膨大なデータが小売業を救う?コンビニの7割が導入する「ビッグデータ」活用の最前線とセブン&アイの野心的な試み

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2019年7月5日現在、日本の小売業界にはテクノロジーによる劇的な変革の波が押し寄せています。深刻化する人手不足という大きな壁を乗り越えるため、多くの企業が業務の効率化を模索しているのが現状でしょう。そうした中で、今もっとも熱い注目を浴びている存在が「ビッグデータ」の活用にほかなりません。

ここで言うビッグデータとは、単なる数字の羅列ではなく、私たちが日々の買い物で残す購入履歴や会員情報のほか、スマートフォンの位置情報といった膨大かつ多様な情報の集合体を指します。これらを高度な技術で分析することによって、消費者が「今、何を求めているのか」を驚くほどの精度で予測することが可能になるのです。

2018年度に行われた最新の調査によれば、こうしたデータを事業に導入している小売企業は、402社中の42.8%にまで達しました。前年度と比較して3.1ポイントも上昇しており、データを経営の武器にする動きが着実に浸透していることが伺えます。まさに、勘や経験に頼る商売から、データに基づいた科学的な商売への転換期と言えるでしょう。

コンビニが牽引するデータ活用とSNSで広がる期待と不安

業種別に詳細を見ていくと、コンビニエンスストアでの活用率が77.8%と、他を圧倒する数字を叩き出しています。通信販売も6割を超えており、顧客との接点が多い業種ほどデータ活用に意欲的です。一方で、百貨店やスーパーマーケットでは導入率が4割程度に留まっている点は、今後の伸びしろとしても注目すべきポイントでしょう。

データの具体的な使い道としては、約8割の企業が「販売促進」を挙げています。また、約6割の企業が仕入れ量や商品のラインナップを決める際の指標として活用しているようです。これによって、棚から人気商品が消える「機会損失」を防ぐとともに、売れ残りによる廃棄ロスを減らすという、環境にも優しい経営が実現されつつあります。

SNS上ではこうした動きに対し、「自分が必要なタイミングでクーポンが届くのは便利だ」と歓迎する声が上がっています。その一方で、「行動をすべて把握されているようで少し不気味に感じる」といった、プライバシーへの配慮を求める慎重な意見も散見されました。利便性と安心感のバランスをどう取るかが、今後の大きな課題となるはずです。

セブン&アイが描く異業種連携の未来地図

こうした時代の流れを象徴するのが、セブン―イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの動きです。同社は2018年6月に「セブン&アイ・データラボ」を設立し、自社の枠組みを超えた挑戦を始めました。これは自社データのみに閉じこもらず、異業種との連携を重視した非常に先進的な取り組みと言えます。

このデータラボには、NTTドコモを含む約20社もの有力企業が名を連ねています。異なる業種が持つデータを掛け合わせることで、単なる利益追求だけでなく、地域の交通問題や防犯、防災といった複雑な社会課題の解決にも役立てようとしているのです。小売業の枠を超えたこの壮大な試みは、社会全体の最適化に繋がる可能性を秘めています。

編集者の視点から言えば、ビッグデータ活用はもはや「あれば便利なツール」ではなく、企業が生き残るための「必須条件」になったと感じます。膨大な情報から価値を紡ぎ出す力こそが、私たちの買い物をより豊かでスムーズな体験へと変えてくれるでしょう。テクノロジーが導く小売業の未来から、今後も目が離せそうにありません。

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