三菱電機は、アメリカにある自動車用エンジン部品の工場を空調機器向けに作り変えると発表しました。約200億円を投入してコンプレッサー(空気圧縮機)の生産設備を整え、2026年にも稼働を始める予定だそうです。背景には、電気自動車の普及によってガソリン車の販売が先細りになる一方で、AIやデータセンター向けの空調需要が急伸している現状があります。温暖化の影響や自宅にエアコンを設置する世帯が増えていることも相まって、世界の空調市場は今後一段と活性化しそうです。
実際、生成AIの活用が広がるにつれデータセンターの建設が世界各地で相次いでいます。サーバーの熱を冷ますには空調が欠かせず、市場調査会社のスタティスタは空調の世界市場が2023年比で5割増えると見込んでいます。一般の人々からは「これだけAIが普及すれば、熱対策はますます重要だろう」という声もあれば、「自動車産業が電動化にシフトしていく時代だから、工場の使い道を見直すのも自然の流れかもしれない」という意見が聞かれます。シャープが液晶パネル工場をデータセンターに転換する方針を示し、セイコーエプソンも自社の一部工場を先端半導体メーカーのラピダスに貸し出すと決めるなど、国内の大手企業でも同様の動きが見受けられます。
このように新たな成長分野へ経営資源を振り向ける動きが進めば、既存の供給網にも影響が及ぶことが予想されます。しかし、時代の変化に合わせて拠点を活用できれば、企業も次のビジネスチャンスをつかみやすくなるでしょう。これからAIやデータ関連の需要は一層伸びていくとみられ、日本企業が持つ技術力が世界的な空調市場の拡大を後押しするかもしれません。