パリ・パラリンピックで輝く日本勢、熱い闘志が生んだ銀と銅――佐藤友祈のリベンジ誓う挑戦

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パリ・パラリンピック第3日、陸上男子400メートル(車いすT52)で日本の佐藤友祈選手が56秒26の記録を出し、見事銀メダルを獲得しました。「チョー悔しい」と開口一番に叫んだ佐藤選手。連覇を狙ったものの、昨年からライバルとなっているベルギーのカラバン選手に再び屈し、「彼の力が一枚上手だった」と素直に認めつつも、次なる挑戦への意欲を強く見せました。東京パラリンピックで1500メートルと合わせて2冠を達成した佐藤選手にとって、カラバン選手はまさに新たなモチベーションを与えてくれる存在です。

昨年の世界選手権で自身の世界記録を更新され、2秒以上の大差をつけられたことがショックとなり、佐藤選手は新たなトレーニング法を模索しました。そして欧州の車いす陸上界で数々の強豪選手を育成しているオランダ人コーチに師事し、リモートでの指導を受けながらフォームを改良。さらに現地に飛んで合宿に参加するなど、本格的な強化に取り組みました。今年の神戸での世界選手権に臨む際には手応えを感じていましたが、輸送時のトラブルで新しいレーサーが壊れてしまうという不運に見舞われ、旧車で挑んだ結果、4秒以上の大差をつけられ惨敗を喫しました。それでも、その後のレースでは6年ぶりに自己ベストを更新するなど、着実に成長を見せています。

そして迎えたパリの大舞台。スタートから序盤はカラバン選手と互角の展開を見せ、「スタート改善の成果が出た」と手応えを感じていたものの、バックストレートで引き離され、最後まで追いつくことはできませんでした。「東京パラリンピックで見せたホームストレートの逆転を再現したかったが、力が及ばなかった」と悔しさをにじませつつも、1秒16差まで距離を詰めたことに成長を感じるレースでもあったと語ります。新たに作り直したレーサーは調整が間に合わず、今回も旧車での出場となった佐藤選手ですが、「ベストを尽くした結果」と悔しさをのみ込みつつ、さらなる飛躍を誓いました。

同日には、61歳の伊藤智也選手が男子400メートル(車いすT52)で銅メダルを獲得し、日本勢史上最年長メダリストとなる快挙を達成しました。また、男子5000メートル(視覚障害T11)では唐沢剣也選手が2大会連続で銀メダルを獲得し、和田伸也選手は惜しくも4位に終わりました。競泳では、男子100メートル自由形(運動機能障害S4)で鈴木孝幸選手が2位に入り、すでに金メダルを獲得した50メートル平泳ぎに続いての表彰台となりました。同400メートル自由形(視覚障害S11)では富田宇宙選手が3位となり、日本選手の活躍が際立つ一日となりました。

その他、車いすラグビーでは日本チームが米国に45-42で競り勝ち1次リーグ2連勝を達成。一方、ゴールボール男子はウクライナに惜しくも8-9で敗れ、1次リーグ2連敗となりました。さらに、テコンドー男子70キロ級の工藤俊介選手は3位決定戦で敗れメダルを逃しましたが、ボッチャ男子(脳性まひBC2)の杉村英孝選手は1次リーグを突破し準々決勝に進出。バドミントン女子シングルス(車いすWH1)の里見紗李奈選手も1次リーグを突破し、車いすテニス女子シングルスでは上地結衣選手が2回戦へ進出しました。

第4日には、陸上女子走り幅跳び(義足・機能障害T64)で高桑早生選手が5位、中西麻耶選手が7位という結果を残し、自転車男子1000メートルタイムトライアル(運動機能障害C1〜3)では川本翔大選手が6位、女子500メートル予選では杉浦佳子選手が全体7位で惜しくも敗退しました。引き続き日本勢の熱い戦いが続くパリ・パラリンピックに目が離せません。特に佐藤友祈選手は、「次こそは必ず金メダルを日本に持ち帰る」と力強く宣言し、4年後のリベンジを胸に再び鍛錬を重ねる日々が始まります。

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