日本維新の会の馬場伸幸代表は、パワハラ疑惑の渦中にある兵庫県の斎藤元彦知事について、すぐに辞職を迫る考えはないと表明しました。インタビューで馬場氏は、党が推薦した人物だからという理由だけで軽々しく判断しては「悪い前例をつくる」と懸念を示し、むしろ百条委員会での証言や説明をきちんと尽くす必要があるという姿勢を強調しています。しかし、同じ維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)が辞職勧告決議案の提出を示唆しており、対応に温度差があるのも事実でしょう。
一方、兵庫県議会ではすでに斎藤氏を呼んで証人尋問を行ったものの、納得のいく答弁が得られなかったとする意見が目立っています。県民の間からは「透明性ある説明なしでは知事への信頼が揺らぐ」という声が上がる一方、「確固たる証拠がない段階で辞職を迫るのはどうなのか」と疑問を抱く人もいるようです。党としても法や憲法を順守する物差しを軸に判断を下す方針だそうですが、パワハラ問題が長引けば維新への批判がさらに高まる可能性は否定できません。
馬場氏は代表就任からちょうど2年が経過し、支援率が以前と比べて急落している現状について「世論の飽きが来た」と受け止めています。大阪・関西万博の予算超過やガバナンス面の不手際など、党運営に対する不信感が広がっているとの指摘もあり、先ごろ行われた大阪府箕面市長選で維新公認候補が敗れたことは象徴的な出来事だったでしょう。
こうした苦境を乗り越えるため、馬場氏は若手の育成や組織基盤の強化に力を注ぐ考えを示しています。しかし、「既成政党化」が進みつつあるとの批判にどう応えるかが大きな課題です。自民党の岸田文雄首相の後継争いや立憲民主党の代表選に触れるなかで、馬場氏は「党内を束ねる明確な意思決定がなければ意味がない」と改めて指導力を求めました。また、次の衆院選で立民との協力は「誰が代表になっても絶対にしない」と断言し、是々非々の立場を貫く方針だとしています。
世間では「維新は過去の改革イメージが薄れつつある」「斎藤知事の問題にどうケリをつけるのか」と注視する向きが多いようです。党の求心力を取り戻したい馬場氏にとって、兵庫県知事をめぐる対応は今後の行方を大きく左右する要因になりそうです。