中国海警局は31日、南シナ海のサビナ礁付近でフィリピン沿岸警備隊の巡視船と衝突したと公表しました。中国側は「フィリピン側が故意に危険な行動を取った」と非難し、サビナ礁を含む南沙諸島一帯は自国領だと主張しています。これに対してフィリピンは「挑発などしていないにもかかわらず、複数回にわたり中国船から体当たりされ、巡視船の一部が損傷した」と反論したそうです。
両国の緊張が高まる背景には、フィリピンが日本から円借款で導入した巡視船を長期停泊させていたことがあるともいわれます。サビナ礁周辺では8月以降、小競り合いが頻発しており、写真や映像によるとフィリピン側の船が中国の海上民兵を含む多数の船に取り囲まれている場面も確認されています。地元の人々からは「もし衝突がさらに拡大したら、近海での漁業や交通がどうなるのか心配」という声が上がっているようです。
そもそも南沙諸島周辺では、中国が「歴史的権利」を強調しつつ実効支配を進める動きが長年続いてきました。フィリピン政府は国際法に照らして自国の正当性を主張しており、「中国船の行為は国際法違反だ」と批判しています。世界では「南シナ海の安定確保が、アジア地域の平和に直結するのではないか」という見方も強まっているため、両国の対立が今後どのように展開していくのか目が離せないでしょう。