再生エネ普及の壁?送電線「空き容量不足」の真実と私たちが向き合うべき課題【2019年6月1日】

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私たちの生活に欠かせない電気ですが、その舞台裏でいま、大きな問題が浮上していることをご存じでしょうか。2019年6月1日現在、発電した電気を運ぶための「送電線」の容量不足が深刻化しています。せっかくクリーンなエネルギーを作ろうとしても、それを運ぶための「道」が渋滞していては意味がありません。この問題の背景には、実は私たちが良かれと思って導入した制度や、長年の慣習が複雑に絡み合っているのです。

事の発端は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の導入でした。この制度のおかげで、全国各地で太陽光発電設備の建設ラッシュが起きたことは記憶に新しいでしょう。しかし、その勢いは電力会社や政府の想定を遥かに上回るものでした。結果として、特定の地域では発電された電気が送電線のキャパシティを超えてしまい、「これ以上は電気を送れません」というパンク状態に陥りつつあるのです。

「空き容量」と「先着順」の意外な落とし穴

ここで疑問に思うのが、「送電線ってそんなにすぐに一杯になるの?」ということではないでしょうか。実はここには、少し専門的な「空き容量」という概念が関わっています。通常、送電線は故障などのトラブルが起きても電力供給が止まらないよう、全体の約50%を「非常時用」として空けておくルールになっています。つまり、平常時に使えるのは残りの半分だけなのです。安全のためとはいえ、半分も使えないというのは何とも贅沢な話にも聞こえますね。

さらに問題を複雑にしているのが、「先着順」という利用権のルールです。送電線を利用する権利は、先に手を挙げた事業者から順に埋まっていきます。ここで注目すべきは、現在稼働していない原子力発電所です。原発は止まっていても、将来の再稼働を見越して送電線の利用枠をしっかりと確保し続けています。そのため、実際には電気が流れていないにもかかわらず、書類上は「満杯」扱いとなり、新規の再生エネ発電所が入り込む隙間がないという事態が起きているのです。

こうした状況に対し、SNS上でも多くの声が上がっています。「原発が枠を独占しているせいで再エネが増やせないなんて本末転倒だ」「空いているなら暫定的にでも使わせるべきでは?」といった疑問の声に加え、「インフラ整備の計画が甘かったのではないか」という厳しい指摘も見受けられました。確かに、既存のルールに縛られすぎて、柔軟な運用ができていない現状には、私も大いに疑問を感じます。

コストの壁とこれからのエネルギー政策

政府も手をこまねいているわけではありません。地域をまたぐような基幹となる送電線の増強については、電力会社が負担する方針を打ち出しました。しかし、末端の送電線となると話は別です。こちらは発電事業者が多額の工事費を負担せねばならず、投資回収に長い年月がかかるため、泣く泣く事業を断念するケースも出てきています。これでは、意欲ある事業者が報われません。

今後は、非常時用に確保されている「空き容量」を、平常時にも有効活用しようという検討が進められています。しかし、つないだ先の送電線が詰まっていれば意味がないなど、課題は山積みです。私は、ハード面での増強はもちろんですが、既存の設備をいかに賢く使うかという「ソフト面」の改革こそが急務だと考えます。2019年6月1日、私たちはエネルギーの未来を選ぶ岐路に立っていると言えるでしょう。

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