韓国を代表するテック巨人、サムスン電子が2019年07月05日に発表した2019年4〜6月期の連結決算速報は、世界中の投資家やIT業界に大きな衝撃を与えました。本業の稼ぎを示す営業利益は6兆5000億ウォン、日本円にして約6000億円にとどまり、前年の同じ時期と比較して56%も減少したのです。前四半期に続く大幅な減益は、同社が直面している逆風の強さを物語っているでしょう。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、稼ぎ頭である半導体事業の失速にあります。米中貿易摩擦の激化により世界景気の先行きに不透明感が漂うなか、データセンターなどで情報を一時的に記録する「DRAM」の価格が急落しました。このDRAMとは、パソコンやサーバーの動作速度を左右する極めて重要な部品ですが、需要の冷え込みが価格にダイレクトに跳ね返ってしまった形ですね。
SNS上では「ついにスマホやPCの心臓部まで不況の波が来たか」といった驚きの声や、「メモリ価格の下落は自作PCユーザーには嬉しいけれど、経済全体で見ると恐ろしい」という冷静な分析が飛び交っています。実際にDRAMや、電源を切ってもデータが消えない「NAND型フラッシュメモリー」の単価は1年前から約5割も下落しており、この圧倒的なデフレ状態がサムスンの利益を削り取ったのでしょう。
私は、この状況を単なるサイクルの一環と捉えるのは早計だと考えています。これまで圧倒的なシェアを誇ってきたサムスンですが、技術のコモディティ化(汎用化)が進む中で、いかに付加価値を維持するかが問われているはずです。単に「安く大量に作る」モデルからの脱却が必要な時期に来ているのではないでしょうか。特にフラッシュメモリー部門が赤字転落したとの予測は、業界の構造変化を示唆しています。
主力のギャラクシーも苦戦?ファーウェイ問題の影響と今後の懸念
モバイル部門に目を向けても、明るい材料は多くありません。今春に鳴り物入りで投入されたフラッグシップモデル「Galaxy S10」の販売が期待ほど伸びず、部門利益は前年比で2割以上減少した模様です。米政府による中国・ファーウェイへの制裁措置により、サムスンに顧客が流れるという期待もありましたが、実際には販促費などのコストが重くのしかかり、大きな恩恵は得られなかったようですね。
さらに、今後の業績に暗い影を落としているのが、2019年07月04日に日本政府が発動した半導体材料の輸出管理厳格化です。半導体製造に不可欠なフッ化水素などの材料を日本に依存しているサムスンにとって、これは生産ラインを揺るがしかねない死活問題でしょう。サプライチェーンが政治的な動きに左右されるリスクが浮き彫りになり、投資家の間でも不安が広がっているのが現状です。
筆者の個人的な見解としては、技術力に定評のあるサムスンであっても、今回の日韓関係の冷え込みは過去に例を見ない試練になると予想します。材料調達の多角化には時間がかかりますし、その間に競合他社にシェアを奪われる可能性も否定できません。技術革新だけでなく、国際情勢という不可抗力に対して、同社がどのような一手を打つのか、7月下旬に予定されている確報値の発表から目が離せません。