2019年6月1日、新潟労働局が5月31日に発表した2019年4月における新潟県内の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同じ水準の1.65倍で推移しています。これは、依然として多くの分野で働き手を求める企業が多く、求職者1人に対し1.65件の求人があるという、依然として「人手不足」が続く状況を示していると言えるでしょう。労働局は、この雇用情勢を「改善が進んでいる」として、これまでの判断を維持しています。
しかしながら、この数値の裏側には、企業の採用意欲にわずかな陰りが見え始めているようにも感じられます。2019年4月の新規求人数(原数値)は1万9555人となり、これは前年の同じ月と比べて2.2%の減少を記録しました。新規求人数が前年を下回るのは、これで2カ月連続です。特に、日本の経済を支える主要産業の一つである製造業では、なんと16.1%もの大幅な減少となり、3カ月連続での前年割れという厳しい状況になっています。食料品や金属製品といった主要な6業種すべてで求人が減っており、労働局は「景気の先行きに対する不透明感が求人数に影響を与えている」と分析しています。
また、卸売・小売業でも2.6%減と、製造業と同様に2カ月連続で前年を下回る結果となりました。具体的には、長岡市にあるスーパーが採用人数を減らしたことに加え、新潟市内のコンビニエンスストアで前年にはあった複数の職種での求人が見送られたことなどが影響しています。さらに、サービス業でも15.1%減と大きく落ち込み、こちらも2カ月連続で前年実績を下回っています。これは、新潟市内の人材派遣会社が、提供する職種や求人数自体を前年よりも絞り込んだことが要因とされており、企業が人材派遣サービスなどを利用して積極的に人手を確保しようとする動きに、わずかながらブレーキがかかっている様子がうかがえます。
景気動向と今後の懸念事項
今回の新規求人数の減少は、現在のところ雇用情勢全体の判断を変えるほどではないものの、製造業やサービス業といった幅広い分野での採用意欲の低下は、注視すべき動きです。企業の求人数が減る背景には、消費税増税(2019年10月実施予定)を前にした駆け込み需要とその後の反動に対する懸念や、国際的な経済摩擦、特に米中貿易戦争といった、先行きを不透明にする要因が複雑に絡み合っているのでしょう。労働局も、これらの経済動向が求人へ与える影響について、注意深く見守っていく姿勢を示しています。
この状況に対し、SNS上でも「人手不足なのに求人数が減るのは、企業の業績が怪しいということか」「製造業の求人減は心配だ。増税前に景気の腰折れが起こらなければ良いが」といった懸念の声が多く上がっているのを目にしました。有効求人倍率が高い水準を保っているうちに、求職者の方々にとっては希望の職を見つけるチャンスであることに変わりはありませんが、企業側からすると、今後の景気変動に備えて採用計画を慎重に見直している様子がうかがえます。この不安定な状況下で、新潟県内企業の景況感がどう変化していくのか、そして人手不足と求人減という一見矛盾するような状況が、今後どのように推移していくのか、引き続き注意深く追っていく必要があるでしょう。