NFT市場の価格乱高下が続く中、暗号資産市場の不安定さがウェブ3.0の未来に影響を及ぼしています。特に、中央アフリカがエルサルバドルに続いてビットコインを法定通貨に採用した歴史的な決断は、仮想通貨の世界的な広がりを示す一方で、そのリスクも浮き彫りにしました。
また、タイの電力大手ガルフが仮想通貨取引所バイナンスと提携し、新たなデジタルインフラを構築する動きも注目されています。シリコンバレーでは、若者たちが主導するスタートアップが次々と成功を収めており、その秘訣が問われる中、ペイパルコインやジパングコインなどのデジタル通貨がもたらす新たな金融時代への期待も高まっています。
さらに、ティム・オライリー氏が警告するネットの分断とウェブ3.0の限界、そして横浜DeNAベイスターズのNFT機能強化による新しいデジタルトレーディングカード市場への参入など、デジタル経済の進化はますます加速しています。エイベックスがメタバース市場に参入し、ザ・サンドボックスでリーダーシップを発揮しようとする動きも見逃せません。こうした変化の波が、今後の経済と社会にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
NFT市場の価格乱高下:暗号資産の危機とウェブ3.0への影響
NFT(非代替性トークン)の価格が急激に上下動しており、投資家や市場に大きな影響を与えています。ブロックチェーン技術を基盤とするデジタル資産であるNFTは、唯一無二の価値を持つとされていますが、最近の動向を見るとその価値が急落している現状があります。例えば、2021年に約290万ドルで購入されたツイッター創業者ジャック・ドーシー氏の最初のツイートを表すNFTが、わずか1年で約3万ドルにまで値下がりしたことは象徴的です。
このような価格下落の背景には、暗号資産市場全体の軟調な動きがあります。特にアメリカの利上げやロシアによるウクライナ侵攻などの地政学的リスクが高まり、リスク資産が売られる中、価格変動の大きい暗号資産が影響を受けやすい状況が続いています。また、NFT市場を揺るがす詐欺事件や不祥事も続発しています。例えば、米プロバスケットボール選手がNFT販売直後にプロジェクトを解散したり、NFT売買サイトのオープンシーがハッキング被害に遭うなど、信頼性が問われる事態も発生しています。
こうした状況下でも、NFT市場は依然として大きな可能性を秘めています。特にブランドやキャラクターなどの無形資産の活用においては、ナイキやグッチなどの大手企業が積極的に参入しています。また、日本のアニメ文化を活かした取り組みも期待されています。NFT市場のバブルが沈静化する中で、ウェブ3.0の進展には、短期的な利益に惑わされず、技術の本質的な活用方法を模索することが求められるでしょう。
中央アフリカがビットコインを法定通貨に採用:エルサルバドルに続く歴史的決断
中央アフリカ共和国は、ビットコインを法定通貨として採用する法案を全会一致で可決し、世界で2カ国目となりました。ビットコインを法定通貨とする動きは、中米エルサルバドルに続くものです。金やダイヤモンドなどの資源が豊富でありながら、長引く紛争で経済が停滞している中央アフリカ共和国にとって、この決定は経済状況を改善する希望とされています。大統領府の高官は、ビットコインの導入によって国民の生活が向上することを期待しています。
タイ電力大手ガルフ、バイナンスと合弁で仮想通貨市場に進出!新たなデジタルインフラのリーダーを目指す
タイの民間電力大手ガルフ・エナジー・デベロップメントは、暗号資産(仮想通貨)交換所の世界的リーダーであるバイナンスと合弁会社を設立することで合意しました。これにより、ガルフはタイ国内で仮想通貨交換事業への参入を目指しています。ガルフはこれまでエネルギー事業を中心に活動してきましたが、近年はITや金融など、さまざまな分野に事業を多角化しています。
合弁会社の設立後、両社はタイ当局に対して仮想通貨交換事業の免許を申請する予定です。また、ガルフはバイナンスの米国法人にも約26億円を投資しており、この法人は米国での新規株式公開(IPO)を目指しています。
さらに、ガルフは2021年にタイ最大の携帯通信事業者であるアドバンスト・インフォ・サービス(AIS)の筆頭株主となり、通信事業にも本格的に参入しています。バイナンスとの提携に関して、ガルフは「デジタルインフラのリーダーとなる目標に沿った動き」との声明を発表しました。
ただし、バイナンスは「無国籍業者」として知られており、特定の本社所在地を持たないため、英国やシンガポールではサービスの停止を命じられるなど、規制当局との関係が課題となっています。そのため、タイの当局が今回の免許申請を許可するかどうかは依然として不透明です。
シリコンバレーで若者が主導するスタートアップ成功の秘訣とは?
2022年のプロゴルフ・マスターズで優勝を果たしたのは、ツアー初勝利からわずか42日でPGAランキング1位となった25歳の若者でした。この現象はシリコンバレーのスタートアップ業界でも同様に見られます。成功を収める起業家の年齢がますます若くなっているのです。
例えば、NFT(非代替性トークン)を扱う暗号資産取引所「オープンシー」は創業からわずか5年で、企業価値が約1兆4000億円に達しました。創業者であるアレックス・アタラー氏とデビン・フィンザー氏は共に30歳前後で、すでに個人資産額は2000億円を超えています。この急速な成功は、技術革新が新たな産業を生み出し、多くの投資が集まる時代の象徴と言えるでしょう。
NFTをはじめとするブロックチェーン技術、人工知能(AI)、6G通信、ロボティクス、量子コンピューター、デジタル医療・創薬といった先端技術が、今後の産業創造の中心となることは間違いありません。そして、その技術を牽引するのは若者たちです。かつては経験が重視されていましたが、今では新しいアイデアと挑戦心が成功の鍵を握る時代になっています。
シリコンバレーでは、アタラー氏やフィンザー氏ほどの大成功を収めていなくても、若くして十分な資産を築き、引退も視野に入れる若者が増えています。産業の転換期における価値創造の波が、若い世代に富をもたらしているのです。私が知る若手投資家も、わずか24歳で大学発スタートアップに投資するVC(ベンチャーキャピタル)を立ち上げました。大学在学中からアクセラレータープログラムを運営し、卒業後もその活動を続けながら、小規模な投資を積み重ねてVC設立に至ったのです。
2022年現在、シリコンバレーには1000社を超える新興VCが存在し、若者たちは新たな分野に次々と挑戦し、瞬く間に成功を収めて富を築いています。その富は再投資され、さらなる挑戦を支える資金となります。シリコンバレーのエコシステムは、このように人と資金が高速で循環し、ダイナミックに成長する仕組みとなっています。こうした新産業が巨大な雇用を生み出し、さらに多くの人々を巻き込む原動力となっていくでしょう。
一方で、日本では安定した雇用に注力し、既存企業の新卒採用が依然として雇用の中心に位置しています。これでは新産業が生まれる余地がなく、経済は縮小均衡に陥るばかりです。このままでは日本に未来はありません。今こそ、若者に事業機会と富を開放し、新しい産業の創造を彼らに委ねるべきです。
孔子の言葉に「止まらない限り、ゆっくりでも進めばよい」という教えがありますが、新産業創出においてはこの教えは当てはまりません。若いリーダーたちは、超高速で前進する必要があります。大人たちの役割は、その障害を取り除き、彼らの前進を全力で支援することです。
タイの電力大手ガルフ、仮想通貨交換所バイナンスと提携!デジタルインフラへの新展開
タイの民間電力大手ガルフ・エナジー・デベロップメントは、暗号資産交換所の世界的大手であるバイナンスと共同で、新しい合弁会社を設立することに合意しました。これにより、ガルフはタイ国内で仮想通貨交換事業への参入を目指しています。エネルギー事業での成功に加え、ガルフは情報技術や金融の分野へも事業を広げる戦略を取っています。
両社が合弁会社を設立した後、タイの規制当局に対して仮想通貨交換事業の免許申請を行う予定です。また、ガルフはバイナンスの米国法人にも約26億円の出資を行い、この法人は米国での新規株式公開(IPO)を目指しています。
ガルフは2021年にタイ最大手の携帯通信会社であるアドバンスト・インフォ・サービス(AIS)の筆頭株主となるために株式公開買付けを実施し、通信事業にも本格的に進出しました。バイナンスとの提携は、同社の「デジタルインフラのリーダーになる」という目標に一致するものです。
一方で、バイナンスは世界最大の仮想通貨交換所として知られていますが、特定の本社所在地を持たない「無国籍業者」としても注目されています。そのため、英国やシンガポールではサービス停止を命じられるなど、タイの当局が免許申請を承認するかどうかは不透明です。
また、タイ証券取引委員会は、金融の安定に悪影響を与える恐れがあるとして、2022年4月から仮想通貨を商品やサービスの決済に使用することを禁止しました。ただし、投資目的での仮想通貨の売買は引き続き許可されています。
タイでは、金融大手サイアム商業銀行が2021年11月に同国最大の仮想通貨交換所であるビットカブを買収するなど、大手企業の仮想通貨市場への参入が相次いでいます。
デジタル通貨がもたらす新時代:ペイパルコインとジパングコインの可能性
企業が独自に電子通貨を発行する動きが加速しています。米国では電子決済大手のペイパル・ホールディングスが独自通貨「ペイパルコイン」の発行を検討中で、日本でも三井物産が独自通貨を発行する計画を進めています。これらのデジタル通貨は、即時決済が可能で送金コストの削減が期待でき、企業の資金効率を大きく改善する可能性があります。
ペイパルが発行を準備している「ペイパルコイン」は、米ドルを裏付けにすることで価格の安定性を確保し、日常の決済に利用しやすい設計となっています。同様に、香港のテザー社が発行する「テザー」や、米サークル社の「USDコイン」も、既に多くの暗号資産交換業者で利用されています。
これまで、銀行が法定通貨を裏付けにした独自通貨を発行する事例はありましたが、最近の動向としては、銀行以外の企業が独自通貨を発行する動きが目立っています。その背景には、国際送金コストが高止まりしていることへの反発があります。銀行が依存するSWIFTシステムでは、送金手数料が依然として高く、これに対する不満が企業に独自通貨発行を促しているのです。
さらに、デジタル通貨の普及は、従来の紙ベースの取引をデジタル化する動きと連動しています。貿易金融では、これまで信用状やインボイスなどの紙書類が必要でしたが、デジタル通貨を利用することで書類管理のコストが削減され、決済も即時に行えるようになります。東京海上日動火災保険では、デジタル通貨を使った貿易決済で従来の費用を半分以下に抑えることができるとされています。
このように、お金のデジタル化が進む背景には、ブロックチェーン技術の進化があります。スマートコントラクト機能が商取引の信頼性を高め、即時かつ自動的な契約執行を可能にしているのです。三井物産が発行する「ジパングコイン」も、金を裏付けにしながら個人の小口決済での利用を目指しています。
一方で、企業による独自通貨発行に対しては依然として警戒感もあります。米メタ(旧フェイスブック)が2019年に掲げた「リブラ」構想が各国の中央銀行や金融当局の反発で頓挫したことは記憶に新しいですが、今回の企業の動きは規制当局と連携し、法定通貨を補完する位置付けとして進められています。
世界の中央銀行もデジタル通貨の開発に取り組んでいますが、その影響を完全には予測できず、ペースは遅れがちです。日本や欧州では2026年以降の発行が見込まれ、米国でもバイデン大統領がデジタルドルの開発加速を指示した段階です。先行する民間企業による独自通貨が、こうしたデジタル通貨の普及に先駆けて、地ならし役を果たすでしょう。
ティム・オライリー氏が警告するネット分断の現実とウェブ3.0の限界
インターネットの進化を「ウェブ2.0」として定義し、その発展を先導したティム・オライリー氏が、語りました。オライリー氏は、ロシアのSNS遮断などにより、ネットの分断が現実のものとなってきたと指摘しています。特にロシアはツイッターやフェイスブックなどのプラットフォームを次々と遮断し、自国のインターネットを世界から切り離す動きも見せています。このように、本来ボーダーレスであるべきネットが、東西冷戦のような分断を迎えつつあるのです。
また、オライリー氏は「ウェブ3.0」に対して懐疑的な見解を示しました。ウェブ3.0はブロックチェーン技術を基盤にし、巨大IT企業のデータ独占から脱却しようとする試みですが、オライリー氏はこの新たなネットの形が「ドットコムバブル」に似ていると指摘します。彼によれば、ウェブ3.0は技術革命というよりも、マーケティング革命に過ぎないというのです。その理由として、暗号資産の急激な価格高騰とそれに伴う投資の失敗、そして実際に機能しない技術に注目が集まっている点を挙げています。
さらに、欧州の巨大IT企業への規制強化についても言及し、ブロックチェーン技術がこれに対抗する手段として注目されている一方で、オライリー氏は「大企業の力を打ち砕くのはウェブ3.0の技術ではなく、個人が使えるAIの重要性」と述べました。彼は、例えばカナダのショッピファイがAIを活用してアマゾンに代わる新たなシステムを構築していることを挙げ、こうした動きが個人店主にとっての有力な代替手段となる可能性があると指摘しています。
また、欧州の規制には追跡型広告が含まれており、これがビジネスモデルの変革を促す可能性もありますが、オライリー氏は「利用者が自分のデータを提供して無料サービスを受ける現実は変わらない」と警鐘を鳴らしました。優れたビジネスモデルを見出さない限り、広告がサービスを得るための主要な方法であり続けるでしょう。
横浜DeNAベイスターズ、NFT機能強化でデジタルトレーディングカード市場に参入
横浜DeNAベイスターズは、試合の名場面をデジタルデータとして提供する「PLAYBACK9(プレイバックナイン)」の機能を大幅に進化させました。新たに導入されたこの機能により、利用者同士でのデータ売買が可能になり、デジタルトレーディングカードの新しい時代が始まります。
NFT(非代替性トークン)は、ブロックチェーン技術を基盤にしており、そのユニークな特性によってデジタルデータの偽造や改ざんを防ぎ、オリジナルの価値を保証します。これにより、販売されるデジタルデータの本数が限られることで、その価値が高まります。
ベイスターズは、2022年11月末から「PLAYBACK9」を開始し、試合のハイライトをデジタル化して販売していましたが、2022年4月からはこのプラットフォームで利用者間の売買も可能になりました。取引は、NFTコンテンツ専用の取引所「LINE NFT」を通じて行われます。
日本国内でのプロスポーツにおけるNFT活用が進む中、海外ではすでにプロバスケットボール選手の名シーンがNFTとして取引されている例があります。ベイスターズの新しい取り組みも、その流れに乗る形で、スポーツのデジタル資産市場に一石を投じることになるでしょう。
エイベックス、メタバース市場でのリーダーシップ: ザ・サンドボックスへの参入
エイベックスがメタバースの最前線に立つ新たな一歩を踏み出しました。仮想空間「ザ・サンドボックス」上に土地を取得し、メタバース事業への参入を発表したのです。取得額は公開されていませんが、エイベックスはすでに100点以上の関連アイテムを発売しており、仮想世界での活動を本格化させています。この取り組みを通じて、ブロックチェーン技術を利用したコミュニティとの新しい交流の形を模索し、ファンとアーティストの関係を深めることを目指しています。
「ザ・サンドボックス」は、非代替性トークン(NFT)を用いて仮想の土地を取得し、ゲームやアイテムの作成、販売を行うことができるプラットフォームです。この仮想空間の地図には、正方形のマス一つ一つに価値が設定されており、エイベックスの企業ロゴが刻まれた6×6マスの土地も存在します。エイベックス・テクノロジーズは、NFTを用いたアーティストのアイテムやイベント招待券などのセット商品を販売し、発売からわずか1時間で完売する人気を誇りました。
2022年度中には、「エイベックスランド(仮称)」の公開が予定されています。仮想空間内でのライブやイベントを通じて、アーティストの知名度向上とグローバル市場の開拓を目指し、新たな収入源を創出する狙いがあります。エイベックス・テクノロジーズの岩永朝陽社長は、この仮想空間に拠点を持つことを「米国や中国など新たな地域に拠点を広げることと同様」と語り、国境を越えて集まるユーザーをターゲットにしていると説明しています。
2022年現在、米国の人気ラッパーSnoop Doggが12×12マスの広大な拠点を持ち、注目を集めています。彼の仮想空間で撮影された新曲のミュージックビデオは、わずか10日で240万回以上再生され、周辺の「地価」が高騰するなど、メタバース内での影響力を示しています。
エイベックスの参入は、ゲーム大手のスクウェア・エニックスやアディダスなどがザ・サンドボックス上に土地を持つのと同様、メタバースの新たなエンタメ領域への入り口となっています。これにより、既存のエンタメ企業やメーカーはメタバース市場への参入を加速しており、「先行優位」の世界で後手に回らないよう急いでいる状況です。
ザ・サンドボックスは、2021年にソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンド2などから9300万ドル(約115億円)を調達し、累計取引額は4億5000万ドルを超えています。親会社であるアニモカブランズは、NFTや暗号資産を活用するサービスを展開し、次世代型インターネット「ウェブ3」時代の主役となるべく事業を拡大しています。これにより、メタバースという新しい市場でのコンテンツ企業としての価値提供が、今後の大きな課題となるでしょう。
メタバースの電力消費が環境に与える影響とは?持続可能な未来に向けた課題
メタバース(仮想空間)の発展が進む中、その環境への影響が懸念されています。メタバース内での活動は、思いのほか大きな電力消費を伴う可能性があり、その影響が地球の気候に与える影響についての研究はまだ不十分です。例えば、米国のメタ(旧フェイスブック)は、最新のAIスーパーコンピューターを開発中で、初めは6080基のGPU(画像処理半導体)を搭載しているとしています。2022年末には、その数は16,000基に増加する予定です。これに伴い、電力消費量の増加が予想されますが、具体的な数値は公開されていません。一般的にスーパーコンピューターは大量の電力を消費し、二酸化炭素(CO2)排出も多いことで知られています。
メタバースの電力消費を考える際、暗号資産(仮想通貨)であるビットコインのマイニング(採掘)と比較すると、そのスケールが見えてきます。2021年の研究によれば、ビットコインの年間電力消費量は約91テラワット時で、これは世界全体の電力消費量の約0.5%に相当します。メタバースのインフラを強化する企業が10社以上存在し、ネットのデータ通信量の87%が動画配信やゲームに占められると予測されていることから、将来的にはメタバースも同等、あるいはそれ以上の電力消費を引き起こす可能性が十分に考えられます。
筆者はメタバースの構築自体に反対しているわけではありませんが、その電力消費量とCO2排出量の影響を十分に考慮する必要があると提言しています。仮にメタバース内のアバターが発展途上国の人々と同じ電力を消費する場合、その環境への影響は決して無視できない問題となります。メタバースの真のコストについて、全ての利用者が意識し、その影響を正しく評価することが求められるでしょう。
ブロックチェーン技術で進化する「Web3」の主要分野:DeFi、NFT、仮想空間の最新動向
「Web3」が開く新たな市場として、分散型金融(DeFi)や非代替性トークン(NFT)、そしてゲームや仮想空間が注目されています。これらの技術はブロックチェーン(分散型台帳)を基盤にしており、現在のインターネットの枠組みを超えた新しい可能性を秘めています。
まず、分散型金融(DeFi)についてです。DeFiは従来の金融機関を介さず、スマートコントラクトという自動契約システムを活用して、ユーザー同士が直接金融サービスを提供し合う仕組みです。この分野には融資、借り入れ、暗号資産の取引、資産管理、決済、保険などが含まれています。2021年には、DeFiプロトコルに預けられた米ドル資産が前年の10倍以上に増加しました。投資家たちはこの急成長に注目し、DeFiスタートアップへの資金調達額も急増しています。
次に、非代替性トークン(NFT)です。NFTはブロックチェーン技術を利用してデジタル資産の唯一性を証明するもので、画像や楽曲、動画などが対象になります。2021年には、NFTの取引総額が急増し、特にマーケットプレースやインフラプロバイダー、ゲーム会社による資金調達も大きく伸びました。2022年もその勢いは衰えず、多くのSNSや動画サイトがNFTを取り入れる方向で進んでいます。
最後に、ゲームや仮想空間についてです。Facebookがメタに社名変更し、メタバースに注力する中、分散型ゲームも注目されています。これらのゲームはトークンを使った経済圏やブロックチェーン技術を活用した仮想世界を提供しており、企業価値が10億ドル以上のスタートアップが複数存在します。特に、NFTマーケットプレースの「OpenSea」は企業価値が133億ドルに達し、ユーザーはここでゲームアイテムや仮想土地を取引できます。
このように、「Web3」は新しい経済圏を創造し、既存のインターネットの枠を超える革新的な技術を提供しています。これからの発展が楽しみです。
「Web3.0」の到来と日本の税制改革の必要性【NFT政策提言】
2022年3月末、東京都千代田区の自民党本部で開催された会議において、自民党デジタル社会推進本部のNFT政策検討プロジェクトチームが「NFTホワイトペーパー」を発表しました。この文書は、日本が「Web3.0」時代に取り残されないための提言をまとめたもので、初めに「Web3.0の到来は日本にとって大きなチャンスであるが、現状のままでは乗り遅れる可能性が高い」と警鐘を鳴らしています。
「Web3.0」とは、ブロックチェーン技術を基盤にした分散型ネットワークのことを指します。これは、中央集権型のネットワークとは対照的に、仲介者なしで個人同士が直接つながる仕組みです。この新しいネットワークは、米国のテック企業などが集中的に個人データを管理する現状とは大きく異なります。
プロジェクトチームは、日本の税制や会計制度がこの新しい技術に追いついていない点を問題視しています。例えば、NFT事業に関わる企業が会計監査を受けられないケースがあるのは、仮想通貨に関する会計基準の整備が遅れているためです。また、期末時価評価による法人税課税の問題も指摘されています。日本では、保有する仮想通貨が取得価格を上回ると評価益と見なされ、税金が発生しますが、ブロックチェーン企業は仮想通貨で資金調達を行うため、資金流入がないのに税負担が重くなるリスクがあります。このため、海外へ移転せざるを得ない企業も出てきています。ステイク・テクノロジーズの事例は「ステイク・ショック」として知られており、提言では「会計基準の明確化」や「保有トークンの譲渡時に課税する税制改正」が必要とされています。
米国では、バイデン大統領がデジタル資産の研究開発の加速を命じる大統領令に署名し、技術革新でリーダーシップを取る方針を示しました。これに触発され、英国も仮想通貨や分散型金融(DeFi)の税制取り扱いを検討し、中央銀行を介さない金融システムの導入に向けた取り組みを発表しました。
日本はこれまで新しい技術への対応が遅れる傾向があり、国際会計基準の議論でも後手に回りました。平将明衆院議員は、「Web3.0を国家戦略とし、会計や税制の議論を主導すべきだ」と述べています。日本の若手企業家であるステイクの渡辺創太CEOは、シンガポールから米国に渡り、米仮想通貨交換業大手やベンチャーキャピタルから資金を集めるなど、新時代のマネーの流れを体現しています。リスクマネーが日本を素通りしている現状を踏まえ、迅速な対応が求められるでしょう。
メタバースとWeb3の連携: 新時代のデジタル空間の可能性とは
「Web3」の広がりが注目されています。これは、ネット利用者がデータを自分で管理しながら運用する分散型の新しいウェブサービスで、現在のインターネットの在り方を変える可能性があります。特に、近年の仮想空間「メタバース」と深い関連があり、両者の成長が相互に影響し合うと考えられています。
「Web3」は、2000年代半ばに話題となった「Web2.0」に代わる新しい概念です。初期のインターネット(Web1.0)が情報の閲覧にとどまっていたのに対し、Web2.0ではソーシャルメディアなどの双方向型サービスが普及しました。しかし、Web2.0では米GAFAなどのプラットフォーム企業が利用者のデータを独占し、ビジネスに利用する問題がありました。
これに対して、Web3ではブロックチェーン技術を活用し、データを特定の利用者に集中させずに管理します。スマートコントラクトという技術を使えば、契約内容や取引履歴、所有権などを自動的に管理し、条件が整った際に契約が実行されます。
具体的には、Web3はNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)、DAO(自律分散型組織)などの形で現れています。これらはデジタル資産の取引や、管理者が存在しないシステム運営が可能で、メタバースとの相性も良いとされています。PwCコンサルティングの馬渕邦美マネージングディレクターは、Web3がメタバースと共に進化し、10年後には現在のインターネットに取って代わると予測しています。
海外ではすでにWeb3が進展しており、日本も同様に遅れを取らないよう対応が求められています。自民党のプロジェクトチームは、Web3時代に向けた社会基盤やルールの整備が急務だと提言しました。また、企業や大学も動き始めており、2023年3月にはメタバースやWeb3に関心を持つ関係者が集まる「メタバースジャパン」が発足し、ビジネス環境の整備や政策提言に取り組んでいます。
バフェット氏への挑発!ピーター・ティールが語る暗号資産と未来の金融システム
米国のペイパル共同創業者であり資産家のピーター・ティール氏が、著名投資家ウォーレン・バフェット氏を「ソシオパシック・グランパ(社会病質なおじいちゃん)」と呼び、物議を醸しています。ティール氏はマイアミでのイベントで、ビットコインがなぜ10万ドルや100万ドルに達していないのかと疑問を投げかけ、熱心な暗号資産支持者として、デジタル通貨が現在の金融システムに取って代わる可能性を強調しました。そして、暗号資産の発展を阻む「敵」として、バフェット氏やJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO、米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOの名を挙げ、批判しました。
バフェット氏は以前からビットコインやデジタル通貨に対して懐疑的な姿勢を取り続けており、その理由は彼の投資条件である「理解できる事業であること」と「割安な価格で購入できること」に合致しないからです。しかし、彼が率いるバークシャー・ハザウェイは2021年にネット銀行「ヌーバンク」を傘下に持つヌーホールディングス株に投資しており、この会社はビットコインに投資するETFを提供しています。この動きから、大和証券の壁谷洋和氏は、バフェット氏も新しいものを取り入れつつあるのではないかと指摘しています。
90歳を超えてなお市場に大きな影響力を持つバフェット氏が、ティール氏の挑発にどう応えるのか、今後の展開が注目されます。
YGG、日本市場に参入!NFT貸し出しでブロックチェーンゲーム普及へ
フィリピンのブロックチェーンゲーム投資会社、イールドギルドゲームス(YGG)が日本市場に参入しました。これを受けて、東京・港区に拠点を置くスタートアップ企業ForN(フォーン)がYGGと提携し、日本国内での事業展開を担います。具体的には、人気ゲームのNFT(非代替性トークン)に出資し、これを国内のユーザーに貸し出す仕組みを導入します。
ブロックチェーンゲームでは、専用のNFTを購入することでゲームがプレイできる仕組みが一般的で、ゲームを進めることで得られるトークンは、時には実際の通貨に交換可能です。この「遊んで稼ぐゲーム」というコンセプトが注目されていますが、初期費用として数万円相当の暗号資産が必要なケースが多く、利用者のハードルが高いという課題もあります。
YGGはこの問題を解決するために、ゲームのNFTを購入してユーザーに貸し出す「スカラーシップ」という制度を広めました。この仕組みでは、ユーザーがゲーム内で収益を上げると、その一部をYGGが回収する形になっています。特に、ベトナム発の人気ブロックチェーンゲーム「アクシー・インフィニティ」では、フィリピンの貧困層がこの制度を利用し、ゲームを通じて生活費を稼ぐという新たな経済圏が生まれています。
フォーンは、日本国内でもこのスカラーシップ制度を展開するとともに、ユーザー同士が交流できるツールの開発も進めています。海外では「ディスコード」などのSNSがゲームユーザー間のコミュニケーション手段として使われていますが、主に英語でのやり取りが中心です。フォーンは日本のユーザーがもっと気軽に参加できる環境を整えることで、国内でのブロックチェーンゲームの普及を目指しています。
英国、暗号資産技術のグローバルハブへ!財務省がステーブルコインとNFTに注力
英国財務省は、暗号資産技術を新たな成長分野と位置づけ、その発展を目指す包括的な取り組みを発表しました。ステーブルコインの規制を導入し、新たな決済手段としての育成を目指す一方、王立造幣局に非代替性トークン(NFT)の作成を依頼するなど、国を挙げてデジタル資産の可能性を探求していく方針です。
リシ・スナク財務相は、英国を暗号資産技術のグローバルハブにすることを目指し、企業の投資や技術革新を支援する施策を打ち出しました。特に、ステーブルコインについては決済手段としての可能性に注目し、金融規制の対象に加えることで、消費者が安心して利用できる環境を整えます。
ブロックチェーン技術に対する政府の関心は高く、効率的な金融システムを構築するための技術と見なしています。王立造幣局によるNFTの詳細は近日中に発表される予定であり、また暗号資産や分散型金融(DeFi)ローンに対する税制上の対応も年内に検討される見込みです。
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