高齢化社会が進展する中、訪問介護や介護保険制度に関する問題が複雑に絡み合っています。ヘルパー不足や夜勤体制、介護報酬の引き下げなど、さまざまな課題が浮き彫りになっています。また、介護職の生活苦や介護施設での虐待問題など、業界全体に影響を及ぼす深刻な現状が明らかになっています。
これらの課題に対処するためには、厚生労働省や専門家との協力が不可欠です。給与引き上げやセクハラ問題への対策、そして公正なケアの実現など、解決策を模索する必要があります。さらに、投資ファンド主導の業界改革や政府の規制緩和、ICTの活用など、将来の展望を見据えた取り組みも必要です。
介護人材市場の混迷や介護保険申請の注意点など、家族が直面する問題にも焦点を当てました。悪質な会社の台頭に対する政府の対策や、落とし穴を回避するための準備が重要です。これからも、介護業界の課題について議論を深め、より良い解決策を見つけていくことが求められます。
訪問介護の現状と課題:高齢化社会でヘルパー不足にどう立ち向かうか
今や当然のように利用できる介護サービスですが、その背後では人手不足が深刻化し、システムの崩壊が現実のものとなりつつあります。「自宅で最期を迎えたい」という希望が、10年後には叶わなくなるかもしれません。1月中旬、愛知県岡崎市の社会福祉協議会に、75歳の女性ヘルパーからの慌てた電話がありました。「今日は訪問介護の日だったのに、別の日と勘違いしてしまった」と彼女は疲れた声で言い、「もう辞めさせてほしい。こんな失敗をするようでは、皆さんに迷惑をかけてしまうから」と続けました。
小原修子介護課長は必死になだめました。「どうして勘違いしてしまったのか、一緒に考えてみましょう。対策があるはずです。だから、どうか辞めないでください」。辞める一人の影響が大きいこの地域を支えるのは、高齢のヘルパーたちです。その中の一人、84歳の岩瀬靜子さんは、精神疾患のためグループホームに住む69歳の山田逸雄さんを週1回サポートしています。山田さんは、「週に1回来てもらえるから外を出歩ける。心強い」と語ります。
2000年に介護保険制度が始まった当初、岡崎市社会福祉協議会には約130人のヘルパーが登録していましたが、現在の登録者数は55人に減少。ヘルパーの平均年齢は63.5歳です。「体力の限界」などの理由で辞めたいという人が増え、新規の訪問介護依頼を断るケースも出てきています。
全国的に訪問ヘルパーの高齢化が進んでいます。昨年、介護職から離職する人が新たに就業する人を上回り、高齢化で介護が必要な人がさらに増加すると見込まれています。静岡県浜松市の訪問介護事業所「てんまるっと」では、従業員数が減少し、要介護度の高い利用者を他の事業所に通わせるなど、厳しい状況に直面しています。
低賃金がヘルパー不足の主な原因であり、移動時間やキャンセル時に賃金が支払われないことが多いです。司法の場でも争われてきましたが、状況は改善されていません。介護保険制度がこれまで親の介護を担ってきた家族を解放しましたが、膨張する給付費を抑えるため、利用者の負担が増し、サービスが縮小されてきました。
介護職不足に歯止めをかけるための対策が急務です。現役世代が老後に介護サービスを受けるためにも、今、この問題に真剣に向き合わなければならないでしょう。
介護保険制度23年の軌跡と課題:厚生労働省と専門家が語る改善の道
2000年4月1日に施行された介護保険制度。この23年をどう評価するかは議論の的となっています。社会学者の上野千鶴子氏は「改悪の歴史」と抗議し続けてきました。一方、制度運営側である厚生労働省は異なる視点を持っています。
上野氏は「おひとりさまの老後」や「在宅ひとり死」といった概念を提唱し、訪問介護の重要性を強調しています。しかし、訪問介護は人手不足と低賃金により崩壊寸前といわれています。最近の報酬改定で基本報酬が減額されたことに対しても、彼女は怒りを通り越して呆然としています。訪問介護の報酬引き下げはますます人材不足を招くでしょう。元々、訪問介護を「身体介護」と「家事援助」に分け、家事援助の報酬を極端に安く設定したことが問題だったと彼女は指摘します。
介護保険制度が施行された当時の心境について上野氏は、「奇跡だった」と語ります。それまで“嫁”が担っていた介護を脱家族化し、社会化することができたのです。これは、当時の日本がまだ社会連帯に基づいた国民的合意形成ができていたからこそ可能でした。しかし、現代の日本では格差社会が進行し、あのような法律を成立させるのは難しいと上野氏は懸念しています。
介護保険制度の23年間を振り返ると、年々使い勝手が悪くなってきました。政府が利用を抑制しようとしてきたためです。特に訪問介護では利用時間が細切れにされ、利用者の負担も増え続けています。上野氏はこの期間を「改悪の黒歴史」と表現しています。しかし、一方で民間事業者の参入により、新しいサービスが生まれた点も評価しています。例えば、小規模多機能型居宅介護やホームホスピスといった新サービスは、利用者のニーズに応えるために生まれました。
また、国は人手不足を補うためにICT機器の導入を推進していますが、現場の介護職員からは反対の声が上がっています。介護職員は人件費削減を目的とするこの動きを安全面から懸念しているのです。
介護保険制度が今後も維持されるためには、現場の声をもっと反映させる必要があります。上野氏は、介護職の人々がもっと声を上げ、政治力を持つことが重要だと訴えています。介護保険がない時代を考えると、現代の若い人たちもその重要性を理解し、支えていくべきです。
一方で、厚生労働省の間隆一郎局長は、介護保険制度がしっかりと定着しているとし、負担額についてもきめ細かい検討が必要だと述べています。高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者の数も増えるため、今後の課題は多いでしょう。介護の質を高め、全世代型社会保障を構築するためには、政治と現場が一体となって取り組む必要があります。
特別養護老人ホームの現実:夜勤体制と職員不足の影響
介護職員のAさん(34)は、夜勤で多大な重圧に晒されています。彼女が勤務する東京都目黒川沿いの特別養護老人ホーム「青葉台さくら苑」では、志村さんが夜間一人で5階の22人の入居者を担当しています。これは国が定めた配置基準を満たした一般的な夜勤体制です。
夜9時、Aさんの定期巡回が始まります。真っ暗な居室をライトで照らしながら異常がないか確認し、2時間ごとの巡回では寝返りが打てない人の体位を変えます。さらに、排泄介助に追われることも多く、10人ほどの入居者のパッド交換を1晩に2~3回行います。彼女は「ごめんね、すぐ終わるからね」と声をかけながら手際よく介助を進めます。
Aさんの仕事は介助だけにとどまりません。尿や便の状態を記録し、普段と異なる様子があれば看護師に報告します。病気の予見や急変時の対応に役立てるためです。また、特別な処置が必要な人もいます。例えば、92歳の男性は飲み込む力が衰え、喉にたんが詰まる危険があるため、Aさんは彼のたんを機械で吸引します。この吸引を1晩で3回行います。
午前1時から2時間は最も忙しい時間帯です。この間、4階の職員が休憩に入るため、Aさんは4階と5階の44人を一人で対応します。5階でパッド交換を始めた矢先、携帯が鳴り、4階に駆けつけてトイレ介助。その最中にまた携帯が鳴り、5階に戻るという綱渡りのような状況です。
入居者が独り言を増やしたり、頻繁に部屋から出てくる場合は、Aさんが対応します。例えば、男性が「いつ家に帰れるの?」と尋ねるたびに彼女は連れ添って部屋に戻ります。
朝6時、Aさんは入居者を起こし始めます。トイレ介助を行いながら、車いすに乗せて食堂まで連れて行きます。朝食の介助を終えると、9時半に17時間の夜勤がようやく終わります。この夜、志村さんが座っていた時間はわずか30分ほどでした。
Aさんは介護職員になって7年目、現在はフロアリーダーを務めています。夜勤には月に4~5回入りますが、「基本給は21万円なので、夜勤手当がなければ生活が厳しいですね」と話します。以前は職員不足で月に8回以上夜勤をこなすこともありましたが、経営層と施設長の刷新により職員数が回復しました。
それでも、夜勤体制には余裕がありません。現在、全5階分の入居者116人を各階の担当者5人で見る体制です。Aさんは「もう1人職員がいれば心にゆとりが持てる」と言いますが、現実は厳しいです。施設長の坂井祐氏も「夜勤を増やすには追加で1人以上を雇わなければならず、年間500万円以上の支出増になる。今の介護報酬ではその支出は厳しい」と語ります。
特養は2015年から要介護3以上の人しか入居できなくなり、入居者は年々重度化していますが、職員の数は増員されていません。むしろ、配置基準の緩和が検討されています。現状でも綱渡り状態の人員体制を考えると、配置基準の緩和は拙速と言わざるをえません。ICT化は不可欠ですが、まずは介護職員の負担を減らし、離職を防ぐことが急務ではないでしょうか。
介護報酬引き下げの影響:在宅医療を支える訪問介護が存亡の危機
在宅生活を支える「最後の砦」が崩壊寸前です。
「人生の最期は自宅で迎えたい」という願いをかなえるために訪問介護は欠かせません。しかし、深刻な人手不足などの影響で、昨年は67件の訪問介護事業所が倒産し、過去最多を更新しました。そんな中、厚生労働省は2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げる方針を固めました。この決定に業界は大きな衝撃を受けました。
社会保障審議会・介護給付費分科会では、「訪問介護サービスがなくなると在宅医療は容易に破綻する」との声が上がりました。厚労省は経営実態調査の結果を基に訪問介護の収支差率が7.8%の黒字だったことを理由に挙げています。しかし、この黒字は人手不足で人件費が減少したためであり、経営が安定しているとは言えません。訪問介護事業所の介護料収入は前年度より減少しており、経営状況は厳しいです。
また、訪問介護にはサービス付き高齢者向け住宅などと同じ敷地で集中的にサービスを行う事業所もあり、一軒一軒を回る事業所とは収支差率に大きな違いがあります。厚労省は賃上げ対策として処遇改善加算を拡充しましたが、加算申請の手続きが煩雑で小規模事業所には手が回らない現実があります。さらに、基本報酬が下がれば加算をしても結果的にマイナスです。全国ホームヘルパー協議会の田尻亨会長は「訪問介護は退場しろというメッセージなのか」と強い口調で批判しました。
逆風の中でも「最期まで家で暮らしたい」という意思を尊重し、採算度外視で取り組む事業所があります。静岡県浜松市の「てんまるっと」はその一つです。天竜川沿いの山間部に位置するこの事業所は、要介護者へのサービスを提供し、利用者の生活を支えています。ヘルパーの村上綾子さん(41)は毎週要介護2の太田多賀子さん(91)を訪れ、足浴などの身体介護を行っています。太田さんはヘルパーのサポートを受け、歩行器での移動が可能になりました。娘さんも「ヘルパーが来てくれるから母は家族以外の人と話すことができる」とその存在の大きさを語ります。
「てんまるっと」のスタッフは正社員4人と登録ヘルパー28人で、山間部を中心に約40人にサービスを提供しています。高齢者割合が高く、一人暮らしが多いこの地域で、ヘルパーは重要なセーフティーネットの役割を果たしています。しかし、移動時間に報酬がつかず、ガソリン代やタイヤの摩耗などの費用が負担となっています。代表の鈴木久美子さんは「山間部ならではの悩みも多い」と語ります。
設立して3年が経ちますが、訪問介護事業は赤字が続いています。ケアプラン作成事業で収支均衡を保っていますが、大きな黒字は見込めません。最近も社員が退職し、新たな採用も追いつかない状況です。「ヘルパーの努力に見合った体制を整えたい」と鈴木さんは願っています。
市内で一人暮らしをする男性(72)は、要介護5で認知症があり、寝たきりの状態です。村上さんが訪問し、食事やおむつ交換を介助します。県外に住む家族は「訪問介護のおかげでストレスのない自宅で心のこもったケアを受け、回復した」と感謝しています。
ヘルパーたちは利用者の生活と尊厳を支えています。現場の人々は「国が本当に“住み慣れた地域で最期まで”と言うならば、実情を見てほしい」と訴えています。
介護職の生活苦:なぜ辞める人が多いのか、その理由に迫る
「カツカツの生活でガストなんて高くて行けません」――子育て中の高橋美幸さん(仮名、42歳)はため息をつきます。東京都内で介護職として働く夫婦ですが、家計はギリギリ。たまの外食もままなりません。
特別養護老人ホームで働いていた美幸さんは、同僚と職場結婚しました。産後は子どもを保育園に預け、実家も頼りながら夜勤をこなしましたが、それも限界に達し、3人目の出産を機に夜勤のない介護施設を探しました。しかし、どの施設も「正職員で夜勤なしでは雇えない」と門前払いされ、パートの訪問介護職に転じました。
それから10年、1350円だった時給はほとんど変わらず、ようやく1400円に上がっただけです。現在は週3日働き、月収は8万円。夫は管理職ですが、月の手取りは約28万円。収入は最低限の生活費で消えてしまいます。中学生の息子2人は食べ盛りのため、外食費も痛手です。「たまに両親にお願いしてガストで食事をごちそうしてもらいます」と美幸さんは語ります。
家計が苦しい中でも、美幸さんは子どもたちと特別な時間を作ることを大切にしています。行く先はチェーン店のカフェやラーメン店。スターバックスは高いのでドトールに、ケーキは高いのでクッキーを頼みます。ラーメン店では子どもがラーメンだけでは足りないことを見越してチャーハンを頼み、「ママのを半分あげるね」と分けます。「サイゼリヤは神です。何といっても安い」と笑顔で話します。
美幸さん夫婦の世帯年収は約500万円。日本の1人当たりの平均年収458万円と大差ありませんが、学資保険で子ども1人当たり200万円の学費を準備しても、私立の高校や大学には賄えない見込みです。「ほかの家の子が当たり前のように通う塾や習い事はぜいたくで、とても行かせられません」と語ります。
全国労働組合総連合(全労連)による「介護労働実態調査」(2019年)では、介護職の女性の8人に1人がマタニティーハラスメント被害を訴え、妊産婦が免除されるはずの夜勤や当直で4割が免除されなかったとしています。その結果、美幸さんのように正職員で働けなくなり、家計が逼迫するケースが後を絶ちません。
子育てのため非正規雇用になった小池理恵さん(仮名、41歳)も、「もともと家計が厳しいのに、物価高でさらに大変です」と日々節約に余念がありません。理恵さんは妊娠中や育休明けに夜勤が免除されず、心身を壊して数年前から訪問介護のパート勤務をしています。今は週に1回、夜勤を行い、月収は約8万円です。病院勤務の看護師の夫の給与は手取り24万~26万円で、収入は赤字寸前です。
「子どもにひもじい思いはさせたくない」と安いものでもたくさん食べられるように工夫しています。子どもの服は親戚からのお下がりを活用し、新品はしまむらや西松屋で購入します。「夜勤をこなしても月20万円程度。それではつらい」と理恵さんは言います。
結婚にも影響が出ます。茨城県在住の佐藤祐介さん(仮名、37歳)は「介護職は結婚が難しい」と苦笑いします。20代の頃、大手の結婚相談所に入会しましたが、参加費や受講費用が負担で1年ほどで退会しました。現在、サービス付き高齢者向け住宅で働き、年収は300万円に届かないものの、手取り22万円を超え、「やっと貯金できるようになりました」と言います。
介護福祉士と社会福祉士の資格を取っても、資格手当は月に1万5000円程度。昇進しても月給30万円が最高水準です。「独身のまま高齢になって孤独死するのが怖い」と祐介さんは不安を抱えています。
日本医療労働組合連合会の寺田雄・中央執行委員は「介護職で働く人は低賃金で生活が成り立たず、将来不安を抱く人が多い。介護職の賃金を全産業平均まで引き上げる必要がある」と指摘します。
冒頭の美幸さんは「介護職は子どもを産み育てるなと言われているようなものです」と憤ります。介護職の処遇改善と生活の実態に改めて目を向ける必要があります。
介護保険の将来:給与引き上げの必要性と解決策
給与引き上げは必要不可欠ですが、それだけでは人手不足の問題は解決しません。介護事業所の収入は介護報酬に依存しており、これまでの給与引き上げではまだ全産業平均との開きが大きいです。しかも、報酬増額には税金や保険料の確保が必要で、実現は容易ではありません。そのため、適切な労務管理や職場環境の整備も欠かせません。
また、生産年齢人口の減少による人手不足の解消策としてICTの導入や生産性の向上が検討されています。しかし、現場では利用者との信頼関係が重要であり、すべてを自動化することは難しい現状があります。そのため、デジタル技術の導入には現場スタッフの意見を十分に取り入れる必要があります。
介護保険の給付対象に関しては、財源の確保や給付抑制策が求められます。政府は給付抑制策として、ケアマネジメントの有料化や2割負担対象者の拡大などを提案していますが、これには利用者や業界団体からの反発もあります。
介護保険制度の維持には、給与改善だけでなく、働きやすい職場環境や外国人材の受け入れ拡大、支え合い体制の強化が必要です。また、税や保険料の増加や利用者負担の増加といった選択肢もありますが、国や自治体、介護現場が連携して検討する必要があります。
介護施設での虐待問題:新居浜市の改善勧告から見える深刻な現状
愛媛県新居浜市に住む女性は、父が介護施設で虐待を受けたことに深い後悔の念を抱いています。「もっと調べてから入居させるべきでした」と涙ながらに語る彼女の父(92)は、2022年12月に新居浜市内のグループホーム「はなれ茶屋」に入居しました。父は友達を作ることを楽しみにしていたのです。
しかし、入居からわずか5カ月後、父は心肺停止状態で病院に緊急搬送され、一命は取り留めたものの、極度のやせと重度の貧血に陥っていました。入居当初の写真ではふっくらとした笑顔を見せていた父が、搬送後は体重が10キログラムも減り、口元にも力が入らない状態になっていました。腰には床ずれができ、自力でトイレに行けていたはずが車いす生活を余儀なくされてしまいました。
いったい何が起こったのか。新居浜市の改善勧告書によれば、施設の職員たちは日常的に父を虐待していたのです。行動を抑制し自由に動けないようにする、栄養補給を怠る、就寝時に寝具を敷かずに寝かせる、大声で怯えさせるなどの行為が行われていました。父は家具のない部屋に閉じ込められ、床には布団も敷かれず、パンツも履かされていない状態でした。
さらに、父には認知症薬のほかに睡眠薬や抗不安薬、鎮静作用のある薬が5種類も投与され、身体を動けなくされていたのです。こうした行為は介護施設では原則禁止されている身体拘束に該当します。職員らが参加した高齢者虐待防止委員会の議事録からは、施設の管理者が率先して不適切なケアを行っており、他の職員も誰も発言できない状況にあったことが明らかになっています。
管理者はすでに自主退職していますが、運営会社の対応にも疑問が残ります。「本部まで伝わるシステムがなかったのではないか」「管理者に対する会社の評価が高かったのではないか」との指摘があり、労働環境の問題も浮かび上がっています。この施設を運営する「お茶屋の里」は改善勧告を受け、「調査中であるため明確な回答が難しい」としています。
介護施設での虐待はこの施設だけの問題ではありません。厚生労働省の調査によれば、2022年の介護職員による虐待件数は過去最多の856件に達しています。特に注目すべきは再発の多さであり、過去に虐待が発生した施設のうち21.3%が再び虐待を繰り返しています。
愛知県豊橋市が運営する特別養護老人ホーム「つつじ荘」では、エアコンの故障により入居者がロビーで生活させられ、人前で排泄させられるなどの虐待が行われました。さらに、紙おむつの不足により、交換回数を減らし、汚れたおむつの使い回しが行われていたことも発覚しました。これらの虐待の被害者は合計153人に上り、虐待に関与した職員は38人に及びました。
施設の所長ら運営責任者は虐待を認識していなかったとしていますが、組織の風通しの悪さが問題です。第三者評価を行う専門家は「虐待の芽が出るかどうかは組織の土壌次第」と指摘し、組織の風土が問題であるとしています。
法律の専門家も「組織が腐ると職員も染まる。経営層が、虐待は許さないというメッセージを徹底して職員に浸透させる必要がある」と述べています。介護施設の虐待を防ぐためには、組織全体での取り組みが不可欠なのです。
単身高齢者が行き場を失う現実とその対策:制度整備の遅れと人材不足がもたらす影響
介護制度の整備が遅れ、人材も不足する中、単身高齢者が行き場を失っています。
2022年5月、千葉県に住むAさん(60代女性)の自宅に、東京都港区から父親(90代)について「成年後見人を選任することが必要」との手紙が届きました。Aさんは数年間父親と連絡を取っておらず、認知症のことも聞いていませんでした。驚いたAさんが区役所に問い合わせると、職員は「区で申し立てをします」と言うばかりで、父親の居場所を教えてくれませんでした。Aさんは詐欺を疑いましたが、これは現実でした。埼玉県川口市の精神科病院に父親が入院していることがわかりました。
病院に行くと区の職員が同席し、面会を求めても医師は認めませんでした。同行した弁護士が面会すると、父親は認知症ではなく元気でした。最終的に警察を呼んで退院させました。父親は年相応の衰えはありましたが、認知症ではなかったのです。妹が入院し、一人暮らしになったことが問題のきっかけでした。
港区の職員は、父親を身寄りのない認知症高齢者と決めつけ、精神科病院に入院させて後見人をつけようとしたようです。Aさんが声を上げなければ、父親は退院できなかったかもしれません。
日本の高齢者福祉の現状では、同様の事例は珍しくありません。ある自治体の高齢者支援担当者は、要介護度が軽度の場合、本人が介護サービスを拒否するなどしてケアプランが作成できない人もいると話しています。社会福祉協議会の職員も、単身高齢者の場合、後見人をつけたほうが扱いやすいと言います。
単身世帯の高齢者は増え続け、2025年には65歳以上の一人暮らしが751万人に達すると推計されています。同居家族のサポートが望めないため、介護事業者がその役割を担わざるをえない状況が増えています。ケアマネジャーを対象にしたアンケートによると、45.3%が「市町村独自サービスへの代理申請」を経験しており、入院時の付き添いなどを介護事業者が代行しているケースもあります。これらは介護保険外の仕事で、必要に迫られたボランティアワークです。
さらに、身寄りのない高齢者の急増で身元保証代行のトラブルも増えています。身元保証代行サービスが広がっていますが、所管する省庁や法律がなく、トラブルは後を絶ちません。それでも身元保証代行サービスの事業者は増え続けています。厚生労働省は身元保証人がいないことを理由に入院や入所を拒むことのないよう通知を出していますが、施設では緊急連絡先や死亡時の遺体の引き取りなど身元保証人を必要とする実態があります。そのため、身元保証代行サービスが利用されることが多いのです。
冒頭の事例は、制度整備が遅れ、人材不足の現場で区役所の職員が「入院させよう」と安易に考えた可能性があります。港区に見解を求めると、「個人情報については答えられない」としたうえで、「区は、ご本人の権利が尊重されるよう安全・安心を第一に必要な支援を今後も行ってまいります」と回答しました。しかし、父親は「入院中は何を言っても誰も相手にしてくれなくて、死ぬほど苦しかった。こんなのは民主国家のやることではない」と振り返っています。
認知症患者の人権を守るために:精神科病院の課題と改革の必要性
介護施設で対応できない認知症患者が精神科病院に多く入院している現状があります。
介護施設では身体拘束が原則禁止されています。緊急時に限り、命に危険が及ぶ場合や他に方法がない場合にのみ許される厳格な基準があります。身体拘束は精神的にも肉体的にも大きなダメージを与えるため、慎重な対応が求められています。しかし、こうした基準が精神科病院では適用されません。精神科医が独自の判断で拘束を指示できるため、管理の容易さを優先した拘束が多発しているのです。
2022年の調査によれば、精神病床に入院する認知症患者のうち、約6.57%に身体拘束が指示されています。これは統合失調症患者の2倍以上の割合です。身体拘束は血流を悪化させ、血栓ができやすくなるため、命に関わる危険もあります。実際に、身体拘束による死亡例が報告されており、違法とされたケースもあります。しかし、高齢者の死亡例は家族が原因究明を求めないことが多く、その実態は不透明なままです。
「せん妄や徘徊の悪化で介護施設や自宅で対応できない場合は仕方ない」と考える人もいるでしょう。しかし、認知症患者は医療の力で症状を改善し、再び自宅や施設で過ごせるようにするために入院しているのです。それにもかかわらず、雑な扱いや身体拘束が行われる病院もあります。これでは、何のための入院かわかりません。
一方で、身体拘束を減らす取り組みを行う病院も存在します。東京都調布市の民間精神科病院、東京さつきホスピタルは、病棟リニューアルを機に診療の質を大幅に改善しました。理事長の山田多佳子さんは、患者の回復を大切にする方針を徹底し、その結果、認知症患者への身体拘束がほとんどなくなりました。
同病院では、看護師が丁寧に患者と関わり、毎日長時間の作業療法を行っています。これにより、患者の状態が安定し、身体拘束を必要としなくなりました。また、ハープ演奏などの音楽療法も取り入れ、患者の心を癒しています。こうした努力により、身体拘束を減らす病院が増えているのです。
しかし、精神科病院や関連組織には、医師の裁量を広げて身体拘束を容易に行える環境を維持したいと考えるところもあります。厚労省やその周辺では、拘束基準の改変を試みる動きがあり、市民運動によってそれが阻止されるなどのせめぎ合いが続いています。
杏林大学教授の長谷川利夫さんは、「告示改悪を現状では止めていますが、予断を許さない。認知症の人やその家族も巻き込まれるこの問題は多くの国民に関係するので、広く世論を喚起したい」と話しています。
この問題は、認知症患者やその家族にとって非常に重要です。身体拘束の実態やその影響を理解し、改善に向けた取り組みを支持することが求められます。
介護職員の現場の実態とは?人手不足とセクハラ問題に迫る
介護職員の苦悩はなかなか表に出ることがありません。今回は現場で働く3人の体験を通じて、その実態に迫ります。
Aさん(60代女性)は訪問ヘルパーとして長年働いていますが、最近は人手不足が深刻で、新規の依頼を断ることが増えてきました。若い人が入ってこないため、ヘルパーの平均年齢が上がり、シフトの希望も厳しくなっているそうです。
Bさん(50代男性)は2022年まで10年間グループホームで働いていました。常に人手不足で、国の基準は守れていても業務が回らない状況が続いていたそうです。会社からは「もっと大変な施設もある」と説得され、補充もされないまま仕事を続けていました。
Cさん(30代女性)は特別養護老人ホームで勤務しており、ここでも人手不足が深刻です。新卒採用も減り、次年度の採用予定はわずか1人。派遣社員の質も低く、責任感が薄い人が多いのが現状です。頼りになるのは技能実習生や外国人スタッフで、特にミャンマー人の同僚は右腕的存在だそうです。
介護現場ではICTの導入も進んでいます。Aさんは業務効率化のためのシステムに疑問を感じており、入力作業が増え負担が大きいと感じています。一方、Cさんの特養では見守りセンサーの導入で夜勤が楽になり、ICTの有効性を実感しています。しかし、導入に反対する職員も多く、議論が続いているそうです。
暴力やセクハラも介護現場の課題です。Bさんは認知症の利用者に前歯を折られた経験があり、Cさんも湿布の位置がずれてベルトで叩かれたことがあります。利用者からの暴力に対して、会社が何も対応してくれないことに不満を感じています。特に男性利用者からのパワハラやセクハラが多く、介護職員が見下されることもあります。
訪問介護の現場でもセクハラは日常茶飯事です。Aさんはある高齢男性に抱きつかれた経験があり、同僚は介護中に息子に股間を触られることがありました。家族からのカスタマーハラスメントも多く、監視カメラを設置されることも珍しくありません。介護中の動作を遠隔で監視され、指示を受けることもあるそうです。
介護職員は低賃金で働きながらも、メンタル面での負担が大きいことをもっと知ってほしいとBさんは語ります。夢や希望を持ってこの仕事に就いても、現実は厳しいものです。理不尽なことに耐えるだけでなく、利用者からのハラスメントに対する対策が求められています。
介護の仕事は、人の自立を支え、老いや衰えに寄り添うことです。しかし、理不尽なことを耐えるだけではなく、利用者からのパワハラやセクハラは許されるべきではありません。介護職員の声をしっかりと聞き、適切な対応を求めることが重要です。
障害者の就労制限を考える:現実と課題を探る
ある広告代理店の採用担当者から投げかけられた言葉を、ある方は忘れられないと語ります。大学時代に参加した障害者向けの合同就職説明会での出来事です。待っていたのは、実質的な「門前払い」だったというのです。
彼女は幼少期に脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断されました。全身の筋力が徐々に衰える進行性の難病で、上半身は動かせるが、下半身の自由が利かず、移動は電動車いすです。重度訪問介護(重訪)で、ヘルパーから食事や入浴、排泄などの介助を受けて暮らしています。
重訪は介護保険と混同されがちですが、全国で約1万2000人が利用する障害福祉サービスの1つです。ただし、就労中の支給は認められておらず、介護費用は個人か企業が負担しなければなりません。彼女はこの制度のため、就職活動での困難に直面することになりました。
彼女は神奈川の大手IT企業でインターン経験を積み、障害者雇用の可能性を探りましたが、介助の必要性を告げると選考から除外されることがほとんどでした。彼女は周囲からの無理解や制度の壁に苦しんだが、結局は就職活動を断念し、現在は趣味のアクセサリー作りでプロの作家を目指しています。
なぜ就労中の重訪が禁止されているのか。厚労省が定めた告示がその根拠です。しかし、この告示は憲法や障害者基本法に反するとの批判もあり、国連からも改善勧告が出されています。それでも、国は就労支援特別事業を進めていますが、制度の複雑さや自治体の対応の遅れが課題となっています。
この問題に対し、政治家は「人権侵害だ。社会参加の機会を奪い、孤立を深めている」と指摘し、告示の見直しを求めています。
介護業界の闇を暴く:ケアプラン圧力と公正なケアの間で
介護事業者の圧力が、公正なケアプランの策定を妨げていることが深刻な問題です。
あるケアマネが怒りを込めて話すところによれば、「介護事業者はケアマネを顧客獲得の手段としか見ていない」。彼らは自社の介護サービスをケアプランに過度に盛り込むようケアマネに圧力をかけます。
ケアマネの主な役割は、利用者のニーズに合わせて適切なケアプランを作成することです。しかし、現実には、このプランに事業者のサービスが過剰に含まれていることがよくあります。
多くのケアマネは居宅介護支援事業所に所属していますが、そのほとんどが自社の介護サービスを提供する「併設型」です。このような事業所では、介護報酬を増やすために、ケアマネに自社のサービスを含めたプランを作成するよう圧力をかけることがあります。これが「囲い込み」と呼ばれる問題です。
調査によると、ケアマネの約25%が事業所からの圧力を受け、40.2%がそのような圧力を目撃しています。ケアマネは職を失うことを恐れ、圧力に屈しながらプランを作成することが難しいと感じています。
過剰な介護サービスはムダな介護給付金を引き起こし、公正なケアプランの作成を阻害します。また、利用者やその家族からの圧力も公正なケアプランを妨げる要因の一つです。
この問題に対処するためには、介護業界の市場化を抑制し、ケアマネの独立性を守る必要があります。新規参入の是非を再考することが求められています。
投資ファンド主導の介護業界改革:効率化とイノベーションが拓く未来
介護業界は労働集約型で合理化が難しいとされてきましたが、最近ではICTの導入による構造改革が進んでいます。その中心には投資ファンドがいます。投資ファンドによるイグジット(買収後の売却)により、介護業界の再編が進んでいます。
代表的な例として、ニチイホールディングスが2020年にMBOで非上場化し、ベインキャピタルの子会社となりました。その後、ベインの下での3年間の構造改革により、営業利益が大幅に拡大しました。
改革の焦点は、スリム化と現場力の強化にあります。創業社長の肝煎りだった英会話事業やグルーミング事業、中国での介護事業など不採算の部門を売却し、資金を介護のコア事業に振り向けました。
さらに、採用業務の一本化や業務効率化のためのアプリ開発など、現場力の向上にも注力しています。そして、ベインから日本生命保険に譲渡されることが決まり、業界に新たな変化がもたらされています。
このような動きは他にもあります。例えば、アジア系ファンドのMBKパートナーズがデイサービスや介護付き有料老人ホームを子会社化するなど、大規模化による業務効率化が進んでいます。
介護業界の変革はこれからも進むでしょう。経営改革と労働環境の改善が両立するように、さまざまな取り組みが行われています。
介護業界の未来を拓く:政府の規制緩和とICT革新の可能性
政府が規制緩和の根拠とした実験結果は本当に正しいのでしょうか。
介護業界の大手が注目しているのは、人員配置基準の緩和です。これまでの基準では、介護施設には3人の入居者に対して最低1人の介護職員を配置する必要がありましたが、2024年度からは、一定の条件を満たした施設では3.33対1に緩和されます。この政策は経営者にとって人件費削減の好機となります。
この緩和について政府が判断材料としたのは、SOMPOケアが2023年に行った実証実験です。この実験では、入浴支援装置や情報連携ツールなどのICTを導入し、業務時間の比較を行いました。その結果、ICT導入後の業務時間は導入前の76%に減少し、3.27対1で対応できると結論づけられました。
しかし、この実験の成功については疑問の声もあります。なぜなら、この短縮効果のうち、ICT導入によるものはわずか6%に過ぎず、残りの17%は「Qライン」と呼ばれる新たな業務分担によるものだからです。
Qラインとは、介護施設内で間接業務だけを専門に行う職員のことを指します。この実験では、間接業務を担当する職員を「介護職員」としてカウントしないことで、見かけ上の人員配置を減らす効果があったのです。しかし、この変更によって実際の人件費削減や生産性向上に直結するかは疑問です。
こうした議論の中、SOMPOケアが目指す4.1対1の人員配置は達成されず、結局は緩和されることとなりました。しかし、SOMPOケアの取り組みは間違ってはいません。ICTを活用して業務効率を高め、職員の負担を減らしながら介護の質を向上させる試みは価値があります。ただし、ICT導入による省人化は即効性があるわけではなく、地道な介護DXの推進が必要です。急いで結論を出すよりも、慎重に進めるべきです。
ホスピス事業の成長と課題
社会に定着しつつあるホスピス事業。その背景には、終末期の看取りを行うこの事業が高収益をもたらしていることがあります。アンビスホールディングスをはじめとする企業がこの分野を牽引しています。彼らの有料老人ホームでは、医療ケアが必要な高度なケアを必要とする人々が受け入れられています。このホスピス事業は、介護保険報酬に加え、医療保険の診療報酬も得られるため、高収益をもたらしています。そのため、この分野に参入する企業も増えています。
一方で、財務省からは「儲けすぎだ」との指摘も出ています。財務省はホスピス専門事業者の高い経常利益率を問題視しており、新たな報酬改定も行われるかもしれません。この改定では、頻繁な訪問に対して保険単位数を減算するというもので、今後は訪問回数に制限が設けられる可能性もあります。
ホスピス事業は、多様なニーズと環境変化に対応しながら、今後もさらなる成長と課題解決を模索していく必要があります。
介護人材市場の混迷:悪質会社の台頭と政府の対策
介護人材市場が拡大する中、悪質な紹介会社の存在も顕在化しています。例えば、介護事業所が無料掲載を依頼したところ、後から突然掲載料を請求されたり、不当な催促を受けたりする事例が報告されています。このような会社は、契約時に規約を提示しておきながら、実際には連絡を取らずに請求を行うなど、不透明で悪質な手法を用いています。
また、紹介手数料も高騰しており、これに苦しむ介護事業所が増えています。厚生労働省の報告によると、介護職の紹介手数料は急速に増加し、市場規模も急拡大しています。しかし、この市場には悪質な会社も潜んでおり、紹介された職員の大部分が短期間で退職しているという問題も浮上しています。
政府はこのような悪質な紹介会社を排除するため、適正な有料職業紹介事業者の認定を行っています。介護分野でも認定された企業が存在しますが、その数はまだ少ないです。今年度からは、介護職が6カ月以内に離職した場合の手数料返還など、より厳しい基準が導入されました。
介護保険料が紹介会社に流れる構造は問題視されています。国民の介護ニーズに応えるためにも、この問題を解決するための改革が求められています。
介護保険申請の注意点と準備:家族が落とし穴を回避する方法
介護保険サービスの必要性が出てきた場合、まず要介護認定の申請が必要です。しかし、申請には落とし穴が潜んでいます。親を支える家族は、事前に準備を整えて不測の事態を避けることが大切です。
まず、介護の必要性が近い将来にあることがわかったら、準備を始めましょう。例えば、通院が増えた場合など、そのタイミングで介護に向けた準備を進めることがポイントです。具体的な準備の仕方としては、親がどのようなサービスを利用したいかを聞き取ることが挙げられます。
また、地域の介護サービスについてリサーチすることも重要です。地域のサービスが親の希望に合うかどうか、そして利用可能な時間帯について事前に調べておくことが大切です。
さらに、家族間で親の健康状態などを共有しておくことも重要です。家族間でのコミュニケーションを密にし、介護の方針について意見を共有することで、将来的な介護サービスの必要性を説得力を持って伝えることができます。
最後に、いざという時に家族がどのようなサポートを必要とするかを伝えておくことも大切です。客観的な事実を基にした話し合いを通じて、家族全員が介護に向けて協力しやすくなります。
要介護認定の申請には主治医の意見書が重要です。そのため、適切な主治医を選ぶことが大切です。また、信頼できるケアマネージャーを選ぶことも重要です。介護の質を左右する要因となるため、慎重に選ぶようにしましょう。
介護施設選びのミスマッチ回避法:月額費用とサービス内容のバランスを見極めよう
高齢者施設選びの重要性を再考しよう。
都内在住のAさん(56)は、北関東に住む88歳の父を心配しています。父は要介護3で、一人での生活が難しくなっています。そこで、施設入居を検討し始めました。
人生の終盤に向けて、施設選びは慎重に行いたいものです。畠中雅子さんは、施設選びの際には月額費用の他に、介護サービスの内容や退所の可能性なども考慮すべきだとアドバイスしています。
特に月額費用は重要です。特養などの施設では、自己負担が高額になることもあります。しかし、畠中さんは、近隣エリアや施設のタイプによっては、費用が抑えられる場合もあると指摘しています。
介護施設の選定には、医療との連携や食事の質なども重要です。また、B子さんの事例からも分かるように、サービス内容や退所に関する情報を事前に確認することが必要です。
長生きを考えると、施設選びは慎重に行いたいものです。太田差惠子さんは、資産の適切な活用や冷静な判断が重要だと指摘しています。
最後に、無理せず第三者の意見を取り入れながら施設を決定することが重要です。親子で冷静に考え、地域の支援センターなども活用しましょう。
まとめ
介護の現状と課題について検討してきましたが、高齢化社会における訪問介護の不足や介護保険制度の課題など、多くの問題が浮き彫りになりました。厚生労働省や専門家が改善のための道筋を語る中で、特別養護老人ホームの職員不足や介護報酬の引き下げが訪問介護に及ぼす影響など、介護業界全体に影響を及ぼしています。介護職の生活苦や給与引き上げの必要性、そして施設での虐待問題など、深刻な課題が明らかになっています。
認知症患者の人権保護や介護職員の実態についても考察しました。介護業界の闇やセクハラ問題、そして投資ファンド主導の改革など、様々な視点から問題点を浮き彫りにしました。これらの課題に対処するためには、政府の規制緩和やICTの活用、そしてホスピス事業の成長が重要です。
また、介護保険申請や介護人材市場の混迷など、家族が注意すべきポイントも示しました。悪質な会社の台頭に対する政府の対策や、家族が落とし穴を回避するための準備も重要です。介護業界の未来を拓くためには、公正なケアと労働環境の整備が欠かせません。これからも、介護業界の課題を探求し、解決策を模索していくことが必要です。
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