【2019年注目】トコペディアがAmazonに対抗する「局地戦」戦略!AIと零細店を結ぶスーパーエコシステムの全貌

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アジアのテックシーンが熱気を帯びるなか、インドネシアから注目のニュースが飛び込んできました。2019年6月1日現在、インドネシアのネット通販(EC)最大手であるトコペディアが、新たな成長戦略を掲げています。来日中の創業者兼CEO、ウィリアム・タヌウィジャヤ氏が、2019年5月31日に日本経済新聞の取材に応じ、その壮大なビジョンを語りました。

トコペディアといえば、ソフトバンクグループ傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」や中国のアリババ集団から出資を受け、企業評価額が70億ドル(約7700億円)に達する巨大ユニコーン企業です。しかし、ウィリアムCEOが語ったのは、海外への安易な拡大ではなく、あくまで「インドネシアという地元に固執する」という徹底したローカル戦略でした。世界的大手のAmazonやアリババが虎視眈々と市場を狙うなか、なぜ彼らは国内に留まるのでしょうか。

6000万の零細店舗をAIで「武装」させる革命

トコペディアの狙いは、インドネシア国内に点在する約6000万もの零細小売店です。これまで単なる「場所貸し(マーケットプレイス型)」で急成長してきた同社ですが、今後はこれらの小さな商店をデジタル技術で支援する「インフラ企業」への脱皮を図るといいます。具体的には、人工知能(AI)を活用した物流システムや、フィンテックによる決済サービスを零細業者に提供するのです。

ここでいう「フィンテック(FinTech)」とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、スマホ決済や送金などを手軽に行える技術のことです。トコペディアは、大手財閥リッポー・グループの電子マネー「OVO(オボ)」を導入するなど、決済面での利便性を高めています。これにより、町の小さなお店が、まるで最先端のテクノロジー企業のように効率的な経営ができるようになるわけです。

「スーパーアプリ」ではなく「スーパーエコシステム」へ

東南アジアでは、配車サービスのゴジェックやグラブのように、一つのアプリで何でも完結させる「スーパーアプリ」化がトレンドです。しかし、トコペディアの手法は一線を画します。ウィリアムCEOが掲げるのは「スーパーエコシステム」の構築です。これは、自社ですべてを囲い込むのではなく、物流や決済など各分野の有力企業とパートナーシップを組み、共に成長する「開かれた生態系」を作ることを意味します。

実際に配送分野では11社と提携し、結婚式関連サービスのブライドストーリーへの出資交渉も進めています。あくまで買収ではなく、出資比率を最大30%程度に抑えることで、パートナー企業の独立性を尊重しながら連携を深めるという姿勢は、非常に賢明な戦略と言えるでしょう。孫正義氏から毎月のように薫陶を受けているというウィリアム氏の経営判断には、鋭い先見性が感じられます。

編集後記:巨人に挑む「選択と集中」の勝算

私自身、このトコペディアの「インドネシア一点突破」という戦略には強く心を動かされます。グーグルやフェイスブックといった「プラットフォーマー」が世界を席巻する現代において、戦う場所を限定し、地元の零細企業を味方につけることで「外資系巨人」に対抗しようとする姿は、まさにランチェスター戦略の極みと言えるのではないでしょうか。

SNS上でも、今回の報道を受けて「Amazonが来ても地場を知り尽くしたトコペディアは強いはず」「孫さんの教えを受けているなら期待大」「インドネシアの成長と共に伸びる株だ」といった、期待と応援の声が多く上がっています。2億6000万人の人口を抱えるインドネシア市場で、トコペディアが今後どのように進化していくのか、その動向から目が離せません。

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