2019年4月の神奈川県における有効求人倍率(季節調整値)が発表されました。これは、仕事を探している人(求職者)1人に対して、企業からどれだけの求人があるかを示す指標で、雇用市場の健全性を示す重要なバロメーターとなります。神奈川労働局が2019年5月31日に発表したデータによると、4月の有効求人倍率は1.20倍で、前月の3月と比較して0.02ポイントのわずかな低下となりました。これは、年度が替わり企業の採用活動が一巡して有効求人数、つまり実際に受け付けられている求人の総数が減少したことが主な要因でしょう。
神奈川労働局は、この状況を受けても、県の雇用情勢については「引き続き改善している」という認識を維持しています。実際、2019年の有効求人倍率は2月を除いて1.2倍台という高水準を保ち続けています。1.20倍というのは、求職者10人に対して求人が12件ある状態を指しますから、依然として仕事を見つけやすい売り手市場が続いていると判断できます。特に私の見解では、この安定した1.2倍台の推移は、日本経済の緩やかな回復基調をしっかりと反映しており、県内企業の採用意欲が底堅いことを示していると考えられます。
このデータの中で、特に注目すべきは主要産業ごとの新規求人数の増減動向です。まず、宿泊・飲食サービス業では、前年の同じ月と比べて驚きの42.4%減という大幅な落ち込みを見せました。この急激な減少の背景には、全国展開する大手居酒屋チェーンが事業再編を進め、それに伴い求人を一時的に停止した影響が大きいとされています。一方、対照的な動きを見せたのが建設業です。こちらの新規求人数は前年同月比で10.8%の増加となりました。これは、公共事業の発注が増加していることが大きな要因と分析されています。
建設業の好調の背景には、2020年に開催が迫る東京オリンピック・パラリンピックに関連した各種の建設事業が、開催に向けて依然として活発に続いていることがあります。大規模なインフラ整備や会場建設は、建設需要を力強く牽引している状況です。この建設ラッシュは、開催が近づくにつれてピークを迎えるでしょうから、関連する技術者や労働者の人材不足は、今後もより深刻化していく可能性が高いと私はみています。この業種の求人増加は、地域経済全体への波及効果も期待できる、非常に明るい材料と言えるでしょう。
また、働く場所、すなわち就業地別で見た有効求人倍率にも若干の変化が見られます。神奈川県内で就業する仕事に限定した場合の有効求人倍率は1.41倍で、これもまた3月からは0.01ポイントの小幅な低下に留まっています。この1.41倍という数値は、県内の企業が県民だけでなく、近隣の都県からも積極的に人材を求めていることを示しており、地域社会の活発な経済活動を裏付けるものです。多くの求職者にとって、この活況は非常に心強い状況ではないでしょうか。
今回の発表に対し、SNS上では「業種によってこんなにも差があるのか!」といった驚きの声や、「建設業の求人が増えているのはオリンピック効果だね」といった納得の意見が見受けられます。特に飲食業界の求人急減については、「人手不足倒産」が話題になる中で、一時的な求人停止とはいえ大きな関心を集めているようです。全体としては、神奈川県の雇用市場は強さを保ちつつも、業界構造の変化を背景にした新たな課題も同時に浮かび上がっている、非常に興味深い状況にあると言えるでしょう。