不足する介護人材の確保や離職防止への対策と取り組み、介護職の働き方改革の動向

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日本の高齢化が進む中、介護人材不足が深刻化しています。将来の介護需要と供給のバランスを見据え、必要な施策を考えてみましょう。

将来、高齢者が増加するとともに、特に85歳以上の人口が急増する見込みです。介護認定者数も増加傾向にあり、2035年には988万人に達すると推計されています。

介護職員数は年々増加していますが、現状では需給のバランスが取れていません。介護職員不足のため、特に訪問介護の現場では採用が難しく、人手不足感が強い状況です。

この不足の理由は、介護職の給与水準の低さや労働環境の問題が挙げられます。介護職の給与水準は他の産業に比べて低く、また、離職率も高い状況です。

介護人材確保のためには、多様な介護人材の参入促進や、労働環境・処遇の改善、資質向上の施策が必要です。これには、キャリアパスの構築や給与の改善、研修の充実などが含まれます。また、介護福祉士の資格取得方法の見直しや、施設での配置評価なども行われています。

介護人材の確保は、将来の日本の社会において重要な課題です。需要と供給のバランスを取りながら、介護職員の働きやすい環境を整えていくことが求められています。



コンテンツ

「特定技能」制度の挑戦と課題


外国人労働者の受け入れを促進する「特定技能」制度がスタートしていますが、海外での合格者数は目標に大きく及びません。2019年度の政府見込みを大きく下回る2400人強の合格者が海外で確認されました。特に介護業界ではフィリピンからの合格者が多く、日本の労働力不足に期待が寄せられています。

しかし、制度の導入に対するアジア諸国からの批判も出ており、制度の遅れが主な理由として挙げられています。特に技能実習での問題や不正行為に対する懸念があり、制度の導入が拙速だったとの指摘もあります。

一方で、介護や外食、建設業などでの特定技能取得者の期待が高まっています。日本の企業も外国人労働者の活用を積極的に考えており、特に高齢化が進む建設業界では外国人労働者の技術継承が重要視されています。

しかし、特定技能の取得にはハードルが高く、技能実習との違いが理解されにくいという問題があります。また、特定技能取得後の転職も容認されており、企業側からは技能実習よりも低賃金で離職リスクが少ないという声も上がっています。

これらの課題に対処するためには、労働者の送り出しシステムの整備や、特定技能制度と技能実習との違いを明確にする必要があります。さらに、労働者のニーズに合った改善策や日本政府の支援が不可欠です。



宮城県が介護人材不足に挑む:週休3日制の導入と外国人材受け入れの取り組み


宮城県が介護人材不足に対処するための緊急対策を発表しました。この対策では、介護事業者に週休3日制の導入を促し、働きやすい職場環境づくりを支援します。2020年度からはモデル事業として5社程度を選び、週休3日制の導入を開始します。さらに、外国人材の受け入れも進め、ベトナムとカンボジアの政府と連携しています。介護人材不足の中、多様な人材を確保することが目標です。

週休3日制の導入施設では、1日の勤務時間を8時間から10時間に延長することで、月間の休日数を9日から13日に増やします。これにより、職員が育児や趣味に充てる時間が増え、仕事への意欲も高まります。また、新規採用や定着率の改善にもつながります。

県内では、25年度に約3万9635人の介護人材が必要であり、そのうち約4755人が不足すると推計されています。この状況に対処するため、宮城県は積極的な対策を進めています。



介護現場の新たな力:新潟が海外からの技能実習生を受け入れる


2020年、新潟県内の介護施設が手を組み、外国人技能実習生の雇用拡大に向けたプロジェクトを始動しました。この取り組みは、新潟介護施設協同組合が主導し、まずはミャンマーからの実習生を受け入れることでスタートします。この動きは、介護人材の不足に対処するだけでなく、将来的には海外への技能移転にもつながるものです。

新潟市内の介護施設は、2019年に新潟介護施設協同組合を設立し、技能実習生を受け入れるための国の許可を取得しました。これは県内で初めての介護分野に特化した監理団体としての位置づけです。

初めはミャンマーからの実習生を対象にしていますが、既に県内の介護施設からは積極的な雇用意欲が表明され、2020年夏には約20人の実習生を受け入れる予定です。

実習生は入国後、2カ月間の講習を受けます。この教育プログラムは、日本語教育と介護実習を組み合わせて行われ、その後、介護職員としての実務経験を得ることになります。

今後はミャンマー以外の国からも実習生を受け入れる予定で、ベトナムやインドネシア、ネパールなどが候補として挙がっています。同時に、県内の介護施設の数も増やしていく予定です。

介護の現場では、人手不足の問題が深刻化しており、外国人の雇用拡大は重要な解決策の一つとされています。政府も2019年に新たな在留資格「特定技能」を導入しており、外国人労働者の受け入れを支援しています。

新潟県内では、公益社団法人日本会を監理団体として介護職の技能実習生を受け入れており、これまでの取り組みとは異なる施策として注目されています。

新潟介護施設協同組合は、実習生の受け入れから教育、雇用までを一貫して担当し、実習生が地域社会とのつながりを持つことをサポートする取り組みも行っています。

同組合の上原喜光顧問監査は、「日本の介護技術は世界トップクラスであり、これを活かして国際貢献を果たしたい」と意気込んでいます。



介護業界の処遇改善:ベテラン職員への賃上げが業界の魅力と人材確保に貢献


介護サービス業界では、経験豊富な介護福祉士らを中心としたベテラン職員への賃上げが進んでいます。深刻な人手不足に直面し、施設が空きがあっても受け入れられない状況が生まれているため、各社は賃上げを通じて職員の処遇改善を図り、人材の確保に努めています。特に、政府の介護報酬改定に伴う「特定処遇改善加算」を活用し、賃上げに取り組む企業が多いです。

SOMPOホールディングスを含む8社は、2019年10月から賃上げを実施する計画で、リーダー職では最大で23%の賃上げ率を設定しています。賃上げの対象となる職種や地域によって差はありますが、経験豊富な職員の処遇を向上させることで、介護業界全体のレベルを引き上げる狙いがあります。

特定処遇改善加算は、リーダー職の介護職員の待遇を全産業の平均年収と同水準まで引き上げることを目指しています。これにより、介護職員の待遇改善が進み、業界全体の人材確保が期待されています。しかし、一部の企業は加算だけでは不公平感が生じるとして、賃上げを見送る方針をとっています。

介護業界の待遇改善は、業界の魅力を高めるだけでなく、人材確保の観点からも重要です。今後も、介護職員の処遇改善が継続されることが望まれます。



介護職給与大幅アップ! - SOMPOケアの待遇改善が業界に波紋


SOMPOホールディングスの傘下企業であるSOMPOケアが、介護職員の給与を引き上げる方針を2019年に明らかにしました。具体的には、10月から介護職リーダーの給与を年間最大で2割以上増額し、約80万円に到達させます。この改善を皮切りに、2022年までに看護職に匹敵する給与水準を目指しています。介護業界では人手不足が深刻化しており、この待遇改善が人材の定着に繋がることが期待されています。

この給与改善には、政府の「特定処遇改善加算」に加えて、自社で10億円の財源を充てる予定です。具体的には、介護職リーダーの正社員には年間24万円、介護福祉士相当の資格を持つ正社員には年間8・4万円の給与改善を実施します。また、人材確保が難しい地域や業態では、リーダー職で最大約80万円、それ以外で最大約65万円の引き上げも予定されています。

例えば、東京・世田谷区でリーダー職を担う正社員の場合、月5回の夜勤手当と日祝手当を含めた年収は、現在の376万円から456万円に増加します。これにより、厚生労働省の調査による介護員の平均年収である約340万円を大きく上回る給与水準になります。

22年にはさらなる給与改善を行い、リーダー職の給与を看護師と同等水準に引き上げる計画です。



静岡県の介護事業所で外国人介護職員が増加、人手不足を補う一方、課題も


静岡県の調査によれば、2019年10月時点で、県内の介護事業所に勤務する外国人職員は394人でした。この数字は前年比で68人増加し、調査が始まった09年以来の最高記録です。人手不足を補うため、外国人介護職員を積極的に採用する事業所が増えているのです。

調査では、5758カ所を対象にし、そのうち1819カ所から回答が得られました。外国人を雇用している事業所は204カ所で、21カ所増加しました。また、雇用していない事業所の6割弱が将来的に外国人の雇用を検討していることがわかりました。

外国人介護職員の国籍別では、フィリピンが最も多くの160人を占め、全体の4割に達しました。その後をブラジル、中国、ペルーが続きます。彼らの中で、4分の3が定住者でした。介護サービス利用者の反応について尋ねると、87%が好意的なものであったという結果もありました。

一方で、外国人を雇用することで明らかになった課題もあります。それは、読解力(55%)や会話能力(21%)が主なものです。県は、このような課題に対応するため、日本語研修や事業所向けの訪問相談などを提供し、外国人介護職員の定着をサポートしていく方針です。



船橋市、福祉避難所に介護士派遣―災害弱者対策を強化


船橋市では、災害時に高齢者や障害者など、配慮が必要な人々を受け入れる福祉避難所に介護福祉士を派遣することを決定しました。この取り組みは、千葉県介護福祉会との間で災害時の対応に関する協定を結んだもので、2019年の台風15号や19号などの大きな災害を受けて、災害弱者へのサポートを強化するためのものです。



医療・介護施設の働き方が見える化される


あなぶきヘルスケアは、医療・介護施設の働き方を見える化する取り組みを始めました。同社が運営する医療・介護施設の検索サイトでは、有給休暇の消化率や残業時間などのデータをグラフ化し、求職者に情報提供を行います。人手不足の中、施設側の需要に応える取り組みとして注目されています。

2019年12月にリニューアルされた医療・介護施設の検索サイト「病院・介護ナビmilmil」には、求人版のページが新たに追加されました。この求人版では、雇用形態や勤務時間などの基本情報が掲載されていますが、今後は有給休暇の消化率や残業時間なども提供される予定です。

最初の取り組みとして、介護付きの住宅型有料老人ホーム「アルファリビング高松紺屋町」の労働環境が紹介されました。この施設のデータをモデルにして、他の医療・介護施設の情報も提供されます。情報の充実度を高めるため、月に1~2施設のペースで取材・執筆が行われます。

医療・介護施設からの情報提供は、検索サイトの閲覧回数を増やす重要な要素となっています。2019年は月10万~15万回でしたが、求職情報の充実により、20年中には月20万回を目指します。

医療・介護施設の働き方改革が進む中、あなぶきヘルスケアの取り組みは需要に応えるものとして期待されています。この取り組みを通じて、求職者と施設側のニーズをつなぎ、より良い医療・介護サービスの提供が期待されます。



夢と現実の融合:介護職のソフトテニスプレーヤーたち


介護職員として働きながら、ソフトテニスの世界でも活躍する――そんな斬新な取り組みが広がっています。秀孝会という社会福祉法人が2019年に始めたこの試みは、介護職のイメージを改善し、人材不足に打ち勝つ狙いがあります。

秀孝会の藤田良一理事長は、「介護業界には良い人材を確保するためには、他と差別化しなければならない」と語ります。そこで、高校時代に活躍したソフトテニスプレーヤーを新たな人材として採用し、全国大会への挑戦を支援しています。

この施設の職員は、朝から夕方まで介護の仕事に従事し、その後、夕方から夜間にかけてテニスの練習に励みます。平日の練習時間は3時間、週末には大会に出場します。その成果もあり、彼らは全日本選手権大会で見事3位に入賞しました。

現在の女子ソフトテニスチームは少なく、選手たちは引退後の進路に悩むことが少なくありません。そこで、彼らに介護職員向けの資格を取得する機会を提供し、退部後のキャリアパスを広げる支援も行っています。

ソフトテニス部の活動は、職場全体の雰囲気を明るくしました。大きな試合では、施設の職員がバスで応援に駆けつけることもあります。予算の面では厳しい状況かもしれませんが、これは長期的なイメージ戦略の一環です。

介護職として働きながら、夢に向かって挑戦する選手たちの姿勢は、介護業界に新たな風を吹き込んでいます。その成果が今後も続けば、介護職に対するイメージが変わり、新たな人材を引き付けることに繋がるでしょう。



わかりやすい写真で介護教材を!学研HDが新たな道を開く


学研HDは2019年、介護資格の講座向けに新しい教材を作成し、販売を開始する。シニア層や外国人留学生などの受講者を想定し、写真やイラストを活用して分かりやすく事例を紹介する。介護資格の需要が高まっていることから、わかりやすい教材のニーズが拡大している。まずは自社の養成講座で使用し、今秋を目標に他社にも販売する予定だ。

最近、東京都および埼玉県から認可を受け、両都県内で行われる介護職員初任者研修に教材が導入されることになった。

この教材は、学研ココファンスタッフによって編集されたもので、介護職員初任者研修は介護資格の基本であり、介護福祉士の受験資格を得るために必要な資格だ。この研修では、介護に関する基本的な知識や医療に関する基礎知識などを学ぶことになる。

介護の資格取得者は増えており、特に50~60代のシニア層が定年後に新たなキャリアを模索している。同社の講座では、50代以上の受講者が全体の3割を占めている。

しかし、介護業界では専門用語が多く使われており、外国人留学生などにとっては理解が難しい場合がある。そのため、新しい教材では、中学生以上が学ぶ漢字にすべてふりがなを付けるなどの工夫がされている。

さらに、実際の現場で起こりやすい事例が多く掲載されているのが特徴だ。学研HDの介護事業会社、学研ココファンの職員などからのフィードバックをもとに、実際の体験や問題点が教材に反映されている。また、写真を多く使用することで、介助の方法だけでなく医療上の注意事項などもわかりやすく示されている。

さらに、教師向けの指導書も作成されており、講師のレベルに関係なく授業内容に差が出ないように配慮されている。

教材はまず自社の講座で使用される予定であり、今秋には他社にも販売される見込みだ。価格は税別で2390~2590円であり、シニア層だけでなく外国人留学生など、介護業界での需要の高まりに応えるものだ。介護業界の人手不足解消に貢献するため、学習のハードルを下げることが期待されている。



在宅医療の充実と人材育成の重要性


人生の最期を慣れ親しんだ場所で迎えることは多くの人々の望みです。そのため、在宅医療の充実とケアの担い手である医師や介護スタッフ、ヘルパーの育成が急務とされています。自宅でのみとりを望む人が多い中、在宅医療の整備が遅れており、患者の苦しみを理解し、支える人材の育成が喫緊の課題です。

2018年12月、エンドオブライフ・ケア協会は、みとりの援助者を養成するための「援助者養成基礎講座」を開催しました。この講座では、解決が困難な苦しみを抱えた患者でも穏やかな最期を迎えるためのスキルを学びます。全国から様々な職種の人々が参加し、在宅医療の充実に向けた取り組みが広がっています。

講座では、在宅医療やみとりに必要な知識やスキルを習得するだけでなく、実際のケースを想定したグループワークやロールプレーを通じて実践的な学びを得ます。これまでに多くの受講者が育ったスキルを活かし、地域の在宅医療に貢献しています。

講座では、相手の言葉をただ反復するだけではなく、真摯に向き合うことの重要性も教えられます。苦しみを抱える患者に寄り添い、支えることの意味を理解することが、在宅医療の本質です。

受講者の中には、過去の経験から自信を失っていた人もいます。しかし、講座を通じて自らの限界に向き合い、成長する姿が見られます。医師や介護スタッフ、ヘルパーなど、様々な職種の人々が、みとりの現場で活躍することで地域の在宅医療を支えています。

在宅医療の体制整備が進む一方で、人材育成も欠かせません。金銭的な理由で参加が難しい人々や、さらに学びたい人々のために無料講座の提供も行われています。今後も地域の在宅医療を支えるために、体制整備と人材育成の両面での取り組みが求められています。



高知の介護事業所が南海トラフ津波に備えた訓練を実施


2019年6月、高知市内の介護4事業所が、南海トラフ地震の想定をもとにした津波避難訓練を実施しました。デイサービスを提供するこれらの事業所は、利用者や地域住民を小高い公園に避難させる訓練を行いました。この訓練は地域の災害リスクに対応するために1年に1度実施され、今回が3回目です。高知市の支援のもと、約80人が参加しました。

デイサービスせいきょうやまももでは、訓練開始の合図となる地震速報が流れると、利用者たちは防災ずきんをかぶり待機しました。津波警報が放送されると、すぐに避難が始まりました。利用者や介護職員、地域住民が一丸となって公園に避難しました。他の3事業所も同じように、地震速報の発信を受けて避難し、すべての参加者が公園に集結しました。高知ならではの災害に対する介護の取り組みが光ります。



介護離職を防ぐために、企業はどうサポートすべきか


日本の将来を考える上で、避けて通れない問題の一つが介護である。介護離職者は増加傾向にあり、特に男性の離職率が高い。さらに、離職者の中には会社に相談せずに辞めるケースも多く、これらの離職は統計に反映されない。

この問題の根本には、なぜ家族が介護を担うのかという点がある。日本では家族が介護を行うという規範が強く、これが家族構成の変化と相まって介護を困難にしている。しかし、介護は専門的で長期間にわたるプロセスを要する。介護職に任せたり、チームでの協力が必要だが、介護活動は依然として家族に偏っている。

この問題の背景には、介護における「特権性」の意識がある。介護者は自分にしかできないと感じ、会社に相談せずに辞めることがある。企業はこうした問題に対処するために、介護者が抱える心理を理解し、相談しやすい雰囲気を整えることが重要だ。

また、企業側の制度的な介護支援は充実しているが、なぜそれが活用されないのかを理解し、従業員との共有知識として広める必要がある。介護は初心者状態から始まることが多いため、より幸福な高齢社会を築くためには、共有知識を蓄積していくことが重要だ。



在日ベトナム人、介護職に新たな道を


東京の人材紹介会社、ユアブライトが、介護業界への就職を目指す在日ベトナム人を支援する新サービスをスタートさせます。介護業界では人手不足が深刻であり、外国人材の活用が求められています。このプログラムでは、日本語力の高い在日ベトナム人を介護職に育成し、正社員として雇用することを目指しています。

特定技能の在留資格を取得するには、高い日本語能力が求められるだけでなく、介護に特化した「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。このプログラムでは、試験への登録を支援し、試験対策のプログラムを提供するほか、合格後の介護事業者とのマッチングも手掛けます。

日本語講師とベトナム人アシスタントがペアで指導を行うことや、ベトナム語によるプログラムを用意することで、参加者の理解を早めることができます。また、すでに日本に在住しているベトナム人を対象とすることで、比較的高い日本語能力を持つ候補者を採用する企業側の教育コストを抑えることができると期待されています。



外国人留学生への支援とAI導入で、愛知県が介護人材不足に挑む


2019年、愛知県では深刻な介護人材不足に備え、自治体が新たな取り組みを積極的に展開しています。その一環として、留学生を対象に学費の補助制度を導入し、外国人介護人材の呼び込みを強化しています。高浜市では、人工知能(AI)を活用して訪問介護のケアプランを作成する実証実験を開始し、効率的な業務運営を目指しています。

例えば、名古屋市ではネパール出身の留学生が日本の介護福祉士資格を取得するため、名古屋医療秘書福祉専門学校で勉強しています。このような取り組みにより、愛知県内に留学する介護に関心を持つ留学生が急増しています。愛知県では、外国人介護人材支援のために新たな予算を計上し、留学生が日本で学びやすい環境を整えています。

さらに、介護職の人手不足に対処するため、愛知県や名古屋市ではAIやロボット技術の活用も模索されています。高浜市では、訪問介護のケアプラン作成をAIが支援する実証実験を開始し、介護現場での業務効率化を図っています。同様の取り組みは豊橋市でも行われており、各地域が介護人材不足に対処するために様々な試みを行っています。

愛知県の介護職員の人手不足は深刻であり、厚生労働省のデータによれば、今後数年でさらに人材不足が拡大すると予測されています。このため、外国人介護人材の育成やAI・ロボットの導入が重要な課題となっています。各自治体は地域のニーズに応じて効果的な支援策を打ち出し、介護サービスの質を向上させる取り組みを進める必要があります。



千葉県、外国人介護職員支援センターの役割拡大――多様な相談に応じる声


千葉県は、外国人の介護職員が県内で働くためのサポートを目指し、専門窓口を設置しました。この窓口は、外国人の働きやすい環境を整えるための情報提供や支援を行っています。外国人の相談に加えて、日本人や介護施設からの問い合わせも相次いでおり、これらの声が外国人と日本人の共生につながる重要なヒントとなっています。

千葉市中心部に位置する「千葉県外国人介護人材支援センター」には、英語やベトナム語に堪能なコーディネーターが常駐しています。彼らは現役の介護職員や留学生からの相談を受け付け、ビザ取得や生活手続きなどのサポートを提供しています。

例えば、ベトナムから来日した介護職員が長期滞在を希望し、家族を呼び寄せるための手続きについて相談しました。このような相談に応じることで、彼らの生活や仕事をサポートし、地域社会への溶け込みを促進しています。

センターには日本国内だけでなく、海外からも相談が寄せられています。これまでの相談者はベトナムやフィリピン、インドネシア、中国など、様々な国籍の人々でした。

センター長の加藤良則さんは、開設後に多くの意外な相談が寄せられたことを明かしています。また、介護施設からは外国人留学生の資格取得後の雇用に関する相談も寄せられています。

政府は介護職員の受け入れを拡大する方針で、外国人の活用が求められています。この取り組みは、首都圏の介護業界における人手不足に対処する一助となるでしょう。

外国人との共生を促進するには、日本人も配慮が必要です。例えば、千葉市の介護施設で働くベトナム人女性は、最初は日本語に苦労しましたが、同僚や利用者とのコミュニケーションが取れるようになり、仕事が楽しくなったと述べています。

外国人は地域社会や職場の一員として誠実に接し、共にコミュニティを築いていく必要があります。このために、私たち一人ひとりが何ができるかを考えることが重要です。



千葉県、介護の魅力を世界へ:ベトナムの介護職員がPRに参加


2019年、千葉県は介護業界の魅力を広くPRする「介護の未来案内人」制度を導入し、今年度は初めて外国人として3人のベトナム人介護職員を起用しました。この制度は、県内で働く20~40歳代の介護職員を対象に、SNSや学校などで介護の魅力を伝える役割を担います。委嘱式では、森田健作知事が人手不足の深刻さを訴え、若くやりがいを持った介護職員の力を期待しました。

新たな案内人は、県内の大学や高校を訪れて介護の仕事内容を説明し、ツイッターなどで職場の雰囲気を発信します。また、ベトナム人の案内人は、県内やベトナムの日本語学校を訪れて千葉県での生活や仕事の楽しさを紹介します。グエン・ティ・マイさんは、委嘱式で留学生や後輩に千葉県の職場や介護の仕事の魅力を伝える決意を述べました。



千葉県とベトナム、経済・介護の連携強化へ


千葉県の森田健作知事が、2019年7月1日にベトナムのフック首相と都内で会談し、経済や人材の交流を強化することで合意しました。首相は千葉県内の企業がベトナムに進出し、投資を拡大する際に、県からの支援を求めました。これに対し、森田知事は今秋に経済ミッション団を派遣し、県内企業の海外進出のニーズを探る考えを示しました。

森田知事は3月にベトナムを訪問し、介護人材の受け入れ拡大についてフック首相と協議しており、今回の再会談は首相がG20サミット後に実現しました。首相はベトナム人の介護人材受け入れに際し、「新しい環境での心のケアが重要だ」と強調しました。これに対し、森田知事は外国人が安心して働ける環境を整えるため、1日に専門窓口を新設したことを伝えました。

千葉県は1日に、「千葉県外国人介護人材支援センター」を千葉市内に開設しました。このセンターでは、外国人の介護職員や留学生向けに、英語やベトナム語が話せるコーディネーターが配置され、相談に応じます。これは岐阜県や愛媛県に続く3番目の専門相談窓口であり、首都圏では初めての取り組みです。



シニア介護職、温かな手を提供――高知での新たな光景


高知市に位置する社会福祉法人長い坂の会は、介護職にシニアを積極的に採用し、その暖かい対応が利用者や家族から高い評価を得ています。彼らの人生経験が、若手職員にはない温もりをもたらしているとされ、この取り組みは高知県全体でも注目を集めています。

このようなシニアの介護職採用は、長い坂の会だけでなく、全体の介護職員の約22%にあたる34人に及び、60歳以上でも1割に達しています。介護業界では慢性的な人手不足が課題となっており、シニアの積極的な採用が解決策として期待されています。

高知県もこの動きに呼応し、高知県認証介護事業所に新たに5法人を加えました。この取り組みは、介護の基礎知識を学び介護福祉士の資格を取得したいという求職者を支援する制度も含まれています。介護業界では25年度までに55万人の人手確保が必要とされており、シニアの活躍がますます重要視されています。



高齢者を活用した介護助手が注目される中、介護業界の人手不足に一石を投じる


高齢者を積極的に活用する動きが全国で広がっています。25を超える都道府県で、介護施設では「助手」として、配膳やベッドメークなどの補助業務を行うことで、介護職員がより専門的な業務に集中できるようになっています。2025年度までに55万人の介護人材が必要とされている中、このような取り組みがますます重要性を増しています。

介護施設における「介護助手」の活用は、地域によって様々ですが、高齢者の方々が補助業務を担当し、専門職がより高度なサービスに注力できるメリットがあります。たとえば、介護大手のツクイでは、東京都西部の多摩北エリアでこの取り組みが進められており、65歳以上の方々が25%、60歳以上の方々が35%を占める263人が活躍しています。

また、三重県では老人保健施設協会が主導し、介護助手の採用費用を補助する取り組みが行われています。60歳以上の高齢者がほぼ全てを占める約120人が介護施設で働くなど、高齢者の活用が進んでいます。

このような取り組みは、人手不足解消だけでなく、専門職の負担軽減やサービスの質の向上にも寄与しています。全国に先駆けて導入された三重県では、介護助手の導入により、介護職員の離職率が低下し、介護人材の需給ギャップの縮小につながっています。

厚生労働省も、高齢者の参加を促すための研修制度整備などを進めており、業務の分業化が求められています。人手不足を解消し、介護サービスの質を向上させるために、このような取り組みが今後も広がっていくことが期待されます。



高知市、介護クレーマーへの対応アプローチを解説


高知市は2019年、介護施設の経営者や管理者を対象に、利用者の家族からの不当なクレームやハラスメントにどう対処するかについての研修会を開催しました。この取り組みは、より良い働き方を目指す一環であり、問題が生じた際には現場任せではなく、毅然とした対応が求められます。

介護・福祉のリスクコンサルタントである山田滋氏が講師を務め、研修会では家族からの不当な要求が問題の根源として取り上げられました。山田氏は、施設運営において家族との信頼関係を築くことが重要である一方で、要求を受け入れてしまいがちな仕事観を変え、毅然とした対応が必要であると指摘しました。

具体的な対処法として、無理な要求があった場合には現場の窓口を法人本部に切り替えることを提案しました。このようにすることで、専門の部署が対応し、クレーマーに対して適切な圧力をかけることができ、問題は解決に向かうと結論づけられました。







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