先端技術流出を防ぐ鍵は?大学への資金援助に「研究の透明性」義務化へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

政府は、大学などの研究機関に対する資金支援を行う際、研究者の経歴や海外の資金との関係などを公開し、透明性を高める取り組みを義務づける方針を打ち出しました。中国など懸念される国からの不当な影響を排除し、経済安全保障の観点で重要な先端技術が外部に流出するのを防ぐ狙いがあるようです。実際に海外ではすでに同様の取り組みが進んでおり、アメリカは2021年に大統領令を通じて対策を明確化し、今年には国防総省が外国からの影響に関する審査義務を研究機関に課す方針を示しました。

日本国内でも、大学を対象にした10兆円規模の大学ファンドからの支援や科研費を配分するときに、この情報開示を条件とする案が浮上しているようです。義務化によって各研究機関のリスク管理や情報保全の強化を徹底し、安心して海外の研究者を招きやすい環境を整えることが狙いだといわれています。政府のガイドライン自体は2021年にも策定されましたが、当時は自主的な取り組みにとどまっていたため、研究現場では「一律のルールがあれば、本当に守るべきことが明確になり助かる」という前向きな声と、「研究の柔軟性や自由度が下がってしまうのでは」という懸念が混在しているようです。

一般の人びとからは「世界トップレベルの頭脳を受け入れるには、一定のルールが必要だと思う」という賛同意見がある一方で、「海外資金の導入が厳しくなれば、新しい発見や共同研究のチャンスも減ってしまわないか」といった不安の声も聞こえます。今後は大学側の協力体制や法整備の進捗状況を見ながら、研究の質や安全保障をどこまで両立できるかが問われるでしょう。日本の研究力を底上げするには、国際的な共同研究を円滑に行いつつも、海外からの影響をしっかりと見極めるバランスが求められるのではないでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*