2019年5月31日に政府の中央防災会議で、南海トラフ地震の「防災対策推進基本計画」が修正されました。この修正を受け、地震による甚大な被害が予想される四国4県では、防災・減災対策をさらに加速させています。政府の新たな想定では、津波に対する意識の向上などにより、2013年の試算と比べて想定される死者数は約3割減少し、23万1千人となりました。しかし、この数字はあくまで「想定」であり、依然として非常に多くの人命が失われる事態が懸念されることから、自治体は強い危機感を持って対策に取り組んでいるのです。
「気を緩めることなくさらなる対策を進めていく」と、高知県南海トラフ地震対策課の担当者も改めて決意を述べています。高知県は、津波による浸水被害が特に懸念される地域であり、2019年度の南海トラフ地震対策費として、前年度比で13%増となる343億円を計上し、抜本的な対策を計画しています。具体的には、既存の住宅の耐震改修を支援し、家屋の倒壊による被害を防ぐ取り組みや、津波対策を強化している状況です。さらに、災害発生直後から迅速な医療を提供するための医療提供体制の充実にも力を入れており、事前の備えを急ピッチで進めているのです。
また、愛媛県では、災害発生後の復旧・復興を円滑に進めるための「事前復興計画」の策定に、官学連携で精力的に取り組んでいます。事前復興計画とは、災害が起こる前に復興の基本的な目標や方針、まちづくりの方向性をあらかじめ決めておく計画のことで、迅速な復興の「道しるべ」となるものです。愛媛県では、宇和海に面する宇和島、八幡浜、西予、伊方、愛南の5つの市町と愛媛大学が連携し、2018年度から3年間の予定で策定を進めています。
2019年度には、モデル地区を選定して、住民が実際にどのような避難行動をとるかを調査したり、住民協働型のワークショップを実施したりしています。住民の皆さんの意見や行動パターンを計画に反映させることで、より実効性の高い防災や減災につなげたいという狙いがあるのでしょう。このような取り組みは、被害を最小限に抑える「自助」と、行政による「公助」を結びつける非常に重要な一歩だと私は考えます。
この一連の政府および各県の動きについて、SNS上では「想定死者数が減ったとはいえ、決して安心できない」「命を守るための避難経路の確認や家族との連絡方法の共有を今すぐ見直そう」といった、改めて防災意識を高める声が多く見られました。また、「事前復興計画の策定は全国でも進めるべきだ」「高知の医療体制の充実への取り組みは心強い」など、各県の具体的な対策を評価する意見も投稿されています。
南海トラフ地震は、いつ発生してもおかしくない切迫した状況にあると言われています。想定の数字に一喜一憂するのではなく、政府が目標とする「津波による死者ゼロ」を目指すべく、行政による対策の強化はもちろん、私たち一人ひとりが「自分の命は自分で守る」という意識を常に持ち、地域の防災活動に参加し、家庭内での備えを万全にすることが何よりも大切だと、私は強く訴えたいです。