅敷地内での企業による営利活動の取り扱いについて、明確な条件を整理し、実際のニーズを見極めるための画期的な取り組みでしょう。

埼玉県内の高齢化の進行スピードは目覚ましいものがあり、県全体の高齢者人口の割合が約26%であるのに対し、県営住宅の入居者における65歳以上の割合は2019年5月時点で32%と、より高い水準にあります。このような状況から、店舗まで足を運ぶのが困難な高齢の住民に対する生活支援は、待ったなしの状況と言えます。この試行を通じて、事業者が参入しやすい環境を整備し、移動販売の本格導入を目指すというのが、今回のプロジェクトの大きな狙いです。

具体的に、この試験的なサービスは既に複数の団地でスタートしています。例えば、さいたま市の「浦和領家立野住宅」では、2019年4月から食品スーパーのコモディイイダの移動販売車が週に2回訪れるようになりました。軽トラックの荷台には、お惣菜、新鮮な野菜、調味料、洗剤といった日用品までがずらりと並べられています。購入商品一つあたりに燃料代として10円が上乗せされる仕組みですが、それでも毎回高齢者を中心に4〜5名の住民が利用していると聞けば、その需要の高さがうかがえます。浦和は県内では3例目となり、これに先立つ2018年12月からは「鴻巣登戸住宅」(鴻巣市)で、また2019年3月からは「上尾シラコバト住宅」(上尾市)でもセブン‐イレブン・ジャパンによる試行が始まっています。

公的施設の敷地である県営住宅の土地は県有地にあたるため、企業が移動販売のような営利活動を行うには、県の許可が不可欠です。しかし、これまでは許可を出す際の明確な基準が存在しなかったため、移動販売事業者の参入へのハードルが高くなっていた背景があります。今回の試行導入においては、まず(1)住民の自治会が公社に要望を提出し、(2)公社が周辺に移動販売を手掛けることができる事業者を探す、というプロセスが定められました。事業者が見つかれば、自治会が移動販売に関する具体的な計画書を作成し、県がそれを承認するという明瞭なフローが構築され、事業者がスムーズに参入できる道筋がつけられようとしています。

この取り組みは単に買い物支援にとどまらず、高齢の住民の見守り活動に企業が参加することを販売条件の一つにしている点にも注目すべきでしょう。移動販売車が定期的に団地を訪れることで、高齢者の孤立防止策としての役割も期待されています。また、移動販売車を囲んで住民同士が会話を交わす交流の場が自然と生まれることも、社会性を維持する上で非常に重要な効果です。私は、自治体と民間企業が協力し、生活インフラの維持だけでなく、地域コミュニティの醸成にも貢献するこの社会連携モデルこそが、これからの超高齢化社会に求められる理想的な形だと確信しています。

国内市場が縮小傾向にある現在、企業側にとっても、公営住宅という新たな販路を開拓できる移動販売への関心は非常に高いと言えます。コモディイイダのように、既に埼玉県内でサービス提供エリアを拡大している事業者も存在するのです。しかし、移動販売の持続的な運営には、販売員やドライバーの人材不足という避けて通れない課題も存在します。そのため、需要がある県営住宅であっても、すぐに希望する事業者が見つかるとは限らないのが現状です。埼玉県住宅供給公社の担当者は、「安全な売り場の徹底や住民の需要調査などを進め、課題を整理しながら本格導入を目指したい」と述べており、慎重かつ前向きに事業を進めていく姿勢がうかがえます。隣接する東京都でも2017年の多摩ニュータウンの「愛宕団地」を皮切りに、練馬区や世田谷区内などでも移動販売の取り組みが拡大していることからも、この流れは今後全国的に加速するトレンドになるでしょう。

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