EV電池の二酸化炭素排出量管理が加速?欧州環境規制に備える日本企業の新データ基盤

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日本の自動車各社や部品業界団体が中心となって設立した電気自動車用バッテリーの情報収集・解析組織が、秘密保持などに関する政府の制度で近く認証されることになりました。トヨタ自動車やホンダなどが参画する「自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター」(東京・港区)は、経済産業省が公認する“公益デジタルプラットフォーム運営事業者”の第一号となる見通しです。情報漏えいやサイバー攻撃への備えが一定の水準を満たしたと評価された形で、これによって多くのメーカーや関連企業が安心してデータを提供しやすくなると期待されています。

電気自動車用のバッテリーは、レアメタルの採掘や素材加工などのプロセスにおいて、ガソリン車の約2倍もの二酸化炭素を排出するといわれています。同センターは各製造段階における排出量をデータとして集約し、バッテリー全体の数値を算出する基盤を運営してきました。今後さらに情報が集まれば、排出量をより正確に把握できるようになるでしょう。「EVが普及すれば地球環境に優しいと聞く一方で、製造に伴う排出量は増えるのではないか」という一般の声もあるなか、企業側も透明性の高いデータを用いて説明責任を果たす必要が高まっているようです。

この取り組みの背景には、欧州連合が2025年にも導入すると見込まれる新たな環境規制があります。電気自動車向けバッテリーの二酸化炭素排出量を的確に公表できなければ、欧州市場での販売に支障をきたす可能性があるため、国内メーカーとしては今回のデータ基盤をフル活用して正確な数値を示したい思惑があるようです。排出量や素材調達の実態を把握し、早期に対策を講じることで、電気自動車市場のさらなる拡大を目指す流れが加速するのではないでしょうか。

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