化学メーカー大手のカネカは、2019年5月31日、2022年3月期までの3年間で総額2000億円もの設備投資を行うとする中期経営計画を公表いたしました。これは直近の3年間と比較して、実に6割増しという積極的な投資です。この巨額の資金は、地球環境の課題解決に貢献すると期待される生分解性プラスチックや、医療の発展に不可欠なバイオ医薬品といった成長分野の生産能力を大幅に引き上げるために投じられる見通しです。
カネカはこの挑戦的な計画を通じて、売上高を2019年3月期から2割増の7500億円へ、そして営業利益を同67%増の600億円へと大きく引き上げる方針を打ち出しています。同日、大阪市内で開催された説明会では、田中稔副社長が、成長の柱としてM&A(合併・買収)を海外で積極的に展開し、最先端の技術を取り込む考えを表明されました。M&Aによって獲得した技術力を活用することで、発売からおよそ5年程度の新製品の売上高を、現在の水準から7割増の2700億円まで伸長させるという、非常に野心的な目標を掲げていらっしゃいます。
特に注目すべきは、地球規模の課題となっているプラスチック問題への取り組みです。2019年6月には大阪で**G20首脳会合(主要20カ国・地域首脳会議)が開かれ、海洋プラスチックごみ問題が主要な議題の一つとして議論される予定です。こうした時勢を受け、カネカが開発・生産拡大を進めているのが、「生分解性プラスチック」**なのです。
「生分解性プラスチック」とは、使用後に土の中や海の中で、微生物の働きによって水や二酸化炭素といった自然界に存在する物質に分解される性質を持つプラスチックのことです。通常のプラスチックと異なり、環境中に残存しにくいという大きな特長を持っており、海洋汚染の解決策の一つとして世界的に関心が高まっています。この分野でカネカはすでに高い技術力を有しており、ストローだけでなく、繊維やペットボトルといった幅広い用途で使えるよう、研究開発に邁進していくと武岡慶樹常務執行役員は説明されました。
このカネカの発表と、プラスチック問題に対する積極的な姿勢は、SNSでも大きな反響を呼んでいます。「環境問題への企業の取り組みは素晴らしい」「G20を控えて、日本の化学メーカーが世界をリードしてほしい」といった、期待や応援のコメントが多く見受けられます。私が編集者として感じているのは、カネカのような化学のリーディングカンパニーが、利益追求だけでなく、持続可能な社会の実現にコミットする姿勢こそ、未来の企業のあるべき姿だということです。2000億円という大規模な投資が、環境問題解決への具体的な一歩となることを心から期待したいでしょう。